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渡良瀬遊水地 2006年春
  ヒトが自然に働きかける「野焼き」が壮大なショーになる  

渡良瀬遊水地 渡良瀬遊水地
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(遊水地で春を招く壮大なショーが行われた)

 ここは「渡良瀬遊水地」と呼ばれる広大な貯水施設です。それは現在の姿ですが、遊水地が作られた発端は、足尾鉱毒事件、即ち、足尾銅山からの鉱毒が流れて流域に甚大な被害を生じさせた明治時代まで続く公害事件です。この鉱毒を沈殿させて無害化することを目的に作られた広大な溜池が渡良瀬遊水地の始まりという訳です。ただ、表向きは洪水防止が目的であって、公害そのものは時間の経過の底に沈められたままになっているのです。もちろん、現在は治水施設として立派に役立っていますが、土壌には未だに鉱毒が多く含まれていると言われます。
 かなり迷って、栃木県に分類しました。それは単に撮影地が栃木県だったことと、栃木県の占める面積が最大であるということであって、実際には栃木県と埼玉県、群馬県、茨城県の4県にまたがっています。因みに Wikipedia によると『内部の面積は33km²で、山手線の内側の面積の約半分』と記載されています。

渡良瀬遊水地 渡良瀬遊水地
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 今回は春に行われる『野焼き』にフォーカスしました。野焼きは「絶滅が心配される植物の生育環境を守る」ことが目的だと説明されることがあります。渡良瀬遊水地の場合は、その通りかも知れませんが、有名な阿蘇の焼きの場合、放牧地(牧草地)の環境を護るという酪農目的で行われています。この2ケ所、何か違う目的に感じてしまいますが、要するに植生を維持するために自然に介入しているということです。
 現在は第一次植生に分類されるヨシが一面の原っぱ(湿地)を構成していますが、まず短期的には枯れたヨシなどの植物が堆積して、それら以外の植物の生育が妨げられます。また、中期的に見て、このまま放置しておけば次第に樹木類の侵入が続き、最終的には林から森林に移行していきます。早春、ヨシなどが枯れていて燃え易く、植物の芽吹き前に焼き払ってしまえば、樹木の侵入を阻止して現在の環境を維持することができる訳です。時折説明に登場する『害虫駆除』は補完的目的なのだろうと思います。

渡良瀬遊水地 渡良瀬遊水地 渡良瀬遊水地
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 広大な遊水地で一斉に火が入るようで、遠くの方でも煙が立ち上り、空が真っ黒に煤けてしまったように見えますね。もう壮大なショーと言って良さそうで、遠隔地からもカメラを持った(主に)オジサンたちが馳せ参じて、三脚を並べているという訳です。余りにも広すぎるので、混み合うという程ではありませんが、撮影している人間の姿の方が被写体として面白かったりしませんか。駐車場の方はギリギリです。私は、ここまで二輪でやって来ましたので、渋滞には巻き込まれませんでした。

渡良瀬遊水地


 真っ黒い煙も見えますが、決してガソリンなどを使って火入れをしている訳ではありません。作業員の安全、周囲への延焼を防止しながら、うまく焼き払うことは難しい技が必要なのではないかと思います。雨風、湿度という自然を相手にする作業なので、天候を待って何度も順延になります。観光目的という要素が強すぎると、日程を守ろうとして無理をする傾向があって危険だと言われます。生活が掛かっていても同じなのでしょうね。また、これだけ広大な場所ともなると、いったいどれだけの要員が導入されているのかと別の心配をしてしまいます。ボランティアが減ったら、途端に実施不能に陥ってしまうのではないでしょうか。そんな要素も考えると、この作業を計画して管理、実施している方々には頭が下がりますね。

渡良瀬遊水地 渡良瀬遊水地 渡良瀬遊水地
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 キレイに焼けた後には白っぽい煙が多くなって、そろそろ火と煙のショーも終了に近づいてきました。少しだけ生えている樹木は影響を受けなかったようです。この遊水地では鳥類が多く見られるのですが、しばし、退却していたのでしょうね。ただ、白い煙の中、少し大きめの鳥が低木の先にとまってジッとしていたのが印象的でした。

渡良瀬遊水地


 [ 宿泊 ] : 片道2時間程度は掛かりますが、一応日帰り圏ですので、宿泊情報はありません。

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