福岡のすみれ
 福岡県には何度も訪ねているのですが、すみれを見る旅では、長崎県から佐賀県を昼に抜けて、対馬に渡った際、残念ながら、通過してしまいました。驚くことにオオタチツボスミレが自生しているのですね。
 大分県と福岡県の資料に「ツクシタチツボスミレ」が登場します。ただ、情報が余りに少なすぎて、俗称として処理すべきか、困っています、一方で、シロバナツクシコスミレは記載されていません。
(2009/08/30)

 個体数の多寡について記載されていましたので、改めて追加編集しました。この情報を見ると、地域によって「普通のすみれ」が異なることを実感します。
(2009/08/30)

 前述の「ツクシタチツボスミレ」ですが、 Viola grypoceras f. grandistipulata Nak.という学名が存在するようです。九州大学総合研究博物館に「中島一男コレクション(NAK02542)」として収蔵されていることも判明しました。更に、鹿児島大学総合研究博物館発行の「九州の植物目録(博物館研究報告、初島住彦、2004)」によりますと、福岡県、大分県、長崎県(対馬)に記録があることも分かりました。ただ、肝心の「いったい、どんなすみれなのか」に関する記述が全くみつかりません(デジタル化されていないようです)。
(2023/10/09)


種(無茎) 品種または変種 個体数 参考資料 補足
アカネスミレ 3:稍稀 A)
アケボノスミレ 1:極稀 A)
アリアケスミレ 3:稍稀 A)
エイザンスミレ 4:稍普通 A)
コスミレ 5:普通 A)
シロバナツクシコスミレ
コミヤマスミレ 3:稍稀 A)
サクラスミレ 1:極稀 A)
シコクスミレ 2:稀 A)
シハイスミレ 4:稍普通 A)
(シロスミレ)ホソバシロスミレ 2:稀 A) シロバナスミレと記載
スミレ 5:普通 A)
ホコバスミレ 3:稍稀 A) V. Ikedaeana と記載
ナガバノスミレサイシン 2:稀 A)
フイリナガバノスミレサイシン
ナンザンスミレヒゴスミレ 4:稍普通 A)
ノジスミレ 3:稍稀 A)
ヒメスミレ 2:稀 A)
ヒメミヤマスミレ 2:稀 A)
フモトスミレ 3:稍稀 A)
マルバスミレ 2:稀 A) ケマルバスミレ
種(有茎) 品種または変種 個体数 参考資料 補足
アオイスミレ 3:稍稀 A)
オオタチツボスミレ 1:極稀 A)
タチツボスミレ 5:普通 A) ツクシタチツボスミレ
コタチツボスミレ 4:稍普通 A)
ナガバノタチツボスミレ 5:普通 A)
ニオイタチツボスミレ 3:稍稀 A)
ニョイスミレ 5:普通 A) (ツボスミレと記載)
ヒメアギスミレ 3:稍稀 A)
種(自然交雑) 個体数 参考資料 補足
種(自然交雑 無名) 個体数 参考資料 補足

書籍上、表現が不確かな種に関しては除外し、変種や品種については主要なもののみを選びました 〇=自生確認

記号 参考資料 著者、編者 発行/出版 発行
A) 福岡県植物誌(福岡県生物誌 第2編) 福岡県高等学校生物研究部会 博洋社 1975年7月13日

気温グラフ 降水量グラフ
【参考:気象統計情報】 福岡市の例 (総務省統計局資料を利用)

各地のすみれ 掲載種について

 「各地のすみれ」に掲載しております自生種などの情報は、ご覧いただければ一目瞭然ですが、収集した植物誌など、参考資料の記載内容を紹介しているものです。こうした参考資料は、一般に、県や市などの地方自治体や教育機関、地方の博物館や植物学会、研究団体(個人を含む)などが情報収集の上、編集したケースが多いと認識されます。

 それらの参考資料が編集された時期、目的や経緯、情報収集や編集をされた方々の属性はいろいろですので、一貫性は期待できません。また、ご承知の通り、植物分類学の世界でも学術的知見が変わり続けていますので、編纂時期によって種の名称や表現が変わっているのは、むしろ、当然と言えます。
 編集者の属性も千差万別であり、正直なところ「ちょっと怪しい」情報も、まぁまぁ存在しています。スミレ科に関する限り、このサイトに訪問されている方々の方が、よりディープな知識をお持ちである場合も多いことでしょう。

 「ちょっと怪しい」を超えて、「明らかに外来種である」とか、「これは歴史的に変更された事実がある」、もしくは「単純ミス」などというケースに対しては、それなりの注釈を付けています。
 こうした状況を踏まえて、ご意見や情報をいただくこともありますが、全く踏まえていただけず(笑)、『間違いが多いから直せ』といったアドバイスをいただくこともありました。しかしながら、これらの情報は、日本に植物分類学が定着を始めた頃から現在に至る、歴史的側面を含む「記載事実」ですから、皆様からの投稿で作り変えるといった性質もしくは対象ではありませんね。それは、明らかに編者各位にも歴史に対しても失礼な態度ではないでしょうか。
 現在、私たちが持っている知識は、こうした試行錯誤も含む歴史の積み重ねの上に成り立っているものです。その知識でさえ、来年には変わってしまうかも知れません。悪しからず、ご了承いただくべき性質だと考えて、簡単な補足を施させていただくものです。ぜひ、ご理解下さい。


(つぶやきの棚)徒然草

 (2009/08/30) Latest Update 2024/04/14 [80KB]

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