エイザンスミレ(叡山菫) [別名:エゾスミレ、カクレミノ]
エイザンスミレ
岩手県花巻市 2005年5月21日
エイザンスミレ エイザンスミレ
山梨県南都留郡 2009年4月12日 自生地は近いが、花の印象が異なる 2011年4月30日
エイザンスミレ エイザンスミレ
愛媛県 2009年5月10日 側弁に毛がない
エイザンスミレ エイザンスミレ
花芯部が黄色い 東京都八王子市 2012年4月15日 高尾山
エイザンスミレ エイザンスミレ
群馬県吾妻郡 2013年4月27日 花芯部の赤みが強い
エイザンスミレ エイザンスミレ
花冠が丸め 山梨県北杜市 2023年5月3日 群馬県利根郡 2023年4月29日 花冠が縦長
分類 ミヤマスミレ類
学名 基本種 エイザンスミレ Viola eizanensis (Makino) Makino Published in: J. Jap. Bot.,1:15. (1917)
変種
ヒトツバエゾスミレ Viola eizanensis var. simplicifolia Makino
ナルカミスミレ Viola eizanensis var. simplicifolia f. leucantha Hiyama
品種 シロバナエゾスミレ Viola eizanensis f. candida Hiyama, 1953
異名
Viola chaerophylloides (Regel) W.Becker var. eizanensis (Makino) Ohwi
Viola dissecta Ledeb. var. chaerophylloides (Regel) Makino f. eizanensis (Makino) E.Ito
Viola dissecta Ledeb. var. eizanensis Makino Published in: Bot. Mag. (Tokyo) 26:155. (1912)
由来 eizanensis : 叡山(京都・比叡山)の
外語一般名 【中】胡堇菜
茎の形態 無茎種
生育環境 山地のやや暗く湿り気味の西側斜面、林下を好む。
分布 国内 青森県から九州の霧島まで分布する。太平洋側に多い。
海外
補足 日本特産。
花の特徴 形状 中輪から大輪(花冠は2cm内外)。側弁に通常は毛がある。
淡紅から濃紅紫または白。側弁、唇弁に紫条が入る。
太い円筒形。
花期 普通。秋も返り咲きが見られる。
花柱 カマキリの頭形。
芳香 あり。
補足 花弁の縁が波打つものが多い。萼の付属体に切れ込みがある。
葉の特徴 形状 夏葉や実生第一葉が3裂する複葉。ヒゴスミレに近い細葉から幅広の葉まで多彩。
両面とも濃い緑色。表裏で差が少ない。
補足 夏葉はかなり大型になり直径20cmを越えることがある。この時期ではヒゴスミレとの形状の違いが顕著になる。
変種に葉が一本にまとまったようなヒトツバエゾスミレがある(単葉変種)。
種の特徴 形状 倒卵形。へその方へ尖る。中粒。種枕が目立つ。
種子:濃褐色、種枕(エライオソーム):淡褐白色。光沢はない。
補足
根の特徴 白く細長い。
絶滅危惧情報 青森県:絶滅危惧Ⅰ類、山形県:絶滅危惧Ⅱ類、千葉県:絶滅危惧Ⅰ類、富山県:絶滅危惧Ⅱ類、石川県:絶滅危惧Ⅰ類、福井県:準絶滅危惧種、京都府:絶滅危惧Ⅰ類、兵庫県:準絶滅危惧種、鹿児島県:絶滅危惧Ⅰ類
基準標本
エイザンスミレ : 比叡山 1895 by J. Matsumura(松村任三)(東京大学収蔵)
ナルカミスミレ : 群馬県 鳴神山 1952/05/09 by M. Fururse(京都大学収蔵)
シロバナエゾスミレ : 山梨県 三ツ峠山 1935/05/15 by K. Hiyama(東京科学博物館収蔵、J. Jap. Bot.,28,151-155)
染色体数 2n=24
参考情報
種内,種間,群集における植物多様性研究(遠山弘法:国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター)
植物地理・分類研究 68(1): 19-30 (2020)、第18回 日本植物分類学会奨励賞 受賞記念論文
その他 カクレミノという別名があるらしい。蟻散布植物。
エイザンスミレ(大津市の花)
大津市の花**
松尾芭蕉が「野ざらし紀行」のなかで小関越*をしたときに 「山路きて 何やらゆかし すみれ草」と句を残しているなど 大津にゆかりの深い花としている(大津市公式サイトより)

* (小関越)京都市山科区四ノ宮鎌手町と滋賀県大津市小関町の間の峠
** (ロゴ)個人的かつ非営利的な使用目的の利用は可とのこと
エイザンスミレ ふるさと切手「季節の花シリーズ」第2集(2012/03/01発行)

* (総務省|郵政事業サイトより)
エイザンスミレ エイザンスミレ
エイザンスミレ
伊香保・榛名・倉渕のエイザンスミレは白地に濃赤紫の条が発色します
後ろから見ますと、まるで二色咲きのような個体もあるんです
葉も濃緑色でキリッとしていますね
群馬県高崎市 2003年4月19日 (旧)倉渕村
エイザンスミレ エイザンスミレ
群馬県渋川市 2001年5月3日 伊香保 2006年5月1日
ヒトツバエゾスミレ
ヒトツバエゾスミレ(単葉変種)
少しピンク掛かっているので、ナルカミスミレと呼ばないのでしょうね
(当時のデジカメでは、この画質で精一杯でした)
群馬県桐生市 1999年4月25日 鳴神山
シロバナエゾスミレ
展示会に出展されていた「四国産」と言われるシロバナエゾスミレです
なぜか、シロバナエイザンスミレとは呼ばない…、この辺が厄介ですね
神奈川県 2006年3月24日 植栽
エゾスミレ
夏葉、まだ5月なのですが、見違える程大きくなっています
この後、細かいヒダは消えていきます
群馬県前橋市(旧宮城村) 2000年5月6日 赤城山
ヒトツバエゾスミレ エイザンスミレ
エイザンスミレ エイザンスミレ
神奈川県相模原市 2001年4月8日 陣馬山
エイザンスミレ エイザンスミレ
熊本県阿蘇郡 2011年4月3日 植栽
 高尾山で初めて出逢った時の印象は「大きくて、ふんわり!」、「豪華で柔らかな感じの美しい花」でした。同時に深く裂けた葉も印象的で、ヒゴスミレに比較してシッカリした感じがしました。でも、見つけた場所によっては、少し違う印象を受けたこともあります。すみれは不思議。すみれ仲間の間の話ですが、花色は群馬県(倉渕村=榛名湖の先)で見つけた群落のものが、とても美しいという意見で一致しました。
 日光に程近い鳴神山の名前を冠したナルカミスミレはヒトツバエゾスミレの白花。エイザンスミレの葉が裂けないで一枚の葉になったイメージですが、葉の形が左右均等でないものが多いようで不思議な形に見えます(写真の葉に照りが見えますが、これは雨に降られたためで、特に目立った照り葉ではありません)。
1999/06/20

「千葉県の自然誌 別編4」の情報を確認して、エイザンスミレが記載されていることに少し驚きました。レッドリストを含めて、他の主要な資料には登場しません。第一、イメージが合わないなぁと勝手に思っています。資料には「採集した」とあり、標本番号と思われるものが記載されています。
 問題は「自生か否か」ではないでしょうか。この資料には「定着度」という指数が記載されているのですが、指数は[25]でした。参考までヒメスミレが[25]、スミレが[24]、コミヤマスミレが[25]とあります。スミレの方が低い…。失礼を承知で述べさせていただくのですが、余り参考にならないかも知れません。エイザンスミレの雑種についても記載が及んでおり、一応、「書籍情報」に追加してみました。
2009/08/30


エイザンスミレ
栃木県日光市 2009年5月2日 alt.=680m

(つぶやきの棚)徒然草

 (1999/06/20) Latest Update 2023/10/16 [1.15MB]

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