チシマウスバスミレ (千島薄葉菫) [別名:ケウスバスミレ]
チシマウスバスミレ チシマウスバスミレ
群馬県利根郡 2005年6月18日
 全く意識していませんでした(大失態)。翌年になってから「もしや」と思い立ち、撮影した写真を再確認していた時に見つけました。よく撮影していたものです。
2006/06/19


チシマウスバスミレ チシマウスバスミレ チシマウスバスミレ
長野県下高井郡 2023年6月10日
湿地っぽい場所に自生して、背が低く下向きに咲くため、花の撮影が極めて面倒です。終焉期の花ですが、様子が分かりやすい個体でした。
分類 ウスバスミレ類
学名 基本種 チシマウスバスミレ Viola hultenii W. Becker Published in: Ark. Bot. 22A(3):4. (1928)
変種
品種
異名 Viola blandaeformis var. pilosa Hara(ウスバスミレの変種)
由来 hultenii : 人名に由来する スウェーデンのhulten氏。
外語一般名
茎の形態 無茎種
生育環境 高層湿原、ミズゴケ床などに自生する。北海道では針葉樹林帯、中部地方では亜高山の湿原などで観察できる。
分布 国内 北海道、東北、中部地方に点在する。
海外 カムチャッカ、千島、樺太。
補足 北米に近縁種V. blanda Willdenow(アメリカウスバスミレ)が知られる。
花の特徴 形状 小輪。側弁は無毛(有毛の型も見られる)。
白色の花弁で、唇弁に紫条が入る。
丸くて短い袋状。
花期 遅い。
花柱 カマキリの頭形。
芳香 (未確認)
補足 上弁は間が空き、反り返っている。一般に1株に1花が咲くとされるが、花付きは良くない。
葉の特徴 形状 基部が深い円心型。葉の数はウスバスミレより少し小さめ。
両面とも明るい緑色。
補足 鋸歯HELP!は折り重ならない(ウスバスミレとの違い)。表面にまばらに短毛がある。
種の特徴 形状
淡褐色、完熟すると黒褐色。
補足
根の特徴
絶滅危惧情報 環境省【絶滅危惧II類(VU)】 HELP!、岩手県:絶滅危惧Ⅰ類、新潟県:絶滅危惧Ⅱ類、群馬県:絶滅危惧Ⅱ類、栃木県:準絶滅危惧種、長野県:絶滅危惧Ⅰ類
基準標本 カムチャッカ東部、南部
染色体数 2n=24
参考情報 チシマウスバスミレに就いて 菊地政雄WHO!(岩手大学)『岩手大学学芸学部研究年報』第6巻第2部、P44(1954年)
その他 和名は宮部金吾および舘脇操によって命名された(1934)。
地下茎から不定芽を出して増える。さく果HELP!に黒褐色(または赤褐色)の斑点があるが、斑点のない緑色の場合もある。
橋本保氏WHO!は「日本のスミレ」で、ウスバスミレより、むしろタニマスミレに近いと語っている。

チシマウスバスミレ チシマウスバスミレ チシマウスバスミレ
チシマウスバスミレ
長野県下高井郡 2022年6月18日

 菊地政雄先生WHO!の資料によりますと、ウスバスミレという和名は牧野富太郎先生WHO!の論文(1905年)に求めることができるとあります。ただ、当時はウスバスミレとチシマウスバスミレ、それから北米の近縁種が混同されており、日本に自生する2種についても同一視されていたことが産地から分かると記載されています。
 その後、中井猛之進先生WHO!が3種の関係に関する所見を発表(1922年)しているのですが、花の色に関する記述に誤認識があり、当時の状況から、標本から推測したのであろうと探偵ばりの謎解きをしているのも菊地先生です。更に、W. Becker と Hulten により、現在の知見に近い概念にまとめられていったのだそうです。
2008/02/19

 チシマウスバスミレの自生地は比較的限定されていますが、長野県と新潟県の県境にある野々海池湿原では、溜め池として利用することとなったために自生地全体が池の底に沈んでしまったのだそうです。昔の話で、当時の状況では雑草より田圃の方が大事だったのでしょうね。
2008/05/21

(つぶやきの棚)徒然草

 (2006/06/19) Latest Update 2023/06/12 [435KB]

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