シロバナエゾノタチツボスミレ (白花蝦夷の立坪菫) [エゾノタチツボスミレの品種]
シロバナエゾノタチツボスミレ
北海道 2010年6月3日
シロバナエゾノタチツボスミレ シロバナエゾノタチツボスミレ
シロバナエゾノタチツボスミレ シロバナエゾノタチツボスミレ
シロバナエゾノタチツボスミレ シロバナエゾノタチツボスミレ
シロバナエゾノタチツボスミレ
北海道 2010年6月3日
分類 タチツボスミレ類 エゾノタチツボスミレの品種。
学名 基本種 エゾノタチツボスミレ Viola acuminata Ledebour
変種 Viola acuminata var. pilifera C. J. Wang
品種
シロバナエゾノタチツボスミレ Viola acuminata f. alba Moriya
ケナシエゾノタチツボスミレ Viola acuminata f. glaberrima (H.Hara) Kitam.
異名
Viola micrantha Turcz.
Viola laciniosa A. Gray
由来 acuminata : 先細りの、鋭尖の
外語一般名 【中】鸡腿堇菜
茎の形態 花色が白色で、紫色の条が薄く入る以外は、母種に準ずる
生育環境
分布 国内
海外
補足
花の特徴 形状
花期
花柱
芳香
補足
葉の特徴 形状
補足
種の特徴 形状
補足
根の特徴
絶滅危惧情報
基準標本
染色体数
参考情報
その他

シロバナエゾノタチツボスミレ シロバナエゾノタチツボスミレ
山梨県南都留郡 2006年5月16日 alt.=1,020m 一応、白花(境界線付近の型)

シロバナエゾノタチツボスミレ シロバナエゾノタチツボスミレ
シロバナエゾノタチツボスミレ シロバナエゾノタチツボスミレ
シロバナエゾノタチツボスミレ
長野県 2004年5月28日 alt.=1,500m
 エゾノタチツボスミレは白い花の方が多いと言われます。例によって、決して白花変種だけを指し示す訳ではありませんので、境界線が不明確です。
 写真の数が増えたこともあって、シロバナエゾノタチツボスミレのページを分離独立させたのですが、改めて、過去に撮影した個体についても白い花が多いことを確認しました。
2010/06/13

 シロバナエゾノタチツボスミレについては幾つかの表現があり、表面的には混乱状態に見えます。

 橋本保氏WHO!の「日本のスミレ*(出典:N002) 」では、エゾノタチツボスミレは『花は白色に紫のすじがある品と、淡紫色の品があり、長野県北安曇郡あたりのものをみると、白花より淡紫花が大輪で、(中略)。学名の上からは白花が基本型になります。』と記載されており、その意味では当然ですが、シロバナエゾノタチツボスミレ( f. alba)という言葉は登場しません。
 一方、浜栄助氏WHO!の「日本のスミレ*(出典:N001) 」では、シロバナエゾノタチツボスミレは『白色花のものを言い、一般に淡紫色花のものよりも全体に小形の傾向がある。』と記載しています。
 さて、前二者に比べれば新しい書籍である「信州のスミレ」では、シロバナエゾノタチツボスミレは『白花で全体が小形のものをいう。花弁は丸みを帯びるものが多い。前述のエゾノタチツボスミレの白色花とは違い、草丈の短いものに名付けられた。』として、全く別ものという扱いをしています。

 浜栄助氏の「日本のスミレ」や講談社のFlora of Japan を読む限り、シロバナエゾノタチツボスミレはエゾノタチツボスミレの白っぽい花を指しており、細かく区別するような記載は見当たりません。白花変種と白っぽい花を持つ個体の差異でもありません。北陸の植物の会のJournal of Geobotany(1960年の記載)を知りたいところですが、やはり、色違いの品種と理解するのが素直ではないかと思われます。
 これら記載の主旨は『長野周辺では白花が少し小さめな傾向がある』と理解しており、例えば、北海道産の場合、そのような傾向はなさそうでした。
 中国やロシアの資料もあたってみたのですが、元々、エゾノタチツボスミレは淡紫色から白色のスミレであって、白っぽい花の品種自体が登場しません。シロバナエゾノタチツボスミレという品種は海外では知られていないのかも知れません。

 橋本氏が語る『学名の上からは白花が基本型』が正しいとすれば、後世に白花の品種が追加される事態は妙な展開です。敢えて言えば、ミドリフジスミレの例にもあるように、空色の花の方こそが品種として扱われるのが妥当なところでしょうね。
 知り得る限り、比較的に新しい時代に、日本でMoriya(守屋忠之?)氏が追加的に品種として発表したということになろうかと思います。その時の記載情報を知りたいところですね。ただ、花の色合いの違いだけでなく、草丈や花びらの形状などの性質まで違うことを基礎に名付けたということであれば「品種」という認識とは異なるような気がして、これが「変種」とされたのなら、少なくても話は理解できようというものです。どちらにしても、局地的な傾向で、東アジアからロシアまで広く自生している植物の学名が決定されようはずはないかなぁと思うわけです。
2016/06/20

 調べていくと、エゾノタチツボスミレの白い花とは違うシロバナエゾノタチツボスミレなるスミレは、草丈が低く、花びらが丸く、全体に毛が少ないという具合に、時間とともに話に尾ひれが増えていくようです。現状に至る経緯が十分には分かっている訳ではありませんが、もっとシンプルに考えて良いケースではないかと思います。
2016/06/23


シロバナエゾノタチツボスミレ シロバナエゾノタチツボスミレ
山梨県南都留郡 2007年5月7日

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 (2010/06/13) Latest Update 2023/03/13 [770KB]

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