ナガバノタチツボスミレ (長葉の立坪菫)
ナガバノタチツボスミレ
ナガバノタチツボスミレ
神奈川県 2009年3月20日 植栽
ナガバノタチツボスミレ ナガバノタチツボスミレ
ナガバノタチツボスミレ
佐賀県多久市 2007年3月8日

ナガバノタチツボスミレ ナガバノタチツボスミレ ナガバノタチツボスミレ
2001年4月

サクラの開花宣言の後にボタ雪に見舞われました
25年ぶりの珍事だそうです
花芽が膨らんでからの雪では寒かったでしょうね

ナガバノタチツボスミレ ナガバノタチツボスミレ
  • 徳島県佐那河内村 2009年5月6日 alt.=580m
  • 愛媛県久万町 2009年5月10日 alt.=950m
分類 タチツボスミレ類
学名 基本種 ナガバノタチツボスミレ Viola ovato-oblonga (Miq.) Makino Published in: B. M. T. 21: 59 (1907)
変種
品種
シロバナナガバノタチツボスミレ V. ovato-oblonga f. albiflora Honda Published in: J. Jap. Bot.,24: 30 (1949)
マダラナガバノタチツボスミレ V. ovato-oblonga f. variegata E.Hama Published in: J. Jap. Bot.,51(11): 339. (1976)
ケナガバノタチツボスミレ V. ovato-oblonga f. pubescens (Nakai) F.Maek. Published in: Enum. Spermatophytarum Japon. 3: 211. (1954)
アサギケナガバノタチツボスミレ V. ovato-oblonga f. luteoviridiflora (Araki) F.Maek. Published in: ESJ 3: 211 (1954)
異名
V. grypoceras var. ovato-oblonga (Makino) W.Becker Published in: Beih. Bot. Centralbl. Abt. 2, 40: 41. (1923)
V. micrantha subsp. shikokuensis W.Becker

ニオイタチツボスミレ Viola obtusa (Makino) Makino [B. M. T. 26: 151 (1912)]
由来 ovato-oblonga : 卵状長だ円形の
外語一般名 【韓】긴잎제비꽃
茎の形態 有茎種
生育環境 水はけの良い半日陰を好む。
分布 国内 静岡県から鹿児島県までの西日本で見られる。
海外 韓半島。
補足 近年、筑波山(茨城県)で観察されている。宮城県と千葉県のケースは逸出集団とされた。 cf. : 吉田、根岸、早川(2018)
花の特徴 形状 中輪。花弁は細め。芯が白く抜け、ニオイタチツボスミレに似る。
側弁の基部は一般に無毛。稀に、側弁の基部が有毛の個体が見られる。
紫から淡紫色。濃いめの花色が多い。
長く先が細くなる円筒形で、反ることが多い。赤紫色を帯びる。
花期 時期は普通、期間は少し長い。
花柱 棒状。
芳香 微香があるとされる(未確認)。
補足 萼が細長い。
葉の特徴 形状 根生葉は心形、茎生葉は細長くなる。先端は軽く尖る。
表面は暗い緑色。裏面は暗い赤紫色(花後は薄くなる)。葉脈HELP!に赤い斑が入る。
補足
托葉は披針形鋭頭。櫛の歯状。タチツボスミレより鋭く切れ込んでいる。
花期には展開しきらず、巻く。先端の茎生葉には、極端に細長いものも見られる。
種の特徴 形状 中小粒。卵形。
濃茶褐色。種枕は白色。
補足
根の特徴
絶滅危惧情報 環境省【絶滅危惧II類(VU)】 HELP!、千葉県:絶滅危惧Ⅰ類
基準標本
ケナガバノタチツボスミレ : 広島県内(京都大学収蔵)、その他
マダラナガバノタチツボスミレ : 大分県大分郡湯布院町 1963.4.28 by E.Hama (京都大学収蔵)
シロバナナガバノタチツボスミレ : 徳島県佐那河内村 (T.Inobe 234, in 1944, TI*(東京大学植物標本室)).
染色体数 2n=20
(Yoshioka, H. & R. TANAKA. 1984. On the occurrence of accessory chromosomes in Viola ovato-oblonga. Chromosome Inf. Serv.)
参考情報 筑波山に生育するナガバノタチツボスミレ(スミレ科)について 吉田政敬, 根岸さえ子, 早川宗志
その他
ナガバタチツボスミレと表現している書籍もある(cf.:平凡社「日本の野生植物」)。
種苗会社で八重咲き種を販売しているが、2008年では1株2,200円であった。2018年には1,200円で販売されていた。

ナガバノタチツボスミレ
神奈川県 2010年3月19日 植栽
ナガバノタチツボスミレ ナガバノタチツボスミレ
ナガバノタチツボスミレ
神奈川県 2012年3月22日 植栽
 静岡県で先の尖った細長い葉を持つタチツボスミレ風なすみれを見つけました。花は終わっており、花の特徴で調べることができない状態でしたが、その特徴、特に根茎と托葉の形態からナガバノタチツボスミレとみなしました。
2000/06/06

 花を確実に確認したいという気持ちから、実生で育てていた株に花がつきました。きりっとした美しい花です。余り大きな株ではないのですが、たくさんの花が見られました。花期も長そうです。
2001/04/11

 2006年に九州の阿蘇くじゅう国立公園を旅している時、コタチツボスミレばかりが気になっていてナガバノタチツボスミレを意識していませんでした。シハイスミレやニオイタチツボスミレが咲く明るい山林で、妙なタチツボスミレ系の株をたくさん見つけました。葉の裏が赤紫色を帯びていて、交雑種なのか全く分からないまま戻り、ネット上でのアドバイスをきっかけにマダラナガバノタチツボスミレと判明しました。「写真集 日本のすみれ」に掲載されていた写真で確信できたという訳です。
2006/05/09

 2007年に九州北部を流していた時に、マダラナガバノタチツボスミレと思われる個体に出逢いました。特徴が頭に入っていたので間違いないと思いながら、花と距HELP!の色が気になって仕方がありません。タチツボスミレならばオトメスミレと呼ばれるべき外観です。やはり、家に戻ってから、ああでもこうでもないと悩んでシロバナナガバノタチツボスミレとしました。ここまで分類するか否か微妙なところです。
2007/03/14


ナガバノタチツボスミレ
神奈川県 2010年3月19日 植栽
ナガバノタチツボスミレ
神奈川県 2013年3月20日 植栽
 ナガバノタチツボスミレという名称から、葉が細長いものだと決めてかかっていた時代がありました。現実には、そうでもありませんよね。でも、逆に真上の写真のような『いかにも細長い葉』を持つ型を見かけるとニヤリとしてしまいます(笑)。
2014/03/26


ナガバノタチツボスミレ ナガバノタチツボスミレ
ナガバノタチツボスミレ
兵庫県 2022年4月19日
走り回った範囲では自生数が最大の普遍種でした。
草丈が小さい状態で開花しており、丸めの根生葉ばかりの個体も多いのですが、葉の色合いと葉脈にある赤みが独特です。
茎生葉が展開すれば、疑いようもなくナガバノタチツボスミレであることが分かります。

 茨城県つくば市北端の筑波山で採集された標本が、ミュージアムパーク茨城県自然博物館に所蔵されています。記録日は20110531とあるのですが、採集日ではないかも知れません。吉田政敬氏らの報告によりますと「ナガバノタチツボスミレの分布面積はおよそ数 m ×数 m であった」他、数カ所で集団が見られるという状態であり、「自生か国内移入かを結論付けることはできなかった」としています。
 迷いながらですが、このページ上部リンクから確認できる「国内水平分布」には加えませんでした。
2022/02/09

ナガバノタチツボスミレ ナガバノタチツボスミレ
茨城県 2023年4月4日
 筑波山に出掛けた際、件の「自生か移入か不明」のナガバノタチツボスミレに出逢ってしまいました。上記の新産地報告には「9年間の観察結果、狭い範囲で観察されている」旨が記載されています。まさか、出逢うとは想定もしておらず、独特な色合いのニオイタチツボスミレもあるもんだ!ぐらいに思っていました。
 ところが、葉脈が赤かったり、花の特徴もきれい系のナガバノタチツボスミレなのです。更に、どう見てもニオイタチツボスミレにしか見えない個体群が登場した結果、これはナガバノタチツボスミレであると同定せざるを得ませんね。存外、広い範囲で観察され、個体数も多いことが分かりました。また、3種のタチツボスミレ類が混在しており、それぞれ、中間的な姿をした個体も見られました。
2023/04/05


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 (2000/06/06) Latest Update 2024/04/12 [1.85MB]

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