ヴィオラ・アルベンシス - Viola arvensis - [別名:マキバスミレ(牧場菫)]
ヴィオラ・アルベンシス
2022年3月25日 植栽
ヴィオラ・アルベンシス ヴィオラ・アルベンシス
2006年8月7日 植栽

ヴィオラ・アルベンシス
2020年5月23日 植栽
分類 Melaniumグループ(節)
学名 基本種 ヴィオラ・アルベンシス Viola arvensis Murray Published in: Prodr. stirp. gott. 73 (1770)
亜種
Viola arvensis subsp. andina W.Becker
Viola tricolor subsp. megalantha Nauenb.
品種
異名
Viola tricolor L. var. arvensis (Murr.) DC.
Viola tricolor L. var. arvensis (Murr.) Boiss.
Viola tricolor L. ssp. arvensis (Murr.) Gaudin
Viola banatica Kit. ex Roem. et Schult.
Viola nana (DC.) Godr.
Viola ruralis Jord. ex Boreau
Viola segetalis Jord.
由来 arvensis : 田畑に咲く
外語一般名 【英】European field pansy、Field violet、Heart's Ease、【中、台】野生堇菜、【西】Violeta、Pensamiento
茎の形態 有茎種
生育環境 中性または石灰質の水捌けと日当たりの良い土壌に生育する。草原や路傍など、普通の耕作地などでも見られる。海岸から高山まで適応する。
分布 国内 逸出株が野生化している。
海外 欧州、北アフリカ、ロシア、西アジア、オセアニア、南米、北米(グリーンランドを含む)に分布、各地で帰化報告されている。
補足 侵入危惧雑草種
花の特徴 形状 極めて小輪。唇弁が大きく、縦に細長いイメージを与える。側弁に毛がある。
全体が淡黄色で中心部が黄白色(クリーミィ・ホワイト)。萼片の色が濃いものも見られる。
唇弁の中心部が濃い黄色で、他は淡い色合いであることが多く、これが典型品であろう。ロシアなど海外のサイトでは側弁も濃い個体が見られる。同様、上弁が淡紫色を帯びている個体、紫条が目立つ個体も見られる。
細い棒状。紫色を帯びる。
花期 長い。早春から秋口まで咲き続けることがある。自生地では5~9月。
花柱 虫頭形。
芳香 香りが良いとの報告がある(植栽品では未確認)。
補足 萼片の方が花弁より長い。花茎が著しく長い傾向がある。
葉の特徴 形状 幅10mm程度の細長いさじ葉、先端が尖り、粗く尖った鋸歯HELP!を持つ。下方の葉は卵形。
表裏面とも濃緑色。
補足 葉身HELP!に匹敵する大きな托葉HELP!が特徴的で、その基部には櫛状に深く裂ける。
種の特徴 形状 倒卵形。へその方へ尖る。小粒。
種子:薄い茶褐色。光沢がある。
補足 花びらは小さいが、果実は丸くて、花の大きさに比して大きめ。主に自家受粉。
根の特徴 白色でまっすぐに伸びる。
絶滅危惧情報
基準標本 スイス。
染色体数 2n=34
参考情報
栃木県那須塩原市に帰化したヨーロッパ産雑草Viola arvensis Murray(2006)
  北川美弥、西田智子、山本嘉人(畜産草地研究所)、森田弘彦(中央農業総合研究センター)
その他 草丈は10~30cm程度。パンジーの交配親の一つとして知られているが、自生地では、ほぼ雑草として扱われている。
この種に含まれる物質にヒトがん細胞に対する細胞傷害活性が認められると報告されている。
事実上、生育の早い一年草(Annual herb)として扱われている(冬の気温に依存する)。

ヴィオラ・アルベンシス ヴィオラ・アルベンシス
ヴィオラ・アルベンシス ヴィオラ・アルベンシス
2007年5月27日 植栽
ヴィオラ・アルベンシス  今年の「5月」は気温の高くなり、もう庭で花を咲かせているのはシロバナリュウキュウコスミレとパンジー、ニョイスミレがちょっとだけになってしまいました。雑草を除去しながら、通常花からのタネを確保しようと鉢の確認をしていましたら、アルベンシスが小さな花を咲かせているのに気付きました。単三乾電池を比べてみた写真で一目瞭然ですが、とにかく植物体全体が小さいのです。
2007/05/27

ヴィオラ・アルベンシス  ところで、唇弁の右側に何かが?!拡大してみましたら、なんと、これは更に小さな羽虫でした。直接計ることができませんが、唇弁の幅が5mmに少し足りないというサイズです。比率で計算しますと、0.5 x 0.2mm程度でしょうか。o(^▽^)o
2007/05/27


ヴィオラ・アルベンシス
2010年4月13日 植栽  遠方にある春待草の方が大きくて、遠近感が・・・ 
ヴィオラ・アルベンシス
2012年4月13日 植栽

 自生地では繁殖力の強い雑草という位置づけですが、日本に帰化しているという報告があります(2006年)。明示的な和名が付けられた痕跡はないとして「マキバスミレ」という和名が提唱されました。同報告によると「東アジアに侵入する可能性のある雑草(侵入危惧雑草種)」とみなされていたのですが、それが具現化したという訳です。(cf.雑草研究 51(4))
2008/06/25

ヴィオラ・アルベンシス
2009年5月19日 植栽

 種子を入手してから数年になりますが、冬に姿を消して、初夏にひょっこりと顔を出します。実は、毎回、違うところから顔を出して驚かせるのです。今年は、ニョイスミレが咲く鉢に並んで咲きだしたのですが、ある鉢は完全に乗っ取られて、はじめから単独で育っていたかのようです。今年は種子を確保して、もう少し増やそうかと思います。もっとも、何もしなくても勝手に増えてくれそうです。
 以前にも記載しましたが、侵入危惧雑草種という扱いで、輸入穀物などに混入して越境する駆除の難しい雑草なのです。意外にも発芽適温が低いようで、日本では北海道から南下するように侵入が危惧されていたそうですが、実際には高原の牧草地に土着してしまいました。
2009/05/23

ヴィオラ・アルベンシス ヴィオラ・アルベンシス
2011年5月3日 植栽 2011年5月28日

 小さな花をたくさん咲かせるという意味で、ニョイスミレのような生活史を持つすみれだろうと思っていました。しかし、とんでもないことに、これだけ草丈が高くなるのです。実は、撮影の後にもっと伸びて、上の段まで首を出したところで、支えがないので風に負けて倒れてしまいました。エゾノタチツボスミレかタデスミレのように草丈で周囲の植物に勝ってしまう強さがあるようですね。
 もう一つ、比較的早い段階から花を咲かせ始めて、実は今でも咲いています。花期が長く、草丈が高く、花の数が多く、小さな花に比して大きな果実を作って種子をたくさん放出します。確かに『侵入危惧雑草種』の片鱗を垣間見ることができました。
2011/05/27
 今年、種子を播いて育てた株が6月にはもう花を付け始めました。他の種ですと、秋までに株を充実させて次の春から咲き始めるところです。つまり、数ヶ月間で次の世代を生み出す能力があるということですね。改めて、とてもパワフルな遺伝子を持っていると痛感しました。
 近年、ガーデン・パンジーは日本が育種の中心地となっており、ヴィオラ・アルベンシスの遺伝子が組み込まれるようになりました。当然、花は小さめになったのですが、多花性と丈夫な性質を手に入れました。同時に、耐暑も手に入れたのかも知れません。
2012/06/30
 やっと、房総半島などの温かいエリアでタチツボスミレが咲き始めたという話が聞こえてきました。庭の鉢たちにも小さな動きがあるようです。観察していると、ヴィオラ・アルベンシスと目される幼株の動きが最も活発に見えます。なんと、春の動き出しも早かったのですね。
2014/03/04
 ヴィオラ・アルベンシスは俗に "European field pansy" と呼ばれています。一方、"American field pansy" と呼ばれている Viola bicolor という種があり、両者は極めてよく似ているようです。近縁種だろうと思われ、写真で拝見する限り、見分けるのは難しいですね。現地の方々ですら、区別なく "Field pansy" や "Heart's Ease" と呼んでいます。
 ところで、少し困った話ですが、Viola bicolor は北米での呼び名らしく、実はアイルランドなどにも自生していて、異名であるViola kitaibeliana で知られています。同じ種なのに、こちらは "Dwarf Pansy" と呼ばれているそうです。
2015/12/03

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(2006/08/09) Latest Update 2024/03/07 [645KB]

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