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2008年07月31日

菫展見聞録 (7)

 
 実際に山で見つけたことがあるキリガミネスミレという交雑種です。両親のスミレとシロスミレは外見的に良く似ていて、遠目には花の色が濃紫色か乳白色かの違いに見えます。自生地で探索している時、葉や全体の姿では分かりませんので、判断ポイントは花の様子に集約されることになるのでしょうね。
 山で見つけた個体は地味な花が一つ二つというパターンでした。シロスミレは一般に花が少なめですから、ポツリと咲く姿の方が自然なのかも知れないと思っていたのですが、後に「けっこう花付きが良いようだ」という話を知ることになります。展示会の個体はなかなか派手な紋様の花をたくさん咲かせています。このような花が高原に咲いていたら、楽しいのですけれども目立ってしようがないでしょう。
キリガミネスミレ
<紹介>趣味のサイト「花の写真館」は、基本サイトの「四季の山野草」、そこから独立した「すみれの部屋」「イカリソウの部屋」、サイドストーリー「野の仲間たち」等で構成されています。特に「すみれの部屋」には多くの方に訪問いただきました。サイトの一部「徒然草=つぶやきの棚」をブログで再現しています。

2008年07月29日

菫展見聞録 (6)

 
 カスガスミレに続き、スミレを片親とする交雑種ですが、無茎種同士の組み合わせであり、同時期に似た環境で咲いているので「想定の範囲」と言われそうなヒメスミレとの交雑種です。ヘイリンジスミレと名付けられました。両親は良く似ているのですが、スミレの顔にヒメスミレの特徴である白い距が覗く姿を見ると、なるほどなぁ!と思ってしまいますね。
 資料によると、埼玉県岩槻市にある平林寺で見い出されたとされます。コモロスミレは発見地である海応院で今も見られるそうですが、これは例外であって、いつも見られる訳ではないのでしょう。でも、一般にお寺の境内であれば見られる可能性は高そうな気がします。ただ、見て判別できるか否かは別問題ですね。
ヘイリンジスミレ
<紹介>趣味のサイト「花の写真館」は、基本サイトの「四季の山野草」、そこから独立した「すみれの部屋」「イカリソウの部屋」、サイドストーリー「野の仲間たち」等で構成されています。特に「すみれの部屋」には多くの方に訪問いただきました。サイトの一部「徒然草=つぶやきの棚」をブログで再現しています。

2008年07月27日

高原巡見記(19)

 
 余りに見事なキバナノコマノツメでしたので、おまけの続編です。高山にある草原では、夏の一時に花を咲かせて子孫を残す植物たちが一斉に輝き始めます。このような場所を登山者たちは「お花畑」と呼ぶのですね。
 ここでも多くの高山植物が花を咲かせていました。ご覧のコイワカガミの他にもチングルマ、シナノキンバイ、コバイケイソウ、ミヤマクロユリなどが一面に咲いている光景は確かに「お花畑」そのものでした。また出掛けてみたいと思っています。蛇足になるのですが、実は、別のすみれがもう一種自生していることを当日知ったのです。予定外かつ情報不足で、その日は無理をせず、楽しみが増えたと思いながら帰路につきました。
キバナノコマノツメ
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2008年07月25日

高原巡見記(18)

 
 今年の春(夏)最後の短いすみれ旅に行ってきました。当然、標高は高くなるばかりで2,600mを突破してしまいました。やぁ、いましたねぇ。出迎えてくれたのは、数え切れない数で一面に花を咲かせるキバナノコマノツメでした。
 ここは中央アルプスと呼ばれる山岳帯です。7月初旬に奥羽(北東北)の高山で出逢ったことを考えると、7月下旬であり、緯度を考え合わせると標高のすごさを痛感します。でも、よく考えれば、国内でも屋久島まで見られ、台湾や更に南方でも自生している訳ですよね。中国の資料では800m-4,100mに自生していると記載されていました。これはネパール辺りのことでしょうか。
キバナノコマノツメ
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2008年07月23日

菫展見聞録 (5)

 
 「そんなの、あり?」と驚かされる交雑種をもう一つ。少し小さめで横長の花を咲かせるすみれは、なんとツクシスミレとスミレの交雑種だそうです。やはり異節間の組み合わせで、可愛らしい花をたくさん咲かせるカスガスミレです。
 花弁全てに紫条がすっと入って、もう少し大きかったらオオバタチツボスミレを彷彿とさせます。また拝見できて嬉しくなりました。でも、一方の親が有茎種なのに、どうして茎がひょいと伸び出さないのでしょうか。両親の染色体数の差で説明されることがあり、スミレの方が多いので無茎種の特徴が発現するのだとか。あはっ、確かめたければ自分で色々交配して育ててみるしかないということです。(´`;)
カスガスミレ
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2008年07月21日

菫展見聞録 (4)

 
ヤクモスミレ  展示会では「そんなの、あり?」と驚かされる交雑種を拝見することがあります。このキリッとして綺麗なすみれはニョイスミレとスミレの交雑種なのだそうです。異なる節の間の組み合わせですね。展示札にはヤクモスミレと記載されていました。
 ニョイスミレは個体数が多いという事情もあるのでしょうが、他にもオグモスミレと呼ばれるフモトスミレとの異節間交雑種、サツマスミレと呼ばれるツクシスミレとの珍しい異節間交雑種が知られています。後者は同じ有茎種ですが、別のグループに属していますね。情報がとても少ないのですが、やはり人工交配種のようですね。
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2008年07月19日

菫展見聞録 (3)

 
ヴィオラ・オドラータ Mrs. R. バートン  ニオイスミレ( Viola odorata )と言えば大きくて強い色合いの花が多いイメージがありませんか。その中で、色合いも名前もソフトな逸品として、この" Mrs. R. バートン "は逆に個性的な存在かも知れません。残念ながら、花の盛りを過ぎていて花弁をたたもうとしている状態です。まぁ、生き物ですから、仕方がありませんね。ニオイスミレはハーブ、つまり野菜として畑で育てられてきた植物の末裔ですから、小さな鉢にこぢんまりと収まるタイプではなくて、大きな葉を茂らせてボワっと咲くのが正しいのでしょう。
 この選別種はバートンさんが責任者を務めるすみれ園で選別されたものだそうですが、やはり公私混同ですよね(笑)。でも、このような命名も許された大らかな環境だったのかも知れません。
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2008年07月17日

菫展見聞録 (2)

 
ヴィオラ ガバナー・ヘリック  展示会では、余り目に触れない系統の外国種等が展示されていて嬉しくなってしまいますね。それでも、この大きい濃紫色のすみれは比較的良く見掛ける方なんですよ。これはガバナー・ヘリックと名付けられて栽培歴の長い交配種なのです。
 20世紀初頭に米国で栽培されるようになったそうですが、一般的な交配種の常として不稔性です。どうやって、百年を越える期間にわたって栽培され続けてきたのでしょうか。残念ですが、ニオイスミレを片親に持ちながら芳香性は極めて弱く、もう一方の親であるソロリア系の性質を受け継いでしまったようですね。歴史の長さが混乱を生んでしまったのか、良く似た性質の選別品種が複数存在して、現実には区別できない面を持っているそうです。
<紹介>趣味のサイト「花の写真館」は、基本サイトの「四季の山野草」、そこから独立した「すみれの部屋」「イカリソウの部屋」、サイドストーリー「野の仲間たち」等で構成されています。特に「すみれの部屋」には多くの方に訪問いただきました。サイトの一部「徒然草=つぶやきの棚」をブログで再現しています。

2008年07月15日

菫展見聞録 (1)

 
 この春も各地のすみれ展示会を拝見させていただきました。でも今年は開催日が重なるケースが多くて、出掛けたい気持ちの半分も行動に移すことができなかったのが残念でしたが、拝見できた展示会の復習をしてみようと思います。
 特に目に付いたのは橙色というか杏色というか、すみれのイメージとは異なる色の花を咲かせる外国種でした。パンジ-では稀に見掛ける色ですね。外見的には少し葉の大きめのオドラータ似です。情報が少ない中で、硫黄色を意味する"Sulphurea"が候補にのぼるところですが、展示札と英国書の記載が合致しているようなので、黄昏を意味する"Crepuscule"かなぁと思います。同じものだったりしないでしょうね。(^.^)
ヴィオラ・オドラータ クレプスキューレ
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2008年07月13日

高原巡見記 (17)

 
シロスミレ  最後に辿り着いた自生地で待っていてくれたのは、高貴な雰囲気を醸し出すシロスミレでした。ポツンポツンと咲くものかと思っていたのですが、とても嬉しいことに、まとまって花を咲かせていました。頭の中で固まりつつあるイメージを変える出逢い、それは繰り返し通うことになっても大事なことだと思うのです。
 さて、高原を巡った旅のお話も、ここで最後になります。正確には、来年以降のためにもう一つの自生地に立ち寄ったのですが、すっかり薄暗くなってしまって、場所を見回しただけで終わってしまいました。まぁ、これはこれで是とするしかないでしょう。
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2008年07月11日

高原巡見記 (16)

 
 更に移動して、高原を巡る旅の最後の自生地にやってきました。太陽が低くなってしまう前にすみれたちに出逢うことができるのか、ちょっとハラハラしながら、狭い山道を駆け上がって行きます。そして頂上付近で、なんとか咲き残っているサクラスミレに出逢いました。
 周囲に林があって、ちょっと太陽の光が不足気味ですが、幸いにもサクラスミレらしい色に撮れていました。環境が合えば大量に自生しているすみれですが、花期の尻尾にしがみついたようなもので、さすがに花は少なかったのです。ここは花のアップで、側弁の毛も忘れずに入れて撮っておきました(笑)。
サクラスミレ
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2008年07月09日

高原巡見記 (15)

 
エゾノタチツボスミレ  この自生地で最も元気だったのはエゾノタチツボスミレでした。タデスミレやタチスミレ並の草丈になる豪快なイメージのすみれです。こんな風に淡紫色に咲くかと思えば、すぐ横でほぼ真っ白い花を咲かせたりして、見ている方は楽しくなりますね。
 ただ、高い草丈を意識してしまって、気が付くとカメラを縦にして植物全体を写す「縦位置写真」ばかりを撮っていました。ちょっと初心に返って、花のアップを狙ってみました。その場ではなかなか良い感じに撮れたと思っていたのですが、ダメですね。構図ばかりにとらわれてしまって、大事な髭(側弁の毛)が写っていませんでした。
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2008年07月07日

気軽にお出かけ (6)

 
シハイスミレ or マキノスミレ  雨が降らずに済んだ週末パート2、やはり気になっていた自生地に足を運んでみました。四輪で海に行く途中に立ち寄ったのは困ったすみれの自生地です。
 上方から葉を見ると典型的なシハイスミレの形状で、ヒナスミレ風にさえ見えますね。でも、横から見ますとかなり立ち上がっているのです。さて、今回の観察ポイントは「花期に淡紫色掛かっていた葉の裏面がどうなっているか!」の1点でした。ご覧の通り、紫系色素は抜けて淡緑色に変化しています。ただ、葉柄は赤みを帯びていますね。これらは共にマキノスミレの特徴です。ここまで調べた結果として、マキノスミレに近い中間型だと自分なりの結論を出しました。
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2008年07月06日

気軽にお出かけ (5)

 
タチスミレ  曇天ながら、なんとか雨は降らなかった週末、気になっていた自生地に足を運んでみました。今日、四輪より自由が利く二輪で出掛けたのは、平地で真夏日にも花を付けるタチスミレの自生地です。
 ご覧の通り、なんと、まだ花を付けていました。でも、もう最終段階であることは明らかです。草丈の方は残念ながら1mには達していないようですが、90cm前後の株はそこいら中にありました。それから細長い黄緑色の朔果があちらでもこちらでも膨らんでいます。絶滅危惧種ながら、これまで同様の保守管理を続ける前提ですが、この自生地に関する限りは盤石だという気がしました。
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2008年07月05日

高原巡見記 (14)

 
 なんとかた花期の尻尾を捕まえることができたようです。ここは標高で言えば尾瀬と同程度ですが、なにしろ日向ですから、早々に店仕舞いという可能性もありました。
 不思議なことに、いつも、このポイントだけにびっしりと群生しているのです。ここの個体ですが、花に関する限り、典型品とは言えないようですね。典型品はもっと唇弁が大きくて、全体に伸びやかなイメージの花が多いのではないでしょうか。いずれにしても、場所や環境によって様々な雰囲気の花を咲かせることは事実です。それでも、葉の形状が「ミヤマスミレだよ」って自己紹介してくれているような気がします。
ミヤマスミレ
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2008年07月03日

高原巡見記 (13)

 
 遠目でも、この目立つ赤斑は目に付きますよね。ちょっと止まって観察してみました。しっかり深く刻まれた赤斑です。赤い部分の面積がもっと広い株は多く見られました。一方で、斑のない通常の個体も混じっているのです。
 この赤斑というものは花後に消えてしまう場合もあると聞きます。でも、残念ながら、自分の目できちんと確認できていません。昔は、近所にもたくさん見られたのですが、巨大な重機が見渡す限りの森を切り開いてしまいました。あれから、もう何年?たくさんの住宅が建ち並んでいます。公園や未分譲地を歩いてみるのですが、さすがのすみれたちも復活は難しいようです。
タチツボスミレ(赤斑)
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2008年07月01日

高原巡見記 (12)

 
タデスミレ  また花期に間に合わなかったのは綺麗な緑色の葉が茂るタデスミレです。細長い朔果を膨らませていましたが、茎や葉に比べると何とも小さく見えますね。これは朔果が小さいというよりも、比べている植物体の方が甚だ大きいのです。
 事実上、世界中で自生地はここだけになったと言われて久しくなります。以前、ここで自然保護のためのパトロールをされている方々に出逢いました。あれから数年経っていますが、お陰さまで個体数も自生地の状態もは維持されているようです。ここを知る絶対人数は決して少なくないと思うのですが、嬉しい現象ですね。
<紹介>趣味のサイト「花の写真館」は、基本サイトの「四季の山野草」、そこから独立した「すみれの部屋」「イカリソウの部屋」、サイドストーリー「野の仲間たち」等で構成されています。特に「すみれの部屋」には多くの方に訪問いただきました。サイトの一部「徒然草=つぶやきの棚」をブログで再現しています。