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2008年08月30日

菫展見聞録 (22)

 
 ちょっと下向き加減で静かに咲いているのはマルバスミレです。なるほど!と思いながら、少し違和感を感じている方がいらっしゃるかも知れません。実に鋭いですね。実は二度目の登場なのですが、これは白変種、すなわち真に純白のマルバスミレなのです。
 一般にマルバスミレは純白~と形容されがちですが、多くは唇弁や側弁に紫条が入り、距にも薄く紫色が滲んでいます。稀に花弁に淡い紅色が入るものまでありますが、それは別として、少なくても花茎には少し赤味が浮かぶのが普通でしょう。一方、この個体は文字通りの「青軸」で、花弁がふっくらと丸い端正な姿をしています。こんな綺麗な株を見てしまうと、よく見掛けるマルバスミレを純白と呼んではいけないと感じてしまいますね。
マルバスミレ(白変種)
<紹介>趣味のサイト「花の写真館」は、基本サイトの「四季の山野草」、そこから独立した「すみれの部屋」「イカリソウの部屋」、サイドストーリー「野の仲間たち」等で構成されています。特に「すみれの部屋」には多くの方に訪問いただきました。サイトの一部「徒然草=つぶやきの棚」をブログで再現しています。

2008年08月28日

菫展見聞録 (21)

 
トミオカスミレ  すみれ交配の先駆け的な存在である鈴木吉五郎氏作出のトミオカスミレです。葉の模様から想像できるように片親はスミレの品種のニシキスミレですが、もう一方の親は何でしょうか。資料には中国や朝鮮半島に自生するフイリゲンジスミレとあります。ともに葉の模様に特徴がある組み合わせですね。
 ところが、ニシキスミレの母種はスミレ、フイリゲンジスミレの変種で日本に自生するのはゲンジスミレですが、スミレとゲンジスミレが両親という場合はキソスミレと呼ばれることになります。こんなことだから、すみれは難しいと言われてしまうのでしょうね。基本的に和名には登録制度はなくて、また、当時はそれなりの事情があったのかも知れません。まぁ、現在なら少しは相互監視ができるのでしょう。
 [注] 植物には、別に学術目的とは異なる品種登録制度がありますが、鈴木進氏の「久我の舞」など、登録件数は極めて少ないのです。
<紹介>趣味のサイト「花の写真館」は、基本サイトの「四季の山野草」、そこから独立した「すみれの部屋」「イカリソウの部屋」、サイドストーリー「野の仲間たち」等で構成されています。特に「すみれの部屋」には多くの方に訪問いただきました。サイトの一部「徒然草=つぶやきの棚」をブログで再現しています。

2008年08月26日

菫展見聞録 (20)

 
 ハイブリッドの話が続きましたので、お口直しになるか分かりませんが、変種の品種を持ってきました。ややこしさは五十歩百歩かも知れませんが、端正なマスクに免じて、ご容赦下さい。これはエイザンスミレの変種であるヒトツバエゾスミレの品種で、ナルカミスミと呼ばれています。残念ながら、撮影角度の関係で葉の様子が良く分かりませんが、母種が持つ独特の葉が単葉化して普通のシェイプに戻ってしまったような姿です。ただ、実際には不規則な切れ込みが入ったり、大きく3裂したり、アソヒカゲスミレ風な形状になったりと甚だ多彩です。
 さて、問題は花の色ですが、写真の個体は白変種で、いわゆる「純白」ですが、シロカネスミレというスミレの品種と同様に「準白」でもナルカミスミレと呼ぶものと理解しています。ただ、強い反論があるようですよ。
 [注] 写真の個体自体はヒトツバエゾスミレとシロバナエゾスミレを交配(系統間交配)して選別した個体の子孫だろうと思われます。
ナルカミスミレ
<紹介>趣味のサイト「花の写真館」は、基本サイトの「四季の山野草」、そこから独立した「すみれの部屋」「イカリソウの部屋」、サイドストーリー「野の仲間たち」等で構成されています。特に「すみれの部屋」には多くの方に訪問いただきました。サイトの一部「徒然草=つぶやきの棚」をブログで再現しています。

2008年08月24日

菫展見聞録 (19)

 
 少し湿った明るい平地、例えば、田圃の畦道などに多いアリアケスミレとスミレのハイブリッドです。ハリマスミレという名前を貰いました。名前から想像できますが、播磨国、つまり現在の兵庫県で見いだされた個体に因むものです。
 両親は花も葉もよく似ていますが、全体のイメージはアリアケスミレ似というところでしょうか。そばに親が咲いていて直接比較できれば分かり易いのですが、単体で咲いていたらアリアケスミレと思ってしまうところでしょうね。スミレのように変化の多い遺伝子を引き継ぐと、典型品を語ることが難しいような気がします。それでも幾度か目にすれば分かるようになるのかも知れません。やはり、出逢いはとても大事なのです。
ハリマスミレ
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2008年08月22日

菫展見聞録 (18)

 
 余り花付きが芳しくないと言われているハイブリッドですが、これは良く咲いていますね。スミレとフモトスミレを両親に持つコマガタケスミレです。両親が広範囲に自生していますので、あちこちで見掛ける可能性があるのかも知れません。
 片親のスミレに変化が多いので、コマガタケスミレも変化があるのだろうと想像しますが、葉の顕著な特徴を記憶していれば自生地でも目星を付けやすいような気がしています。それから、運良く花が咲いている自生品を見つけたらという話ですが、距の特徴を確認したいですね。前回の展示会では気が付かなかったのですが、とても魅力的な丸くて赤い距を持っているのです。
コマガタケスミレ
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2008年08月20日

菫展見聞録 (17)

 
 人気者ハイブリッドの一つではないでしょうか。良く似た両親を持ちながら、両親よりキリッとして優雅なイメージと称されるヒラツカスミレです。人工交配された時に付けられた和名ですが、自然交雑による自生品も稀に見られるとか。複数の園芸品種が流通しており、後ろに写り込んでいるのは濃い紅色で人気のヒラツカスミレ"くれない"だろうと思います。
 残念ながら、未だ自生品に出逢ったことはありません。園芸品種は別格ですが、果たして自生品をイメージだけで判別できるものなのでしょうか。自生品の写真を見る度に「こんなエイザンスミレを見たことがあるなぁ・・・!」と思ってしまいます。地元に住む達人の皆さんはどの辺で見分けているのでしょうね。
ヒラツカスミレ
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2008年08月18日

菫展見聞録 (16)

 
アリアケツクシスミレ  一見、小さめの花を咲かせるアリアケスミレのようですが、葉の様子が少し異なるようですね。これは異なる節間の両親を持つハイブリッドで、シンプルな名前をもらったアリアケツクシスミレです。見かけはアリアケスミレ由来の完全な無茎種にしか見えません。
 自然の状態で交雑可能性はあるのだろうと思いますが、たまたま歩き回ったツクシスミレの自生地近辺で、アリアケスミレを目撃することはありませんでした。花期は多少かぶっているのですが、自生環境は違うかなぁ・・・。いずれにしても、流通しているのは人工交配からの選別種であろうと想像します。両親に似た元気そうなすみれでした。
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2008年08月16日

菫展見聞録 (15)

 
ヴィオラ・ルペストリス 'ロゼア'  側弁に剛毛が垣間見えるアイヌタチツボスミレの近縁種ヴィオラ・ルペストリス、その薔薇色の園芸品種です。この仲間は日本では珍しいグループになりますが、世界的に見ると、分布域がユーラシアおよび北米と言われますから、すみれが多く自生する温帯域いっぱいに自生していると言って良いのかも知れません。
 意外にも情報が少ないので海外のサイトを丹念に調べてみますと、淡い紫色の株がかなり多く、イブキスミレを思い出すような白地に水色が滲んでいるといった色合いです。この園芸品種が発している強い色合いとは大きな違いが感じられました。特異な薔薇色が先にインプットされてしまった例ですね。
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2008年08月14日

菫展見聞録 (14)

 
 なかなか魅惑的な組み合わせの両親を持つハイブリッドはキクバワカミヤスミレという名前をもらいました。その両親とはヒゴスミレとマルバスミレです。
 長野県や群馬県など、両親が多く自生する地域で稀に見られるようです。一方、エイザンスミレが片親ですとワカミヤスミレと呼ばれ、頭のキクバ(菊葉)がなくなってしまいます。でも、葉が菊に似ていることは変わらないのですよ。両者の写真を並べて見る機会があったのですが、キクバワカミヤスミレの方が少し花が白っぽいことと、葉の切れ込みが強いという程度の違いです。
 ところで、「菊葉ワカミヤスミレ」という名称で流通する園芸品種の中には稔性がある系統があるのかも知れません。情報が少なくて四苦八苦です。でも、ハイブリッドは奥が深いですね。
キクバワカミヤスミレ
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2008年08月12日

菫展見聞録 (13)

 
ヒメスミレ  特徴的な距が目立ち、濃紫色の小柄な花を咲かせるヒメスミレです。アスファルトの隙間などから可憐な花を持ち上げる身近なすみれです。ただ、この鉢には「東日本タイプ」という注釈がありました。はて、東日本ですか・・・?
 一部に東日本で見られる個体の方が小さめだという情報があることはありますが、この個体はそれ程小さくありません。逆に九州の個体が関東と比べて大きいでしょうか。見た限りですが、特にそんなふうにも感じられません。どの部分が「東日本タイプ」なのでしょうね。
 因みに、更に西の台湾まで含めて比較してみますと、少し大きめのヒメスミレが自生しており、「小菫菜」と呼ばれているようです。
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2008年08月10日

菫展見聞録 (12)

 
 ほぼ日本中で見ることができるすみれの一つ、アリアケスミレです。ところが、自生域は広いにも拘わらず、どこでもお馴染みという訳にはいかなくて、見掛ける頻度は低いすみれではないでしょうか。広く薄く分布しているのかも知れません。
 海外の分布域にオーストラリアが含まれています。オーストラリアに自生するすみれは4種のみだそうですが、その一つがアリアケスミレという訳ですから貴重な存在ですね。花色の変化がおもしろくて、多くは写真のように全体的に白い花ですが、濃いめの紅紫色が浸み出すように見える花もあって、なかなかに素敵なのです。
アリアケスミレ
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2008年08月08日

菫展見聞録 (11)

 
 この春に鹿児島で出逢ったアツバスミレはスミレの変種ですが、この華やかな花を咲かせているのは、そのアツバスミレの品種として扱われているものです。実態としては園芸品種と考えた方が現実的でしょうね。種苗会社などからは主に「二色(咲き)アツバスミレ」という名前で流通しています。とても丈夫で、時折、街角で群生しているのを見掛けることがあります。
 上弁がくっきりと白くて綺麗な個体があり、そちらの方が「二色咲き」と呼ぶに相応しいかも知れません。この写真のような配色なら、日本海側に咲く海岸性のアナマスミレにも見られ、一部に「パンダ咲き」などという呼び方もあるようでした。
アツバスミレ(二色咲き)
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2008年08月06日

菫展見聞録 (10)

 
 良く見掛ける外来の園芸種で、お馴染みのヴィオラ・ソロリア(プリセアナ)ですね。昔、すみれを栽培してみようかと思い立って花屋さんを捜し回った頃に買うことができた園芸品種の一つです。今も少しは栽培しているのですが、購入した株の子孫がまだ遺伝子を繋いでいるのです。プランターに植え込んだだけなのですが、厭地(いやち)の素振りも見せずに咲き続けているところがスゴイですね。
 育てやすさ、繁殖力ならピカ一の系統ですから、環境の良い場所にタネが飛んでしまったら、一面にはびこってしまうかも知れません。今年もあちこちの野山でソロリアの仲間たちが元気に咲き誇っているのを見ました。嬉しいような、困ったような・・・。
ヴィオラ・ソロリア(プリセアナ)
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2008年08月04日

菫展見聞録 (9)

 
 この春に鹿児島の自生地を訪ねたツクシスミレの亜種とされ、とても良く似た外観を持つヤマツクシスミレです。ツクシスミレと見比べて、すぐに分かる違いは花色が多少濃いめであることと、花茎に粗い毛が目立つこと程度でしょうか。今年も出展されていて嬉しい、私のお気に入りです。
 この仲間は東南アジアに数種が知られているだけの小さなグループです。数少ない情報源が正しければですが、染色体数についてツクシスミレは2n=26という特徴的な値で、一方のヤマツクシスミレは2n=74という大きい値を示して差異があります。一般に亜種は環境的隔絶などによって生じる訳ですが、両者は東南アジアの隣接地域に自生するので何か違和感がありますね。
ヤマツクシスミレ
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2008年08月02日

菫展見聞録 (8)

 
 すみれの展示会では、外来の園芸種などの鉢も並んでいます。これはお馴染みのヴィオラ・ソロリア(フレックルズ)ですね。白地の花弁に紫色の絵の具を霧状にして吹き掛けたような斑がチャームポイントです。小学校の図画工作の時間に、水彩絵の具で吹き掛けをやった記憶が甦ります。
 斑点の大きさや密度には個体差が出ますが、概ね、上品なイメージを醸し出してくれます。このような模様を「吹っかけ絞り」と呼ぶようです。朝顔や椿、マラコイデスなどの園芸種で稀に見掛けました。他のすみれにも似た柄の花が咲くものがあるでしょうか。もし、あるようならば、フレックルズと並べて眺めてみたいものですね。
ヴィオラ・ソロリア(フレックルズ)
<紹介>趣味のサイト「花の写真館」は、基本サイトの「四季の山野草」、そこから独立した「すみれの部屋」「イカリソウの部屋」、サイドストーリー「野の仲間たち」等で構成されています。特に「すみれの部屋」には多くの方に訪問いただきました。サイトの一部「徒然草=つぶやきの棚」をブログで再現しています。