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2009年08月30日

追憶フィルム(10)

 
オオタチツボスミレ  新潟を中心とする日本海側の自然豊かなエリアでは、タチツボスミレよりオオタチツボスミレの方が多く見られるのではないかと思います。小さな小川が流れる林にはオオタチツボスミレとオオバキスミレが、他の雑草たちに負けまいと思いっきり背伸びをしていました。競り合って垂れ下がり、小川の流れに頭を付けてしまいそうです。
 おお、これぞ、オオタチツボスミレ!と、この時は思ったのです。しかしながら、これ以降、花色の濃い個体や薄い個体、葉脈の溝がとても深いもの、鋸歯が大きく目立つもの、白い花、そして鮮やかな色合いでフリル風な花びらを持つ個体にも出逢いました。現在は、どれが典型品だと認識するよりも、変異の幅を踏まえて見るのが癖になっています。こうした変異を見て歩く旅は楽しい(笑)ですが、実は大事なことなのですよ。こうした変化や変異こそは、所謂、遺伝子の多様性が可視化されたものだと思うからです。

<紹介>趣味のサイト「花の写真館」は、基本サイトの「四季の山野草」、そこから独立した「すみれの部屋」「イカリソウの部屋」、サイドストーリー「野の仲間たち」等で構成されています。特に「すみれの部屋」には多くの方に訪問いただきました。サイトの一部「徒然草=つぶやきの棚」をブログで再現しています。

2009年08月25日

追憶フィルム (9)

 
マキノスミレ  これは初めて目にしたマキノスミレです。フィルムからデジタイズしましたら、デジカメ映像と比べて段違いに良い写り具合でした。当時のデジカメはそ れだけ画質が悪かったのですね。分かりやすい指数で表現すれば、そのカメラの有効画素数は35万画素だったのです。
 さて、この美しいすみれですが、この後、ことごとく抜き取られる運命にあります。集団の最後尾を一つ一つ撮影しながら歩いていたのですが、目にした のは掘り起こした穴の数々でした。言葉を飾らずに申し上げれば、不心得な指導者が引率する観察会と知らずに参加していたのです。抗議しましたが、彼によればマキノス ミレは持ち帰っても良い部類なのだそうで、私が見つけた交雑種についても撮影が終わるのを待って、当たり前のように彼が持ち帰りました。事の善し悪しは自分で考えま しょう。少なくてもナビゲーターが常に正しいとは限らないのです。

<紹介>趣味のサイト「花の写真館」は、基本サイトの「四季 の山野草」、そこから独立した「すみれの部屋」 「イカリソウの部屋」、サイドストーリー「野の仲間たち」等で構成されています。特に「すみれの部屋」 には多くの方に訪問いただきました。サイトの一部「徒然草=つぶやきの棚」をブログで再現しています。

2009年08月20日

追憶フィルム (8)

 
ナガバノスミレサイシン  ナガバノスミレサイシンはとても魅力的なすみれだと思います。とても花色が白くて濃緑色の葉とすっきりしたコントラストを出す個体も、今年の春に四国で観察できた美しい斑が入る個体も素晴らしいなと思いました。そして、この写真は山梨で出逢った薄紅色の不思議なイメージの花です。うっとりさせられて、それから何度か訪れているのですが、残念ながら、この日の感激が再現されることはありませんでした。
 このような体験から、じっくり撮影することも含めて、時間が許す限り良く観察して記憶に納めることが大事だと思っています。なにより、まだ見ぬ各地の変異に思いを馳せて、できるだけ足を運ぶことが重要かも知れませんね。夏はオフシーズンですが、自生地情報を入手しては「次はここへ行きたい」と思いを巡らせてながら、短い春を待ちわびてプランを練る日々なのです。

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2009年08月15日

追憶フィルム (7)

 
 多くの方が「妙な名前だなぁ」と感じるだろうと想像できるアナマスミレです。初めてこの名前を聞いた時、「対応する漢字が浮かんでこない」と焦ったものです。なんとアイヌの言葉だったのですね。でも、ノサップ(納沙布)、ルモイ(留萌)のように、無理やり漢字を当てはめていないのはナゼでしょうか。
 アナマスミレはぼってりとした肉厚で細い葉が内側(表側)にくるっと巻いています。同じスミレの海岸性変種であるアツバスミレは葉がゆったり曲がる程度です。一般に花で見分けることはできないと思いますが、葉の違いで見分けがつくかも知れません。ところで、この自生地の花は白い筋が特に上弁に強く出る特徴があります。残念ながら、日差しが強い場所ではボンヤリしたイメージを与えているかも知れません。
アナマスミレ

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追憶フィルム (6)

 
 日本に自生するすみれの中で、ユニークさにおいてはトップクラスではないかと思われるイソスミレです。見た目は花色の濃いオオタチツボスミレ、それが矮化した(つまり縮こまってしまった)姿です。その分だけ株立ちの数が増えて、おしくら饅頭の状態でしょうか。でも、ユニークというのは自然の状態で目に見える部分の話ではありませんよね。
 乾燥した砂浜でも、少し掘ると砂に湿り気があります。ただ、根をそれなりの深さまで下ろさないと水分の安定供給は難しいかも知れません。第一、砂があるということは、ここまで海水が来るということに他なりません。若い株の横を掘り下げて調べてみたことがありますが、確かに根はそれなりの深さがありました。水分を確保して、更に海水に流されないように根で踏ん張るイソスミレ。でも、他の追随を許さない最も優れた特徴は「個体寿命の長さ」なのです。
イソスミレ

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2009年08月05日

追憶フィルム (5)

 
 東京都から高尾山の裏手に抜けると、山梨県ではなくて神奈川県との県境になります。この辺りは自然豊かなエリアで、すみれも多いのですが、その内から今回はマルバスミレの登場です。
 マルバスミレは意外に地域変化が目立つ種だと思っています。九州で見られる丸くて薄紅色の花びらを持つマルバスミレは必見の価値ありと思うのですが、如何でしょうか。東京・神奈川辺りでは花が細めで、萼や花茎が臙脂色、葉も濃いめの色、つまり赤い色素が強く出ていますが、山梨・長野・群馬辺りに出向くと花がゆったりしていて、全体に赤味は目立たなくなってきます。旅に出ると、こうした変化を楽しむことができて楽しいですね。交配(?)してみても嬉しい結果が得られるかも知れません。
マルバスミレ

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