山形のすみれ
 『山形県の植物誌]』について、著者として個人名が出ていますが、刊行委員会は山形県立博物館内に住所があります。新しくてシンプルで分かりやすい文献だと思います。自然交雑種として、山形県の由緒ある地名が冠されたデワタチツボスミレだけが記載されています。まぁ、実際はもっと多く見られるのでしょう。
(2009/08/22)

 2007年に実施された自然生態系保全モニタリング調査の成果として『白鷹町内湿原における希少野生生物調査報告』が提出されました。フイリシハイスミレが山形県内の幾つかのエリアで見出されていると報告されています。
(2012/08/10)

 結城嘉美氏著の「続やまがた植物誌」で金峰山の植生に関する記載に幾つかのすみれが登場します。ここにテリハナガハシスミレの自生について記載がありましたので、個別に追加しておきます。
(2012/12/03)


私の出会った山形のスミレたち  「私が出会った山形のスミレたち(鹿間広治著)」を入手しました。じっくり、拝見中ですが、なかなか扱いが難しい面もありながら、長期間にわたる観察経験に基づく知見、深い洞察を持って編集されています。タチツボスミレの変異に関するご認識などは、当サイトの考え方に近いものを感じますね。
(2021/08/25)

 ザッと、編集を終えました。実は、タチツボスミレなど、変異の多いスミレについて、「あれもこれもあるけれど・・・」ということでした。つまり、ホソイスミレもソラムキタチツボスミレも見たけれど、まぁ、いいじゃないか!ということのようです。^^
(2021/09/05)


種(無茎) 品種または変種 参考資料 補足
アカネスミレ A) B)
オカスミレ A) B) 無毛品種
アケボノスミレ A) B)
アリアケスミレ A) B)
ウスバスミレ A) B)
エイザンスミレ A) B)
コスミレ A) B)
サクラスミレ A) B)
シハイスミレ B)
フイリシハイスミレ B) B) シロバナフイリシハイスミレ
マキノスミレ A) B)
シロスミレ A) B)
スミレ A) B) ケナシスミレ
スミレ(白花変種) A) B) A) B) シロバナスミレと記載
アナマスミレ A) B)
スミレサイシン A) B) ウスジロスミレサイシン
シロバナスミレサイシン A) B) 白花変種、B) シロスミレサイシンと記載
ナンザンスミレヒゴスミレ A) B)
ノジスミレ A) B)
シロノジスミレ B)
ヒカゲスミレ A) B)
タカオスミレ A) B) A) B) 葉が黒褐色、ハグロスミレ
ヒメスミレ A) B)
ウスイロヒメスミレ B)
フジスミレヒナスミレ A) B)
フイリヒナスミレ A) B)
フモトスミレ B)
マルバスミレ A) B) (ケマルバスミレと記載)
ミヤマスミレ A) B)
シロバナミヤマスミレ A) 白花変種
フイリミヤマスミレ A)
種(有茎) 品種または変種 参考資料 補足
アイヌタチツボスミレ 未確認
アオイスミレ A) B)
イソスミレ A) B)
エゾアオイスミレ A) B) (エゾノアオイスミレと記載)
エゾノタチツボスミレ A) B) ケナシエゾノタチツボスミレ
オオタチツボスミレ A) B) ケオオタチツボスミレ
シロバナオオタチツボスミレ A) B) 白花変種
オオバキスミレ A) B) B) シロバナオオバキスミレ
ナエバキスミレ A) B)
フギレオオバキスミレ A)
フチゲオオバキスミレ A) 海岸性変種
ミヤマキスミレ A) B)
オオバタチツボスミレ B)
キバナノコマノツメ A) B)
タカネスミレ B)
タチツボスミレ A) B) ケタチツボスミレ
アカフタチツボスミレ A) B)
オトメスミレ A) B)
コタチツボスミレ B)
シロバナタチツボスミレ A) B) 白花変種
ツルタチツボスミレ A) B)
テリハタチツボスミレ A) B)
ナガハシスミレ B)
オトメナガハシスミレ B)
シラユキナガハシスミレ A) B) 白花変種
ニオイタチツボスミレ A) B) ケナシニオイタチツボスミレ
オトメニオイタチツボスミレ A) B)
シロバナニオイタチツボスミレ A) 白花変種
ニョイスミレ A) B) (ツボスミレと記載)
アギスミレ A) B) 葉が弓状
シラユキスミレ B) 白花変種
ハイツボスミレ A)
ミヤマツボスミレ A) B) 高地性品種、B) シロミヤマツボスミレ
ムラサキコマノツメ A) B) 高地性品種
種(自然交雑) 参考資料 補足
イワフネタチツボスミレ B) オオタチツボスミレ x ナガハシスミレ
エゾノオオタチツボスミレ B) オオタチツボスミレ x エゾノタチツボスミレ
テリハナガハシスミレ B) ナガハシスミレ x テリハタチツボスミレ
デワタチツボスミレ B) オオタチツボスミレ x テリハタチツボスミレ
ニオイオオタチツボスミレ B) オオタチツボスミレ x ニオイタチツボスミレ
ヌノベタチツボスミレ B) タチツボスミレ x テリハタチツボスミレ
ハリマスミレ B) アリアケスミレ x スミレ
ヘイリンジスミレ B) ヒナスミレ x スミレ
マルバタチツボスミレ B) タチツボスミレ x ニオイタチツボスミレ
ムラカミタチツボスミレ B) タチツボスミレ x オオタチツボスミレ
種(自然交雑 無名) 参考資料 補足
B) シハイスミレ x マキノスミレ
B) ニオイスミレ x ナガハシスミレ
B) ニョイスミレ x ナガハシスミレ

変種や品種については主要なもののみを選びました。

記号 参考資料 著者、編者 発行/出版 発行
A) 新版 山形県の植物誌 結城嘉美 新版山形県の植物誌刊行委員会 1992年7月11日
B) 私が出会った山形のスミレたち 鹿間広治 大風印刷 2020年7月1日

気温グラフ 降水量グラフ
【参考:気象統計情報】 山形市の例 (総務省統計局資料を利用)

各地のすみれ 掲載種について

 「各地のすみれ」に掲載しております自生種などの情報は、ご覧いただければ一目瞭然ですが、収集した植物誌など、参考資料の記載内容を紹介しているものです。こうした参考資料は、一般に、県や市などの地方自治体や教育機関、地方の博物館や植物学会、研究団体(個人を含む)などが情報収集の上、編集したケースが多いと認識されます。

 それらの参考資料が編集された時期、目的や経緯、情報収集や編集をされた方々の属性はいろいろですので、一貫性は期待できません。また、ご承知の通り、植物分類学の世界でも学術的知見が変わり続けていますので、編纂時期によって種の名称や表現が変わっているのは、むしろ、当然と言えます。
 編集者の属性も千差万別であり、正直なところ「ちょっと怪しい」情報も、まぁまぁ存在しています。スミレ科に関する限り、このサイトに訪問されている方々の方が、よりディープな知識をお持ちである場合も多いことでしょう。

 「ちょっと怪しい」を超えて、「明らかに外来種である」とか、「これは歴史的に変更された事実がある」、もしくは「単純ミス」などというケースに対しては、それなりの注釈を付けています。
 こうした状況を踏まえて、ご意見や情報をいただくこともありますが、全く踏まえていただけず(笑)、『間違いが多いから直せ』といったアドバイスをいただくこともありました。しかしながら、これらの情報は、日本に植物分類学が定着を始めた頃から現在に至る、歴史的側面を含む「記載事実」ですから、皆様からの投稿で作り変えるといった性質もしくは対象ではありませんね。それは、明らかに編者各位にも歴史に対しても失礼な態度ではないでしょうか。
 現在、私たちが持っている知識は、こうした試行錯誤も含む歴史の積み重ねの上に成り立っているものです。その知識でさえ、来年には変わってしまうかも知れません。悪しからず、ご了承いただくべき性質だと考えて、簡単な補足を施させていただくものです。ぜひ、ご理解下さい。


(つぶやきの棚)徒然草

 (2009/08/22) Latest Update 2023/08/22 [85KB]

ページのトップへ戻る