福島のすみれ
元来は「福島県植物誌」の情報を入手したいところですが、目下のところ、入手の目処がつきません。なんとか見つけ出したのは「会津只見の植物」です。只見町文化財調査報告書の第11集として編纂されました。その3年前に編纂された資料の改訂版という位置づけではないかと思います。大きい福島県から見れば、新潟県方面に出っ張った狭い範囲ですが、実は東京23区全域程度の広さがあります。比較的なだらかな地形が多い福島県ですが、このエリアは山岳部に当たるのでしょう。
いきなり、アワガタケスミレで始まるスミレ科のページにも驚きますが、アワガタケスミレに加えてテリハタチツボスミレとツルタチツボスミレとナガハシスミレが同居する地域です。福島県は太平洋に臨み、一方で尾瀬にも近い訳ですから、もっと多くの種が自生していると思いますが、現状では変種や品種を含めて17種を記載します。
只見町だけの資料では余りに不十分なので、補足として「原色日本のスミレ(浜栄助氏
)
(出典:G001)
」等からの抜粋情報を追加しておきます。
(2009/10/19)
「福島県植物誌」の情報を追加しました。これで、少しは形になりましたね。
(2016/07/09)
「ふくしまスミレ図鑑(山下俊之・山下由美・遠藤雄一共著)」の情報を仮にアップしました。図書が届くのが楽しみです。ただ、コミヤマスミレは掲載されていないようなので、ちょっと、不思議に思っています。
(2022/05/30)
図書が届き、「つぶやきの棚(徒然草)」に掲載、blogやSNS(facebook)などにもシェアさせていただきました。
山下氏によりますと、やはり、コミヤマスミレは見ていないそうです。『多くの成書で「分布域は福島県以南」とありますが、根拠は不明です』、『浜栄助の記述には「福島県平市付近」という具体的な地名がありますので、どこかに標本があるのかもしれません』と述べておられます。隣の茨城県では、福島県に近い位置で観察できますので気になっていますが、具体的には確認できておりません。
尚、図書の記載内容から、一般論としての説明を除き、自生情報と判断できる場合は当ページに追加しました。
(2022/06/03)
「福島県維管束植物仮目録2020」の記載から情報を追加しました。情報に厚みが増えた印象です。ただし、外来種(帰化種と表現)は割愛しました。困惑情報ですが、ヒメアギスミレについては「疑問」と補足した上で掲載しています。
(2023/01/04)
書籍上、表現が不確かな種に関しては除外し、変種や品種については主要なもののみを選びました 〇=自生確認
記号 |
参考資料 |
著者、編者 |
発行/出版 |
発行 |
A) |
会津只見の植物 |
只見町委員会 |
只見町委員会 |
2002年8月26日 |
B) |
福島県植物誌 |
福島県植物誌編さん委員会 |
福島県植物誌編さん委員会 |
1987年12月1日 |
C) |
ふくしまスミレ図鑑 |
山下俊之・山下由美・遠藤雄一 |
歴史春秋出版社 |
2022年4月30日 |
D) |
福島県維管束植物仮目録2020 |
福島県維管束植物目録編さん委員会 |
福島県植物研究会 |
2022年1月29日 |
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【参考:気象統計情報】 福島市の例 (総務省統計局資料を利用) |
各地のすみれ 掲載種について
「各地のすみれ」に掲載しております自生種などの情報は、ご覧いただければ一目瞭然ですが、収集した植物誌など、参考資料の記載内容を紹介しているものです。こうした参考資料は、一般に、県や市などの地方自治体や教育機関、地方の博物館や植物学会、研究団体(個人を含む)などが情報収集の上、編集したケースが多いと認識されます。
それらの参考資料が編集された時期、目的や経緯、情報収集や編集をされた方々の属性はいろいろですので、一貫性は期待できません。また、ご承知の通り、植物分類学の世界でも学術的知見が変わり続けていますので、編纂時期によって種の名称や表現が変わっているのは、むしろ、当然と言えます。
編集者の属性も千差万別であり、正直なところ「ちょっと怪しい」情報も、まぁまぁ存在しています。スミレ科に関する限り、このサイトに訪問されている方々の方が、よりディープな知識をお持ちである場合も多いことでしょう。
「ちょっと怪しい」を超えて、「明らかに外来種である」とか、「これは歴史的に変更された事実がある」、もしくは「単純ミス」などというケースに対しては、それなりの注釈を付けています。
こうした状況を踏まえて、ご意見や情報をいただくこともありますが、全く踏まえていただけず(笑)、『間違いが多いから直せ』といったアドバイスをいただくこともありました。しかしながら、これらの情報は、日本に植物分類学が定着を始めた頃から現在に至る、歴史的側面を含む「記載事実」ですから、皆様からの投稿で作り変えるといった性質もしくは対象ではありませんね。それは、明らかに編者各位にも歴史に対しても失礼な態度ではないでしょうか。
現在、私たちが持っている知識は、こうした試行錯誤も含む歴史の積み重ねの上に成り立っているものです。その知識でさえ、来年には変わってしまうかも知れません。悪しからず、ご了承いただくべき性質だと考えて、簡単な補足を施させていただくものです。ぜひ、ご理解下さい。