兵庫のすみれ
 「兵庫県植物誌」が入手できません。いろいろ探しているうちに、兵庫県植物誌研究会さんが発行する会報をパラパラと眺めていましたら、上坂規知郎氏が採集した植物標本目録が掲載されていました。これは参考になるとメモをさせていただいたものです。一部、京都府のイソスミレ等が混じっていましたので、これを割愛しました。
(2009/10/19)

 「六甲山地の植物誌(小林禧樹・黒崎史平・三宅真也著)」を見かけてメモをさせていただきました。
 これは全県情報ではないのですが、とても充実した内容を持つエリア植物誌なので、なんとか、一定の情報は確保できたようです。オオタチツボスミレとタチスミレについて、誤認ではないかと記載されています。ナガハシスミレについては、特に言及されていませんので、六甲山地以外のエリアに自生しているということでしょう。
(2012/12/03)

 スミレ愛好会の『近畿地方のスミレ類』を入手して、種の数が大幅に種が増えた感があります。
(2017/02/05)

 兵庫県宝塚市は1968年に〔すみれ〕を市の花に制定しました。宝塚歌劇団のシンボルソングは「すみれの花咲く頃」です。一方、白井鐵造氏がドイツの映画主題歌であった「リラの花咲く頃」を持ち帰って歌詞をつけたと言われています。その際、日本に馴染みのあるスミレに変えたのだとか。その曲が大ヒットしたことが無縁ではないだろうということらしいです。
 因みに「リラの花咲く頃」のドイツ語原題を直訳すると「再び白いライラックが咲いたら」です。これで探せば、馴染みの曲を聞くことができます。
(2022/08/03)


種(無茎) 品種または変種 参考資料 補足
アカネスミレ B) C)
アケボノスミレ A) B) C)
アリアケスミレ A) B) C)
エイザンスミレ B) C)
コスミレ A) B) C)
コミヤマスミレ C)
サクラスミレ C)
シコクスミレ C)
シハイスミレ A) B) C)
ハグロシハイスミレ 俗名(未記載種)
マキノスミレ C)
(シロスミレ)ホソバシロスミレ C)
スミレ B) C)
アツバスミレ C) 海岸性植物
アナマスミレ C) 海岸性植物
ホコバスミレ B) C)
スミレサイシン A) C)
ナンザンスミレヒゴスミレ A) B) C)
ノジスミレ A) C)
フジスミレヒナスミレ B) C)
フモトスミレ B) C)
ヒメスミレ A) C)
ヒミヤマメスミレ B) C)
マルバスミレ B) C) (A:ケマルバスミレと記載、古い記録のみ)
種(有茎) 品種または変種 参考資料 補足
アオイスミレ A) B) C)
イソスミレ B)
オオタチツボスミレ A) C) (B:誤認であろうと記載)
タチツボスミレ A) B) C)
タチツボスミレ(山陰型) C) (C:ニホンカイタチツボスミレと記載)
ケイリュウタチツボスミレ C)
コタチツボスミレ B)
ツルタチツボスミレ C)
ナガハシスミレ A) C)
ナガバノタチツボスミレ A) B) C)
ニオイタチツボスミレ A) B) C)
ニョイスミレ A) B) C) (A:ツボスミレと記載)
アギスミレ B) C)
ヒメアギスミレ C)
種(自然交雑) 参考資料 補足
アスマスミレ C) アカネスミレ x スミレ
アルガスミレ C) サクラスミレ x スミレ
エチゴタチツボスミレ C) タチツボスミレ x イソスミレ
オオミヤスミレ C) ノジスミレ x スミレ
カツラギスミレ C) ヒゴスミレ x シハイスミレ
キクバサクラスミレ C) サクラスミレ x ヒゴスミレ
コマガタケスミレ C) スミレ x フモトスミレ
シハイヒメスミレ C) シハイスミレ x ヒメスミレ
タナオスミレ C) ヒゴスミレ x フモトスミレ
ニオイオオタチツボスミレ C) オオタチツボスミレ x ニオイタチツボスミレ
ハリマスミレ C) アリアケスミレ x スミレ
ヘイリンジスミレ C) ヒメスミレ x スミレ
ホウフスミレ C) スミレ x シハイスミレ
ホソバキリガミネスミレ C) スミレ x ホソバシロスミレ
ムラカミタチツボスミレ オオタチツボスミレ x タチツボスミレ
種(自然交雑 無名) 参考資料 補足

変種や品種については主要なもののみを選びました。

記号 参考資料 著者、編者 発行/出版 発行
A) 上坂規知郎氏採集 植物標本目録
B) 六甲山地の植物誌 小林禧樹・黒崎史平・三宅真也 (財)神戸市公園緑化協会 1998年3月31日 
C) 近畿地方のスミレ類 -その分布と形態-(増補改定) 牧 嘉裕・山本 義則 スミレ愛好会 2016年3月1日

気温グラフ 降水量グラフ
【参考:気象統計情報】 神戸市の例 (総務省統計局資料を利用)

各地のすみれ 掲載種について

 「各地のすみれ」に掲載しております自生種などの情報は、ご覧いただければ一目瞭然ですが、収集した植物誌など、参考資料の記載内容を紹介しているものです。こうした参考資料は、一般に、県や市などの地方自治体や教育機関、地方の博物館や植物学会、研究団体(個人を含む)などが情報収集の上、編集したケースが多いと認識されます。

 それらの参考資料が編集された時期、目的や経緯、情報収集や編集をされた方々の属性はいろいろですので、一貫性は期待できません。また、ご承知の通り、植物分類学の世界でも学術的知見が変わり続けていますので、編纂時期によって種の名称や表現が変わっているのは、むしろ、当然と言えます。
 編集者の属性も千差万別であり、正直なところ「ちょっと怪しい」情報も、まぁまぁ存在しています。スミレ科に関する限り、このサイトに訪問されている方々の方が、よりディープな知識をお持ちである場合も多いことでしょう。

 「ちょっと怪しい」を超えて、「明らかに外来種である」とか、「これは歴史的に変更された事実がある」、もしくは「単純ミス」などというケースに対しては、それなりの注釈を付けています。
 こうした状況を踏まえて、ご意見や情報をいただくこともありますが、全く踏まえていただけず(笑)、『間違いが多いから直せ』といったアドバイスをいただくこともありました。しかしながら、これらの情報は、日本に植物分類学が定着を始めた頃から現在に至る、歴史的側面を含む「記載事実」ですから、皆様からの投稿で作り変えるといった性質もしくは対象ではありませんね。それは、明らかに編者各位にも歴史に対しても失礼な態度ではないでしょうか。
 現在、私たちが持っている知識は、こうした試行錯誤も含む歴史の積み重ねの上に成り立っているものです。その知識でさえ、来年には変わってしまうかも知れません。悪しからず、ご了承いただくべき性質だと考えて、簡単な補足を施させていただくものです。ぜひ、ご理解下さい。


(つぶやきの棚)徒然草

 (2009/10/19) Latest Update 2024/02/18 [80KB]

ページのトップへ戻る