大分のすみれ各地のすみれ

 すみれを訪ねる旅では2回目の大分で、とても嬉しい資料を見つけました。大分県の植物研究では第一人者とされる荒金正憲氏(大分県植物研究会会長、別府大学短期大学部名誉教授)が多くの仲間とまとめあげた植物事典「豊の国 大分の植物誌」、「豊の国 大分の植物誌 増補」です。なんと宿泊したホテルに置いてあり、書籍の存在を知ることができました。帰宅後に調べてみますと、大分合同新聞の記事で自費出版であることが分かりました。
 品種または変種の扱いについては、ケタチツボスミレは注釈にするなど、若干調整していますが、ほぼ原記載を尊重しました。増補で「県内のスミレは、34種、25品種、1雑種」と表現され、非常に自生種が多いということが分かります。1雑種というのは流しておきますが、実際、旅行者として通過しただけで多くの自生を確認できましたから、内容には実感できるところがあると思います。

 (注)聞きなれない品種名が登場しますが、f. nov.、つまり新品種と注釈があります。著名な植物分類学者である故初島住彦氏(鹿児島大名誉教授、当時)の記載に拠ります。
(2009/04/22)
 「大分県植物誌」の情報を追加しました。「豊の国 大分の植物誌 増補」の方が新しい資料なので、収録情報が多いようですが、それでも、幾つかの情報を補足できたので良かったと思います。分布数に関する記述がありましたので、宮崎県の区分に倣って表示してみました。ツクシタチツボスミレとツクシヒメスミレの扱いには困っています。
(2012/12/02)
九重のスミレ  運良く「九重のスミレ」を入手できました。
(2017/11/14)

シハイスミレ スミレ キスミレ マダラナガバノタチツボスミレ

# 品種または変種 自生確認 個体数 参考資料 補足
1) アカネスミレ   4:稍普通 (A) (B)  
2)   オカスミレ   4:稍普通 (A) (B)  
3) アケボノスミレ   4:稍普通 (A) (B)  
4) アリアケスミレ   2:稀 (A) (B)  
5) エイザンスミレ   4:稍普通 (A) (B)  
6)   シロバナエゾスミレ     (A)   シロバナエイザンスミレと記載
7) ゲンジスミレ            
8) コスミレ   5:普通 (A) (B)  
9) コミヤマスミレ     4:稍普通 (A) (B)  
10)   アカコミヤマスミレ     (A) (B)  
11)   ウスゲコミヤマスミレ     (A) (B)  
12) サクラスミレ   3:稍稀 (A) (B) ケナシサクラスミレ
13)   チシオスミレ   (A) (B)  
14) シコクスミレ     4:稍普通 (A) (B)  
15) シハイスミレ   5:普通 (A) (B)  
16)   コンピラスミレ     (A)    
17)   シロバナシハイスミレ     (A)    
18)   フイリシハイスミレ     (A)    
19) (シロスミレ) ホソバシロスミレ   3:稍稀 (A) (B)  
20) スミレ   6:極普通 (A) (B)  
21)   アツバスミレ   3:稍稀 (A) (B)  
22)   ホコバスミレ   2:稀 (A) (B)  
23) ナガバノスミレサイシン     3:稍稀 (A) (B)  
24)   フイリナガバノスミレサイシン   4:稍普通 (A) (B)  
25)   シロバナフイリスミレサイシン     (A)   f. albiflora Hatusima, f. nov.
26) ナンザンスミレ ヒゴスミレ 3:稍稀 (A) (B)  
27) ノジスミレ     4:稍普通 (A) (B)  
28)   シロノジスミレ     (A)    
29) ヒカゲスミレ   3:稍稀 (A) (B)  
30) ヒメスミレ     3:稍稀 (A) (B) ツクシヒメスミレ
31) ヒメミヤマスミレ     4:稍普通 (A) (B)  
32)   フイリヒメミヤマスミレ     (A)    
33) フジスミレ ヒナスミレ   4:稍普通 (A) (B)  
34)   イヌガタケスミレ     (A) (B)  
35)   シロバナヒナスミレ     (A) (B)  
36)   フイリヒナスミレ     (A)    
37) フモトスミレ   5:普通 (A) (B)  
38)   フイリフモトスミレ   (A)    
39) マルバスミレ   4:稍普通 (A) (B) ケマルバスミレ
# 品種または変種 自生確認 個体数 参考資料 補足
40) アオイスミレ   4:稍普通 (A) (B)  
41) キスミレ   4:稍普通 (A) (B)  
42)   ウスギキスミレ     (A)   f. pallida Hatusima, f. nov.
43)   ノコギリバキスミレ     (A) (B) f. laciniata (Talenouchi) F. Maekawa
44)   ヤエキスミレ     (A) (B) f. plena Hatusima, f. nov.
45) タチスミレ     2:稀 (A) (B)  
46) タチツボスミレ   5:普通 (A) (B) ケタチツボスミレ、
ツクシタチツボスミレ(托葉が大きい)
47)   コタチツボスミレ   4:稍普通 (A) (B)  
48)   サクラタチツボスミレ     (A)    
49)   シロバナタチツボスミレ     (A) (B)  
50)   ツヤスミレ     (A) (B)  
51)   ミドリタチツボスミレ   (A)    
52) ナガバノタチツボスミレ   4:稍普通 (A) (B) ケナガバタチツボスミレ
53)   マダラナガバノタチツボスミレ        
54) ニオイタチツボスミレ   4:稍普通 (A) (B)  
55)   シロバナニオイタチツボスミレ     (A)    
56)   テリハニオイタチツボスミレ         ケナシニオイタチツボスミレ
57) ニョイスミレ   5:普通 (A) (B) (ツボスミレと記載)
58)   アギスミレ     (A)    
59)   ハイツボスミレ     (A) (B) 匍匐枝が出る
60)   ヒメアギスミレ   3:稍稀 (A) (B)  
# (自然交雑種) 自生確認 個体数 参考資料 補足
62) アソキクバスミレ     2:稀   (B) ヒゴスミレ x アカネスミレ
63) フイリバスミレ     3:稍稀   (B) フイリフモトスミレ x スミレ
書籍上、表現が不確かな種に関しては除外しました

記号 参考資料 著者、編者 発行/出版 発行
(A) 大分の自然に生きる植物「豊の国 大分の植物誌」、同増補 荒金正憲 自費出版 2003年、2006年
(B) 大分県植物誌 大分県植物誌刊行会 大分県植物誌刊行会 1989年8月20日

気温グラフ 降水量グラフ
【参考:気象統計情報】 大分市の例 (総務省統計局資料を利用)

各地のすみれ 掲載種について
 「各地のすみれ」に掲載しております自生種などの情報は、ご覧いただければ一目瞭然ですが、収集した植物誌など、参考資料の記載内容を紹介しているものです。こうした参考資料は、一般に、県や市などの地方自治体や教育機関、地方の博物館や植物学会、研究団体(個人を含む)などが情報収集の上、編集したケースが多いと認識されます。
 それらの参考資料が編集された時期、目的や経緯、情報収集や編集をされた方々の属性はいろいろですので、一貫性は期待できません。また、ご承知の通り、植物分類学の世界でも学術的知見が変わり続けていますので、編纂時期によって種の名称や表現が変わっているのは、むしろ、当然と言えます。
 編集者の属性も千差万別であり、正直なところ「ちょっと怪しい」情報も、まぁまぁ存在しています。スミレ科に関する限り、このサイトに訪問されている方々の方が、よりディープな知識をお持ちである場合も多いことでしょう。
 「ちょっと怪しい」を超えて、「明らかに外来種である」とか、「これは歴史的に変更された事実がある」、もしくは「単純ミス」などというケースに対しては、それなりの注釈を付けています。
 こうした状況を踏まえて、ご意見や情報をいただくこともありますが、全く踏まえていただけず(笑)、『間違いが多いから直せ』といったアドバイスをいただくこともありました。しかしながら、これらの情報は、日本に植物分類学が定着を始めた頃から現在に至る、歴史的側面を含む「記載事実」ですから、皆様からの投稿で作り変えるといった性質もしくは対象ではありませんね。それは、明らかに編者各位にも歴史に対しても失礼な態度ではないでしょうか。
 現在、私たちが持っている知識は、こうした試行錯誤も含む歴史の積み重ねの上に成り立っているものです。その知識でさえ、来年には変わってしまうかも知れません。悪しからず、ご了承いただくべき性質だと考えて、簡単な補足を施させていただくものです。ぜひ、ご理解下さい。
(2009/04/22) Latest Update 2017/11/14 [125KB] TOP

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