鹿児島のすみれ
 すみれを訪ねる旅では鹿児島のほぼ半分を走りまわってみました。雨の日、指宿のフラワーパークで見つけた「野の花めぐり(春編)」を購入。鹿児島県の植物研究では第一人者とされる故初島住彦氏(鹿児島大名誉教授、当時)の監修、推薦しています。
 ちょっと困ったことは、鹿児島の島々、特に屋久島や奄美大島、徳之島等が対象とされていないようです。なにしろ、アマミスミレやヤクシマスミレ、コケスミレ、サツマスミレが登場しません。分かる範囲で情報を加えました。ヤクシマタチツボスミレはツヤスミレに含まれているのかも知れません。
(2009/07/13)

 少しずつ情報を追加してきました。鹿児島大学総合研究博物館や鹿児島大学が中心となってまとめた情報を追加した結果、「参考資料欄」が空白という状況を脱して、なんとか、それなりのカタチになったと思います。
(2023/08/04)


種(無茎) 品種または変種 参考資料 補足
アカネスミレ A) C) D)
オカスミレ C) D)
アマミスミレ D) 奄美大島、鹿児島:絶滅危惧1類
アリアケスミレ A) C) D)
リュウキュウシロスミレ C) D)
エイザンスミレ B) D) 鹿児島:絶滅危惧1類
コスミレ C) D)
コミヤマスミレ A) C) D) E) ウスゲコミヤマスミレ
アカコミヤマスミレ D)
サクラスミレ A) C) D) 鹿児島:絶滅危惧1類
チシオスミレ E) 九州植物目録(2004)
シコクスミレ B) D) 鹿児島:絶滅危惧1類
シハイスミレ B) C) D) 鹿児島:絶滅危惧2類
コンピラスミレ E) 九州植物目録(2004)
ミドリシハイスミレ C) D)
フイリシハイスミレ E) 九州植物目録(2004)
シロスミレホソバシロスミレ B) D) シロバナスミレと記載、鹿児島:準危惧
スミレ A) B) C) D) ケスミレ,ケナシスミレ
アツバスミレ A) B) C) D) E) ケアツバスミレ
コモロスミレ E) 九州植物目録(2004)
シロガネスミレ D) E)
ホコバスミレ B) D) E) 鹿児島:準危惧(タイプロカリティ)
ナンザンスミレヒゴスミレ A) B) C) D) 鹿児島:絶滅危惧2類
ノジスミレ A) B) C) D) ケナシノジスミレ
リュウキュウコスミレ A) D)
ヒメスミレ A) C) D)
ヒメミヤマスミレ A) B) D) 鹿児島:準危惧
ヤクシマミヤマスミレ D) 鹿児島:絶滅危惧1類
フモトスミレ A) B) C)
フイリフモトスミレ C) E)
マルバスミレ B) D) 鹿児島:準危惧
ヤクシマスミレ D) 屋久島、奄美、徳之島
種(有茎) 品種または変種 参考資料 補足
アオイスミレ E)
キスミレ B) C) D) 絶滅危惧II類(VU)、鹿児島:地域絶滅
キバナノコマノツメ D) 屋久島、鹿児島:絶滅危惧1類
タチスミレ A) B) C) D) 絶滅危惧IB類(EN)、鹿児島:絶滅危惧1類
タチツボスミレ A) C) D) ケタチツボスミレ
アカフタチツボスミレ E)
ウラベニタチツボスミレ E) 九州植物目録(2004)
オトメスミレ A) E)
コタチツボスミレ A) C) D)
シロバナタチツボスミレ E) 九州植物目録(2004)
ツヤスミレ D)
ヤクシマタチツボスミレ 屋久島
ケイリュウタチツボスミレ D)
ツクシスミレ A) C) D)
ナガバノタチツボスミレ A) C) D) E) ケナガバノタチツボスミレ
マダラナガバノタチツボスミレ E) 九州植物目録(2004)
ニオイタチツボスミレ A) B) C) D)
シロバナニオイタチツボスミレ E) 九州植物目録(2004)
テリハニオイタチツボスミレ E) 九州植物目録(2004)
ニョイスミレ A) B) C) D) (ツボスミレと記載)
コケスミレ D) 屋久島、鹿児島:絶滅危惧1類
ハイツボスミレ E) 九州植物目録(2004)
ヒメアギスミレ D)
ムラサキコマノツメ D)
種(自然交雑) 自生確認 補足
アソキクバスミレ D) ヒゴスミレ x アカネスミレ
イチキスミレ D) スミレ x リュウキュウシロスミレ
ウスゲスミレ D) ナガバノタチツボスミレ x ニオイタチツボスミレ
オオミヤスミレ D) スミレ x ノジスミレ
コマガタケスミレ D) スミレ x フモトスミレ
サツマスミレ E) ツクシスミレ x ニョイスミレ:九州植物目録(2004)
スズキスミレ E) スミレ x ヒゴスミレ
ハクセツスミレ D) タチツボスミレ x ナガバノタチツボスミレ
フイリバスミレケナシフイリバスミレ E) スミレ x フイリフモトスミレ:九州植物目録(2004)
種(自然交雑 無名) 参考資料 補足
E) ノジスミレ x アカネスミレ:九州植物目録(2004)

書籍上、表現が不確かな種に関しては除外し、変種や品種については主要なもののみを選びました 〇=自生確認

記号 参考資料 著者、編者 発行/出版 発行
A) 野の花めぐり ◎春編 大工園 認 南方新社 2003年2月
B) 霧島市環境基本計画策定既存資料調査報告書 霧島市 霧島市 2006~2007年
C) 鹿児島県本土におけるスミレ類の自生状況 日高純藏、立久井昭雄 鹿児島県 1992年3月31日
D) 鹿児島県の維管束植物分布図集-全県版- 鈴木英治・丸野勝敏・田金秀一郎、他 鹿児島大学総合研究博物館 2022年
E) 鹿児島県の維管束植物分布図集補遺 1(会誌12号) 田金秀一郎、他 鹿児島植物研究会 2023年

気温グラフ 降水量グラフ
【参考:気象統計情報】 鹿児島市の例 (総務省統計局資料を利用)

各地のすみれ 掲載種について

 「各地のすみれ」に掲載しております自生種などの情報は、ご覧いただければ一目瞭然ですが、収集した植物誌など、参考資料の記載内容を紹介しているものです。こうした参考資料は、一般に、県や市などの地方自治体や教育機関、地方の博物館や植物学会、研究団体(個人を含む)などが情報収集の上、編集したケースが多いと認識されます。

 それらの参考資料が編集された時期、目的や経緯、情報収集や編集をされた方々の属性はいろいろですので、一貫性は期待できません。また、ご承知の通り、植物分類学の世界でも学術的知見が変わり続けていますので、編纂時期によって種の名称や表現が変わっているのは、むしろ、当然と言えます。
 編集者の属性も千差万別であり、正直なところ「ちょっと怪しい」情報も、まぁまぁ存在しています。スミレ科に関する限り、このサイトに訪問されている方々の方が、よりディープな知識をお持ちである場合も多いことでしょう。

 「ちょっと怪しい」を超えて、「明らかに外来種である」とか、「これは歴史的に変更された事実がある」、もしくは「単純ミス」などというケースに対しては、それなりの注釈を付けています。
 こうした状況を踏まえて、ご意見や情報をいただくこともありますが、全く踏まえていただけず(笑)、『間違いが多いから直せ』といったアドバイスをいただくこともありました。しかしながら、これらの情報は、日本に植物分類学が定着を始めた頃から現在に至る、歴史的側面を含む「記載事実」ですから、皆様からの投稿で作り変えるといった性質もしくは対象ではありませんね。それは、明らかに編者各位にも歴史に対しても失礼な態度ではないでしょうか。
 現在、私たちが持っている知識は、こうした試行錯誤も含む歴史の積み重ねの上に成り立っているものです。その知識でさえ、来年には変わってしまうかも知れません。悪しからず、ご了承いただくべき性質だと考えて、簡単な補足を施させていただくものです。ぜひ、ご理解下さい。


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 (2009/07/13) Latest Update 2024/04/14 [80KB]

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