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自然保護組織の不思議

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サイドストーリー (つぶやきの棚 こぼれ話) 2003/08/08
 自然保護に特別に大きな関心があるということではありませんが、植物などの自然を観察して、サイト運営していると、少しは関心を持たなければいけないと思うことが多々あります。
 各都道府県に環境保護課など、自然保護組織がありますが、地域に自生する希少植物を観光資源にしようとする動きが少くありません。幾つかの組織に連絡をして、考え直していただくよう働きかけたことがありました。一応、ブログやホームページの該当ページを訂正していただくことはできましたが、外部を指導していただくことはできないそうです。
イソスミレ  例えば、イソスミレなどは典型例です。昔はインターネットでいくら検索しても、自生地の情報はほとんど分かりませんでした。「それで当然だよね!」と思いながら、コツコツと探したものです。
 現状は、というと「悲惨な状態」と言って良いと思います。観光ツアーに組み込まれているなんてことはザラで、むしろ、県や市町村など地方公共団体が核となって、その希少性を観光資源としてアピールしている状態です。
 今から、ざっと10年程前でしょうか。県の自然保護部門が企画した『イソスミレを観察するツアー』がありました。インターネット上で大々的に参加者を募集するページには、なんと具体的な地名が記載されていて、そのまま長い期間、掲載されたままだったのです。それを終了後に見つけたものですから、担当者にメールを出して「削除します」と連絡をいただきました。
 その時に知ったのです。その様子は地元新聞に掲載されました。それから、参加した方々が、その頃から一般化が進んでいたブログという便利な道具を使用して、すごい勢いで情報発信を始めたのです。そのツアーの様子に関するものだけでも、数件の投稿を見つけました。

 この自然保護部門が企画して実施したツアーの目的は、いったい何だったのでしょうか。
イソスミレ  イソスミレという絶滅危惧種に指定された希少植物の保護を呼びかける企画…ではなかったようですね。花が咲いている時期に参加希望者を自生地まで連れて行って、写真を撮って…。それだけならば、税金を使って実施する価値があったのでしょうか。もし、希少性を説明して保護を訴えたのであれば、参加者が何の躊躇もなく自生地(海岸)名を具体的にブログに掲示するものでしょうか。内容を拝見した感想と言えば、楽しいピクニックに参加したという雰囲気でした。まぁ、楽しいのは良いことですが…。
 この後は、もう収拾がつかなくなりました。翌年以降、雨後の筍のように、あっちこっちのサイトやブログに掲載されるようになってしまったのです。誤解を恐れず、はっきり書こうと思います。そのキッカケを作ったのは、明らかに県の自然保護組織と地元新聞でした。
イソスミレ  反面教師という言葉があります。いつのまにか、似たようなことをしていたなどということにならないよう心がけたいと思うのです。しかしながら、こうして植物などの専門サイトを作って運営していること自体が、こうした希少植物の存在を知らしめ、煽っていることに繋がるのではないかと自問自答することがあります。
 でも、スマートフォン一つで、誰もが簡単に情報発信できるようになった時代、こうした希少植物たちとの付き合い方について考えて欲しいと訴える『余計なお世話的サイト』を運営するのも良いかなぁと思うようになりました。

 〇 写真を撮っても苗は取らない
 〇 希少種の自生地は「秘密の場所」が合言葉

 いつまでも咲き続けて欲しい。子や孫の時代もずっと。
イソスミレ title=

(お願い)

 もし、ブログなどに希少種の自生地を具体的に書いてしまった方がいらっしゃいましたら、今からでも遅くなりません。できましたら、自生地に関する表現を工夫して、例えば、極めて希少な場合は都道府県程度まで、少くても市町村までに変更していただけないでしょうか。どんな場合でも絶対にそうだと断言するものではありません。
 ケースバイケースですが、広い行政区画でしたら問題は少ないと思います。また「◯◯山」、「◯◯高原」などと表現した場合でも、それがとても広いエリアなので、場所を特定するのはきっと難しいという場合もあるでしょう。管理された自然公園であったり、そこを訪問する方々の意識がとても高いという場合も問題は低減できるかも知れません。
 一方、この例のイソスミレの場合、海岸の名前を書くなんてとんでもないことではないかと思います。それぞれに工夫して、「これなら大丈夫かな」という方法を考えていきませんか。
サイドストーリー
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