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 野に咲くすみれの美しさを見てしまうと、ついつい連れて帰りたくなってしまう気持ちについて理解するに難くない面はありますが、もう少し考えたいものです。確かにすみれは比較的強い生命力を持った植物ですが、「こんなにたくさん咲いているじゃないか、少しぐらい…」という考え方が支配的であれば、やっと生き残っている個体数を維持できなくなってしまいます。動物も植物も同じですが、種として生き残るためには、一定数のDNA量がどうしても必要なのです。やっと育った個体を、文字通り、根こそぎ持ち帰ることの影響力を考えると、個体を野に残して、一莢の果実からタネを増やして仲間内で流通させる方法もあるのです。
 所詮、自然環境ではない場所で育てる以上、標準的な姿を現していると考えない方が妥当でしょう。植物形態学から顕微鏡レベルの観察による分類までは進んだ訳ですが、究極的には「見た目」に対する主観的な印象に過ぎないのかも知れません。学者ではないので、間違った考え方かも知れませんが、(完全かどうかは別として)より客観的なDNA解析による、デジタル判断に基づいた分類は可能ではないでしょうか。ヒトゲノムの研究のような経済的裏付けがないため、短期では一般化しないかもしれません。でも、自然の中に多くのDNAが残ってさえいれば、近い将来、不明確な部分を概ね払拭できる可能性はあると推測しています。近未来の研究家が、より的確な定義付けを行うことが可能だとすれば、今の世代はDNA量の維持に執着するべきかも…。技術上の問題ではない訳ですから、「どうしても自分が研究しなければいけない」と考える方は、経済力という裏付けを確保して欲しいと思います。そうでない方は、もう少し待ってみませんか。
 *今回は、ちょっと理屈っぽくなりましたね!
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