ヤセウツボ
(痩靫、ハマウツボ科)---
Orobanche minor
James Edward Smith ---
不思議な印象の花を咲かせている茶色い植物が草原に生えていました。ヨ-ロッパまたは北アフリカからの帰化植物ですが、正体が分かるまで時間が掛かってしまいました。ヤセウツボ(痩靫)と呼ばれる完全寄生植物です。
シソ科のオドリコソウやラン科の仲間にも似ているように思います。マメ科やキク科の植物に寄生して成長する植物で、光合成をする葉を持たない独特な姿であることが分かりますね。ここは緑の草原ですが、最初は枯れているのかと思いました。
寄ってよく見ると、茎から袋状の花がたくさん出ていることがわかりました。でも、宿主に完全に頼り切った生活をして花だけを咲かせるというのは…。宿主らしいアカツメクサより遥かに大きく、こずるい感じは否めませんね。
撮影 : 千葉県柏市 2004年5月15日
科 |
ハマウツボ科 |
属 |
ハマウツボ属 |
分類体系 |
APG |
属性(生活型) |
一年草、寄生植物 |
標準和名 |
ヤセウツボ |
漢字表記 |
痩靫 |
学名/栽培品種名 |
Orobanche minor Sm. |
RDB |
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花期 |
春から初夏:4~6月 |
結実期 |
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原産地 |
地中海沿岸 |
備考 |
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国内分布 |
日本では1937年に千葉県で初めて確認されて以来、現在では、本州および四国広域で確認されている |
自生環境 |
本州と四国と全域に定着している |
補 足 |
一年草寄生植物、帰化植物、要注意外来生物指定植物。花はランに似た唇のような形をしている。葉緑素はなく、葉は退化して鱗片状に見える。 |
千葉県柏市 2004年5月15日
千葉県船橋市 2016年5月16日
久しぶりにヤセウツボに出逢いました。相変わらず、シロツメクサやアカツメクサと同居しています。撮影地は、比較的最近になって公園にされた場所で、このヤセウツボはどこからやって来たのだろうか?と不思議になりました。
千葉県船橋市 2019年5月19日
ご覧の通り、葉は退化していますね。「宿主の根から寄生根で養分を吸収して成長する」というので、根が気になって掘ってみましたが、なんと、ヤセウツボの根はシロツメクサの根に接触していませんでした。それにしても、ヤセウツボの根が短いですね。やる気が感じられません。
千葉県船橋市 2016年5月24日