ミヤマクロユリ
(深山黒百合、ユリ科)---
Fritillaria camtschatcensis
var.
alpina
(H.Matsuura & Toyok.) Hid.Hara ---
信州の高山で静かに咲いていました。全体に控えめな印象で、茶褐色、褐紫色の花を拡げているのは、高山帯の草原に咲くクロユリの高地型、ミヤマクロユリ(深山黒百合)です。花弁に厚みがあって、触ってみなかったのですが、弾力がありそうに感じました。
パンフレットに「アルピニストの憧れ」と説明書きがありました。ヤマユリやカノコユリなどはユリ属ですが、クロユリはバイモ属という少し別のグループに分類されます。クロユリとは遺伝子的にも外見的にも違いがあり、花の咲き方というようなレベルでも違っているように思います。
例によって、学名が混乱しているようです。参考にさせていただいている Ylist では Fritillaria camschatcensis var. keisukei を採用しています。他に subsp. とする説など相当数が存在しています。
撮影 : 長野県駒ヶ根市 2008年7月24日
科 |
ユリ科 |
属 |
バイモ属 |
分類体系 |
APG |
属性(生活型) |
多年草、球根植物 |
標準和名 |
ミヤマクロユリ |
漢字表記 |
深山黒百合 |
学名/栽培品種名 |
Fritillaria camschatcensis (L.) Ker Gawl. var. alpina (H.Matsuura & Toyok.) Hid.Hara |
RDB |
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花期 |
夏:6~8月 |
結実期 |
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原産地 |
日本 |
備考 |
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国内分布 |
本州(長野、山形、福島など)および北海道に分布する。 |
自生環境 |
高山帯の草原に自生する。 |
補 足 |
高山で見られる2倍体を「ミヤマクロユリ」、北海道の平地で見られる3倍体を「クロユリ」または「エゾクロユリ」と報告された。 |
花弁が比較的しっかりと花弁が開きます
花の内側から見ると、黄または橙色ですね
長野県駒ヶ根市 2008年7月24日
ミヤマクロユリに対して、北海道の平地で見られるクロユリをエゾクロユリと呼ぶ場合があります。ただし、エゾクロユリは3倍体、ミヤマクロユリは2倍体であり、エゾクロユリは植物体が大きめで海岸などに自生するとする資料が多いので、別とする方が妥当と思われます。
ただ、実際に北海道の海岸部で観察していますが、同じ環境に、本州であれば高山で見られるオオバタチツボスミレが自生しており、高山であるか、海岸であるかは分類のポイントに捉える必要はないのかも知れません。