女流作家の名前を持つ コムラサキシキブ(小紫式部)
丸い実の印象が強くて、どんな花だったかを記憶していないんですね。 「これは何かな?」 平安時代の女流作家の名前を持つコムラサキシキブ(小紫式部)です。 源氏物語の作中人物である「紫の上」の存在感を示すのでしょうね。 札というかPOPには『ムラサキシキブ』と書いてありました。 でも、鉢で大量に流通しているのはコムラサキシキブという情報が・・・。 前者は "Callicarpa japonica"、後者は "Callicarpa dichotoma" です。 見た目での比較ですが、写真はコムラサキシキブに近いようです。 ただ、正確な区別の方法がハッキリ分かりません。 実が小さいのがコムラサキシキブだという情報もありますが、少しアヤシイ! ムラサキシキブの方が実の付き方がまばらだという情報もあります。 枝の垂れ方が違うという情報もありますが、やはり不明確です。 運が良いことに、ムラサキシキブを山中で目にした記憶があるのです。 もう少し広い葉で、実はもっと少しずつ付いていたようでした。 POPにも敬意を表したいところですが、コムラサキシキブの方でしょう。 (ちょろっと、蘊蓄) ● 学名 : "Callicarpa dichotoma" (コムラサキシキブ) ● "Callicarpa dichotoma var. albi-fructus"(シロミノコムラサキ) ● 原産 : 日本、朝鮮半島、中国 ● 分類 : クマツヅラ科ムラサキシキブ属 白実品種(俗称『シロミノコムラサキ』)もいっしょに並んでいました。 これはこれで不思議な魅力がありますよね。 古い時代にはムラサキシキミ(紫敷実)と呼ばれていたという話があります。 紫色の実がいっぱいついているという意味でしょうか。 平安時代以前から知られていたでしょうから、真実味があります。 「紫式部」は特定の人物を指しますが、当然、固有の名前ではありません。 「清少納言」も「和泉式部」、「藤原道綱母」も同様ですね。 父君の官位が「式部丞」だったからではないかというのが有力説だとか。 本人は当時も著名作家で、藤原道長の娘の筆頭女房(兼家庭教師)でした。 これだけの人物でも、歴史に名前が残らないシステムなのですね。