山の春は、この花が垂れ下がってから、賑やかになっていきます。 「これは何かな?」 春を告げるキブシ、漢字では「木五倍子」、漢字の文字の方が多いですね。 通常、このようなクリームイエローですが、オレンジの強いタイプもあります。 山でこの花に出逢うと、きっと菫も咲いていると感じます。 実際、開花適温が似ているのか、すみれ開花の指標になります。 雌雄異株ですが、雌雄で花色が少し違うとのことです。 雄株の方が少し色が濃いそうですが、現地では簡単に見分けられません。 花が終わると、柔らかくて明るい緑色の葉が展開していきます。 (ちょろっと、蘊蓄) ● 学名 : "Stachyurus praecox" ● 原産 : 日本、中国 ● 分類 : キブシ科キブシ属 九州(対馬)では、あちらこちらでキブシの独特な花が咲いていました。 ただ、花が終わると、どれがキブシだったのか分からなくなってしまいます。 そんな目立たなくて、おとなしい落葉性低木なのです。 果実が「五倍子」という染料の代用として、黒色の染料になるそうです。 タンニンを豊富に含むからですね。 その染料は、武家の奥さまが施した「お歯黒」にも使われます。 関東地方ではキフジ(黄藤)と呼ばれることも多いとか。 これは、藤に似た黄色い花を咲かせることから、良くわかりますね。 暖かい春風に吹かれて揺れる姿は、なかなか風情があります。