コジマエンレイソウ
(小島延齢草、ユリ科)---
Trillium amabile
Miyabe et Tatew. ---
山を登っている途中の針葉樹の林で多くな群落に出逢いました。「大きいなぁ」と思ったのですが、実は今日まで普通のエンレイソウだとしか思っていませんでした。よく考えたら、臙脂色の花びら(内花被片)があることに気づくべきだったのです。エンレイソウには赤みのある萼片(外花被片)はありますが、花びらはないのです。
この群落に出逢う前に白い花が咲いている一角がありました。こちらもミヤマエンレイソウにしては大きいという程度の認識でしたが、オオバナノエンレイソウであることを改めて確認することになってしまいました。思い込みはいけません(笑)。
撮影 : 北海道函館市 2010年5月10日
ユリ目の分類群で、従来の新エングラー体系やクロンキスト体系等でユリ科に含められていた植物群の一部が、APG植物分類体系ではシュロソウ科に再編成された。
科 |
シュロソウ科 |
属 |
エンレイソウ属 |
分類体系 |
APG |
属性(生活型) |
多年草 |
標準和名 |
コジマエンレイソウ |
漢字表記 |
小島延齢草 |
学名/栽培品種名 |
Trillium amabile Miyabe et Tatewaki |
RDB |
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花期 |
春:5~6月 |
結実期 |
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原産地 |
日本 |
備考 |
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国内分布 |
北海道に分布する。また海外ではサハリンに分布する。 |
自生環境 |
山地の湿った林下などに自生する。 |
補 足 |
花には緑色の外花被片(がく片)が3枚、濃い紅紫色の内花被片(花弁)が0から3枚、多くは横向きに咲く。エンレイソウとオオバナノエンレイソウの自然交雑種と言われる。 |
この大きめの華やかな花を見て、なぜ、エンレイソウと違うことに気づかなかったのでしょう
この自然交雑種に稔性があるのか情報がないが、広く群生する様子から、地下茎で増えるのではないかと推測した
北海道函館市 2010年5月10日
エンレイソウは近縁種間で自然交雑種を作りやすいという情報がありました。オオバナノエンレイソウとミヤマエンレイソウの組み合わせでシラオイエンレイソウ、同じ組み合わせでカワユエンレイソウ、ミヤマエンレイソウとエンレイソウの組み合わせでヒダカエンレイソウが知られています。ところで、やはりトカチエンレイソウという自然交雑種が北海道で知られているのですが、オオバナノエンレイソウとエンレイソウの組み合わせだと言われます。では、コジマエンレイソウと同じ両親の組み合わせですよね。変異も多いそうで、同定には難しい面があるのだろうと思われます。