シデコブシ
(四手辛夷、幣辛夷、モクレン科)---
Magnolia stellata
(Siebold & Zucc.) Maxim. ---
白または薄紅の清楚な花を咲かせる落葉小高木です。公園などで目にすることが増えてきましたが、自生は東海地方に限定されている希少種です(東海丘陵要素、伊勢湾岸要素植物群)。環境省のレッドリスト(2007)で準絶滅危惧(NT)とされました。保全活動が行われているそうです。
細長いリボンのような独特の花弁(花被片)を持つ特徴で、比較的見分けやすいかも知れません。自生環境は、山地ではなく、湿原の周辺や渓流沿いなどとされる変わり種です。
別名を姫辛夷(ヒメコブシ)ともいうそうです。コブシより花弁が多いのですが、更に花弁が多い八重咲き園芸種が流通しています。
撮影 : 千葉県千葉市 2016年3月29日
科 |
モクレン科 |
属 |
モクレン属 |
分類体系 |
APG |
属性(生活型) |
落葉小高木 |
標準和名 |
シデコブシ |
漢字表記 |
四手辛夷、幣辛夷 |
学名/栽培品種名 |
Magnolia stellata (Siebold & Zucc.) Maxim. |
RDB |
準絶滅危惧(NT) |
花期 |
早春:3~4月 |
結実期 |
秋:9~10月 |
原産地 |
日本 |
備考 |
|
国内分布 |
日本固有種。東海三県の丘陵地に限定分布するため、東海丘陵要素と呼ばれている。 |
自生環境 |
湿地や小さな川沿いに隔離分布する。 |
補 足 |
樹高は10m程度以上の落葉小高木で、東海地方に限定・隔離分布する希少種。 |
千葉県千葉市 2016年3月29日
両性花で、雌期から移行期を経て雄期に変化します(できれば、分かり易い画像が必要ですね)。
果実は、コブシと同様、袋果が集団状にまとまった不思議な形状です。
撮影 : 千葉県千葉市 2016/03/29
千葉県千葉市 2009年3月28日
シデコブシが日本固有種で希少種だということは理解できたのですが、当初、「遺存種」というキーワードがピンと来ませんでした。シデコブシは『生きた化石』と呼ばれることがあり、近縁種たちが環境条件の変化に耐えられずに絶滅してしまったなかで、生き残った強健種ということらしいのです。土壌が安定した自生地では高木となり、痩せ地や水際リ立地では変幻自在に潅木的な姿で叢生するようです。