メギ科の多年草で、漢字では「錨草」または「碇草」と書きます。花全体の形が船の錨に似ていることから命名された名前です。 イカリソウには4枚の花びらがあり、筒のような距(きょ)と呼ばれる突起が四方に長く伸びています。これが錨のフックのように見えます。花びらに覆い被さるような萼片(がくへん)もとても美しく、自然が創り出した造形美にはいつも感心させられますね!実は萼片は8枚あって、花びらと三重構造になっています。一般に内側の萼片は花びらと同色ですが、「源平咲き」と呼ばれる2色咲きなどもあり、バリエイションに富んでいます。これは比較的容易に交雑種ができるためです。 |
イカリソウは日本、中国などのユーラシア大陸、ヨーロッパ、北アフリカなどに27種が分布しているとされています。 |
参考 : 新企画出版局 「自然と野生ラン(1999年7月号)」 |
日本では、北海道から九州まで広く分布しています。主に北海道から近畿までの太平洋側には薄紫色のイカリソウ、本州の日本海側に冬でも葉が枯れないトキワイカリソウ、北海道の一部、東北から近畿までの日本海側で見られるキバナイカリソウ、九州や四国には距が短いバイカイカリソウ、交雑種と見なされるヒメイカリソウ、サイコクイカリソウなど、地域ごとに特徴的な分布になっているようです。 |
前述の通り、比較的容易に交雑種ができる特徴があります。ある資料によると、バイカイカリソウとキバナイカリソウを人工的に交配したF1株で、花粉稔性が80%前後に及んだとのことです。自然界でも複雑な交雑が進んでいて、中間的な交雑種が段階的に分布している地域が四国などで見られると報告されています。 花色でも多くの変化があり、黄花、白花、赤からピンク花、紫花などの組み合わせがあります。咲き方にも、前述の源平咲き、覆輪的な咲き方、紫条が入るタイプなどバリエイションに富んでいて、目を楽しませてくれる逸品が野草園芸店などで販売されています。 |
比較的丈夫ですので、野草としては栽培が容易な方です。地植えでも鉢植えでもいけます。増やし方も決して難しい方ではありません。普通に見られる植物になったら、盗掘が減って良いかも知れませんね。 |
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(1999/08/31) Latest Update 2024/08/19