ヤブラン
(藪蘭、キジカクシ科)---
Liriope muscari
(Decne.) L.H.Bailey ---
隣町まで蕎麦の花を撮影に出掛けた際、ふと見ると、大きめの樹の株元に、長い葉っぱの間だから、この花が咲き終わりかけて、同時に果実らしきものができようとしていました。その時は、つい、後で調べようと、そのままにしてしまっていたのです。その12年後、別の町で、湿地の歩道を歩いている時に、どこかで見た葉っぱを目にすることになります。
ヤブランという名前ですが、おそらく、シュンランに似た長い葉っぱなどから命名したものと思われ、実際にはキジカクシ科に分類されています。これはアスパラガスの仲間ということになります。直前は、ユリ科に分類されていた時代があったようですが、近年のDNA解析に基づく新しい分類法で再分類された経緯があります。
撮影 : 千葉県印材市 2012年10月6日
科 |
キジカクシ科 |
属 |
ヤブラン属 |
分類体系 |
APG |
属性(生活型) |
多年草 |
標準和名 |
ヤブラン |
漢字表記 |
藪蘭 |
学名/栽培品種名 |
Liriope muscari (Decne.) L.H.Bailey |
RDB |
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花期 |
夏:7~9月 |
結実期 |
秋:10~11月 |
原産地 |
アジア |
備考 |
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国内分布 |
全国に分布するが、主に関東以西の本州・四国・九州・沖縄で見られる。国外では東アジア圏に分布する。 |
自生環境 |
林内、公園の木陰などに自生する。 |
補 足 |
常緑の多年草、一年中、緑色の葉が見られる。強い日射や乾燥に弱い面があり、樹木の陰などで下草として生育する。ユリ科に分類されていたが、DNA解析に基づき、キジカクシ科に変更された。 |
撮影 : 千葉県印材市 2012年10月6日
常緑で、緑色の葉っぱが一年中見られます。実は、直射日光や乾燥に弱いという性質で、実際、林の藪や、樹の株元、湿地などに自生しています。逆の視点では、日陰でもよく育つということであり、軒下などでもよく育つという重宝な面があります。庭園の下草などとしてもよく栽培されます。
撮影 : 千葉県松戸市 2024年11月3日
撮影 : 千葉県松戸市 2024年11月4日
撮影 : 千葉県松戸市 2024年11月4日
緑色から黒褐色に変わり、球形で果実に見える物体ですが、不思議なことに、胚珠が露出しているものなのだそうです。被子植物の場合、一般に、胚珠は子房に包まれて肥大していき、普通、果実となりますが、ヤブランの場合、胚珠が子房の壁を破って露出してしまうのだそうです。