ヤエヤマスミレ (八重山菫)
ヤエヤマスミレ ヤエヤマスミレ
沖縄県八重山郡 2007年4月11日 alt.=49m
ヤエヤマスミレ ヤエヤマスミレ
ヤエヤマスミレ ヤエヤマスミレ
沖縄県八重山郡 2007年4月11日

ヤエヤマスミレ
ヤエヤマスミレ ヤエヤマスミレ
神奈川県 2010年3月19日 植栽
分類 ミヤマスミレ類
学名 基本種 ヤエヤマスミレ Viola tashiroi Makino (葉が菱形)
変種 イシガキスミレ Viola tashiroi var. tairae Nakajima(三角状で基部が切形)
品種
フイリヤエヤマスミレ Viola tashiroi f. alboreticulata Nakajima
イリオモテスミレ Viola tashiroi f. takushii Nakajima(葉がハート形)
異名
由来 tashiroi : 人名に由来する 田代安定氏WHO! (1857-1928) 植物学者、民族学者、冒険家
外語一般名
茎の形態 無茎種
生育環境 川の上流(渓流部)、滝壺等の水しぶきが掛かる岩場で、岩や苔の上に生育する。
分布 国内 沖縄県(西表島・石垣島)に分布。
海外
補足
花の特徴 形状 小輪(1~1.5cm程度)。細い花弁。唇弁は小さい。花茎が長め。側弁基部は有毛。
白花で、唇弁に紫条が入る。
小さくて丸い。
花期 3~4月(現場情報では、1月には咲き始め、連休辺りまで見られるという)
花柱 三角形。
芳香
補足 ヤエヤマスミレ 側弁の基部に白い短毛が見られる。
葉の特徴 形状 極めて小さい菱状卵形、三角状卵型。先端は丸い。鋸歯HELP!はゆるやかな曲線を描く。
渓流沿い植物の特徴を強く示す。
表面には光沢があり、濃いめの緑色。裏面は若干白っぽい緑色。
補足 葉質は滑らかで厚め。葉脈HELP!に沿って薄く白い筋が入る。無毛。縁に毛が疎生する。
種の特徴 形状 倒卵形。へその方へ尖る。中粒。種枕が目立つ。
種子:濃褐色、種枕(エライオソーム):淡褐白色。光沢はない。
補足 果実の表面に黒い斑点がある。
根の特徴 「スミレ事典(出典:S001) (三木順一氏WHO!著)」他によると、岩の隙間などに根茎が這い、節から白い根を下ろして新芽を出す。引っ張っても簡単には剥がれない。
絶滅危惧情報 イシガキスミレ : 環境省【絶滅危惧IB類(EN)】 HELP!
基準標本 ヤエヤマスミレ : 沖縄県 1907 by A. Tashiro
(以降、全て京都大学収蔵)
フイリヤエヤマスミレ : 沖縄県 西表島 1970.4.21 by C. Nackejima
イリオモテスミレ : 沖縄県 西表島(浦内川流域の苔蒸した淵) 1968.4.22 by Nakajima
イシガキスミレ : 沖縄県 石垣島(名蔵川流域の苔蒸した淵) 1968.4.25 by Nakajima
* C. Nackejima と Nakajima は中島と読めるが、後者は中島邦雄氏?。
染色体数 2n=22
(Yoshioka, H. & R. TANAKA, 1981, Chromosomes of Viola. Shin Kaki)
参考情報 琉球の植物データベース
その他 岩の上のような平坦な場所では、葉が高密度に放射状に展開する。
田代安定氏WHO! ではなく田代善太郎氏とする資料があるが、誤植、誤解と思われる。

 自生地は分かったのですが、そこまで到達するには天候に恵まれることが条件だと感じました。激しくスコールが降った翌日、曇天ながら、なんとか到達することができ、安堵したものです。岩の隙間にロゼットHELP!状に拡がった株は葉の数がとても多いのですが、そういう株は、逆に花茎の数は少なめという点が不思議です。花はぱぁっと拡がらず、どちらかというと、スイセンの花のような閉じ気味に展開するものが多いようです。元々暗い場所に自生している上、曇天となれば、白い花を撮影するのはなかなか骨が折れます。
2007/04/14
 西表島や石垣島は、地理的には温帯の端っこに当たるのですが、気候と生物(植物を含む)では亜熱帯の特徴を持っています。資料に拠りますと、年平均気温は23.3℃、同湿度82%、年間降水量2,300mm以上です。他の地域と比較してみて下さい。熱帯や亜熱帯に木本のすみれは見られますが、草本のすみれは基本的に温帯の植物ですから、この地に適応するには相当の覚悟と幸運が必要ということでしょう。大量の水が生み出す水しぶきが気化する時に周囲の熱を奪うことによって、部分的に常に気温の低い一角が現れる、その低温ハウスとも呼ぶべき一角の住人として生き残っているのがヤエヤマスミレたちなのです。
2007/04/15

 田代安定氏(Y.Tashiro)と田代善太郎氏(Z.Tashiro)について、両者は同年代の植物学者と見られていますが、ヤエヤマスミレに関するYListの記載には(Y.Tashiro, Jul. 1887)と記載されています。この1887年に善太郎氏は弱冠15歳であり、一世代のギャップはあるのだろうと思います。
 しばらくの間、確認ができませんでしたが、「日本すみれ図譜(井波一雄氏著)」には、ヤエヤマスミレは田代安定氏が1888年(明治21年)7月の炎暑の下で発見したものと記載されています。困ったことに、YListの記載とは1年違っていますね。また、田代善太郎氏を発見者と説明するインターネット上の情報は徐々に減っていますが、紙媒体になったものは変わりようがありません。
2012/11/26

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 (2007/04/14) Latest Update 2024/08/27 [375KB]

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