ここにケイリュウタチツボスミレが自生しているのか・・・。出逢いが余りに唐突で驚いてしまいました。広島の個体と比べて、花の色合いが少し違うようですが、葉や茎、自生環境は全く同じでした。
それでも分布図から見ると、やはり唐突な印象です。しかしながら、この変種はまだ十分な調査ができていないと聞き及びます。現状、分布は中部以西とイメージされていますが、タチツボスミレの変種ですから、東北にあっても何ら不都合はないでしょう。青森県では十和田、おそらく奥入瀬渓流での調査は行われた様子ですが、ここは随分離れています。若干の不安(笑)を残していますが、見た目の判断ではケイリュウタチツボスミレで良さそうだと思っています。
ケイリュウタチツボスミレに関する遺伝子解析により、現在、大きく二つのクレードに分けられ、複数回起源していることが明らかになったとする報告があります。比較的詳しい資料によると、地理的分布が広いクレードに秋田県のサンプルが含まれているようでした。2008/05/17
左の写真は少し離れた似た環境で咲いていた個体ですが、上と同じ場所で撮影した右の写真と比べると、花全体、特に距の色が少し濃いようです。
2008/05/19
距の色の濃い個体(左上下)と、広島で撮影したケイリュウタチツボスミレ(右上下)を比べると、距が色付いているという程度の違いですが、微妙なところかも知れません。2008/05/19
ケイリュウタチツボスミレの大群落を夢中で観察していると、途中から、距が薄紫の個体群が現れたのです。花冠では距の色以外に違いはなさそうながら、葉の方は、大きさは同程度、形態は平坦ではなくスプーン状、鋸歯が粗め、基部は、そのほとんどが浅い心形ばかりでした。
周辺のタチツボスミレと浸透交雑した個体群が、同じ環境で同居しているのだろうと考察してみました。すると、一応、ケイリュウタチツボスミレとみなしても良さそうです。ただ、水流に対する抵抗が少しだけ多めなので、いずれ、淘汰される運命ではないでしょうか。2025/05/01
(2008/05/17) Latest Update 2025/05/01 [1.44MB]