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「パンジー」「ビオラ」「スミレ」の違いとは?えっ!!

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サイドストーリー (つぶやきの棚 こぼれ話) 2020/04/25
 今回、少しだけ、批判的な内容になりそうですので、予め、ごめんなさい!を表明させていただく次第です。
 テーマは『「パンジー」「ビオラ」「スミレ」の違いに関する多くのコメントを見て、聞いて、愕然としました』というお話です。先ず、この3者の比較って、どういう意味があるのでしょうか。一体、何を比較しているのでしょうか。
 サンドイッチマンの富沢さんじゃなくても「ちょっと何言ってるか分からない」と言いたくなりませんか!
 「パンジー」と「ビオラ(ヴィオラ)」の違いを説明する記事は大昔からあって、書籍やインターネットサイトなど、かなり多いと思います。でも、昔から、それらを拝見して「意味が分からないなぁ」と思いつつ、それでも、その内には発信者も恥ずかしくなって、勉強し直すのではなかろうかと、淡い期待を持っていました。どうもダメというか、変わらないようですねぇ。
パンジーとビオラ

状況は

 実は、これらが園芸限定の表現であり、園芸業者や指導者、一部愛好家の方の間のみで用いられ、通用する言葉として存在する分には、目を瞑っていれば良かったのです。ただ、最近、『学名』や『分類学用語』などを引っ張り出して(それらしく)説明しようとするケースが増え、(それ自体の良し悪しは別として)その内容が余りにもいい加減で閉口させられるばかりなのでした。
 そうした専門用語を利用するのであれば、少なくても、用語の定義ぐらいは復習した上で情報発信すれば良さそうなものです。それぞれ、内容に差があるので一把一絡げ (いっぱひとからげ)では語れませんが、失礼ながら、中等教育の『生物』で習う程度の内容さえも理解しているのかな!と訝ってしまいたくなるケースが決して少なくありません。植物研究家と名乗る方もおられ、う~ん、これはいけないのではないでしょうか。
スミレ  あるサイトでは、「パンジー」と「ビオラ」の学名を同じ "Viola" であるとし、そして、スミレの学名を "Viola mandshurica" であると説明しています。どこが変なのですか?と不思議に感じる方もいらっしゃるのでしょうか。これって、実は意味が分からない、意味がない比較だろうと思います。
 学名で "Viola" と説明されれば、スミレ科に属する『属名』の一つとしか理解ができませんよね。一方、"Viola mandshurica" と二名法で説明されれば、これは種名になることでしょう。つまり、「安倍家」と「晋三さん」を並べて、同列に比較説明をしようとしている状況に似ているのですが、それが分からなかったようですね。

 また、パンジーは、長期間に亘って人為交配して育種した園芸品種の「総称的な俗称」です。一方、スミレ("Viola mandshurica")は、アジア東部を中心に分布する単独の野生種を指し示します。更に、園芸の世界で語られるビオラに至っては、膨大な園芸品種があるパンジーの一部であり、[結果的に] 花のサイズが小さめなグループを呼ぶための「呼称」や「あだ名」のようなものに過ぎません(注:[結果的に]とは、実は、交配親が違うため、結果的に花のサイズが小さくなったことを意味しています)。これらを比べて何をしようというのでしょうか。
 つまり、スミレ科に分類される「属」や「種」と「園芸品種のグループ」を同列に並べて語っているという事実を、情報発信されている説明者自身が理解できていないのでは?ということになりそうです。
 他にも、どうかなぁという説明が多々ありました。

(1)スミレは日本原産の野生種です:
   日本は原産地の一つですが、"mandshurica" が満州(中国東北部)を意味することを知っていれば、良かったですね。*
(2)そのスミレは野生種だけでも何十種類もあります:
   え、独立種の話ではなかったのですか?突然、「属」の話に変化していませんか。
(3)どうして、この3つだけを比べるの:
   スミレ科スミレ属に分類される基本種は数百種。変種や品種、交雑種は数えきれない。では、なぜ、この3つだけが対象なのか?

 * スミレは交雑種起源の独立種であることが分かっています。一方の親はノジスミレですが、もう一方は日本には自生していない不詳種だそうです。

ビクビクしながら

 誤解を避けたい故の補足です。このサイトをご覧いただければ、すぐ分かりますが、パンジーは大好きなのです。時々、パンジー大嫌いなすみれ好きさんがいらっしゃって、大きなクエスチョン・マークが浮かぶことがありますね。ポイントとなるのは「どう情報を発信するか!」なのだと思います。
 一般に(一般化して良いのか、疑問ですが…)皆さんにコメントを発信しているにも関わらず、残念ながら、「違いを説明」するための分類の基本であろう「科」、「属」、「種」という言葉でさえ理解されているのかなぁと、それこそ、理解に苦しむことがあります。私の時代ならば、中学校で習いました。もし、理解していないならば、学名を使用して説明するなどということは無謀で、そんなことには挑まない方が無難ですよね。一生懸命に勉強した方々でも、間違えないだろうかと、ビクビクしながら使っているのです。上っ面な私など、ヒヤッとしたことが何べんもあります(苦笑)。
 こうした不思議なコメントを読んで、聞いて、理解した(?)方々が、伝言ゲームのように、自分なりの見解を添えて更にコメントされる訳ですが、やはり、比較するのが、この3つが対象なのです。どうしてなのでしょうね?!
スミレ(覆輪) スミレ ビオラ パンジー

文末に

 ちょっと偉そうなことを書いてしまって、やはり、ビクビクしています。無難に話題を避けるという選択肢もあるのですが、伝言ゲームがいつまでも続くのは釈然としませんよね。勿論、ここで書いたからといって大勢に影響はないと分かっているのですが、書かないよりは書いた方が良いかなぁと、今になって思った次第。笑って、ご理解いただけましたら幸甚です。
サイドストーリー
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