フジスミレ [学名上はヒナスミレの母種] (藤菫)
- ミドリフジスミレ (緑藤菫)
- シロバナフジスミレ (白花藤菫)
- ヒナスミレ (雛菫)
- シロバナヒナスミレ (白花雛菫)
- フイリヒナスミレ (斑入雛菫)
- エゾヒナスミレ (蝦夷雛菫)
栃木県日光市 1999年4月24日 alt.=700m
- 栃木県日光市 1999年4月24日
- 栃木県日光市 2010年5月5日
栃木県日光市 2012年5月19日 alt.=1,280m 標高の高い自生地、葉と斑の色がともに薄く、コントラストが低い
分類 |
ミヤマスミレ類 学名上はヒナスミレの母種 |
学名 |
基本種 |
フジスミレ Viola tokubuchiana Makino Published in: Bot. Mag. (Tokyo) 16:129. (1902) |
変種 |
ヒナスミレ Viola tokubuchiana var. takedana (Makino) F.Maek. Published in: Enum. Spermat. Jap. 3:218. (1954)
フイリヒナスミレ Viola tokubuchiana var. takedana f. variegata (Nakai) F.Maek.
シロバナヒナスミレ Viola tokubuchiana var. takedana f. albiflora Hayashi
エゾヒナスミレ Viola tokubuchiana var. takedana f. austroyezoensis (Kawano) F.Maek. et T.Hashim.
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品種 |
ミドリフジスミレ Viola tokubuchiana f. concolor E.Hama(正式には記載されていない (出典:N003)
)
シロバナフジスミレ Viola tokubuchiana f. lactiflora E.Hama
イヌガタケスミレ Viola tokubuchiana f. yoshiokai F.Maek. et Hashimoto
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異名 |
Viola nikkoensis Nakai Published in: Bot. Mag. (Tokyo) 36:36. (1922)
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由来 |
tokubuchiana : 人名に由来する 徳淵永治郎氏(1860-1951)採集家
takedana : 人名に由来する 武田久吉氏(1883/3/2-1972/6/7)植物学者、登山家
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外語一般名 |
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茎の形態 |
無茎種 |
生育環境 |
山地のやや暗く湿り気味の日陰、林下を好む。 |
分布 |
国内 |
北関東に限定的に分布する。 |
海外 |
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補足 |
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花の特徴 |
形状 |
中輪。側弁は普通は無毛または少し毛がある。 |
色 |
淡いピンクと白に細かい紅条が入る。 |
距 |
太い円筒形。 |
花期 |
比較的早咲き。 |
花柱 |
カマキリの頭形。 |
芳香 |
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補足 |
花弁のへりが波打つものが多い。不定芽から増えて群生するが、花は少ない。 |
葉の特徴 |
形状 |
三角状広卵形または心形。葉先は細く尖り、基部は深い心(臓)形。 |
色 |
表面は緑色(または暗緑色)、裏面は紫色を帯びるものが多い。 |
補足 |
白斑があるものをフジスミレ、白斑がないものをミドリフジスミレという。 |
種の特徴 |
形状 |
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色 |
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補足 |
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根の特徴 |
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絶滅危惧情報 |
群馬県:絶滅危惧Ⅰ類 |
基準標本 |
ミドリフジスミレ : 栃木県日光市 小倉山 1967.4.20 by T. Kamiyama (京都大学収蔵)
シロバナフジスミレ : 栃木県日光市 小倉山 1967.4.23 by T. Kamiyama (京都大学収蔵)
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染色体数 |
2n=24 |
参考情報 |
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その他 |
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フジスミレは日光近辺でも見られます。初めて参加した観察会で出逢ったのですが、観察会の集合場所を間違えて、断片定な情報を頼りに日光まで電車で追いかけたので、参加者の皆さんには、たいそう驚かれてしまいました。「フジスミレがあったよ!」と聞かされたのはホテルに到着した夕方。またまた断片情報だけで探し出すことになりました。雨が降り続ける中で、ようやく辿り着いた時は写真撮影には限界。
かなり無理をしてしまいましたが、訪ねた先で親切な宿のご主人から、牧野富太郎博士
のことや、豊橋から訪ねて来た熱心な植物写真家(Asterさんでしょうね)の話を聞くことができました。夕食後、バスの運転手さんから「夕方、出かけるのを見たよ。あなたは本当にすみれが好きなんだね!」と声を掛けられました。う~ん、少し違うんじゃないかな。私のようなタイプは『おバカさん』と言うんです。
1999/06/20
2年前の記憶をたどって、すみれ仲間と再び日光を訪ねました。今回は昼から晴天となり、いわゆるピーカンで逆に写真が撮りにくい状況でしたが、かわいらしいすみれたちと出逢うことができました。写真が増えたため、フジスミレのページを分離しました。
2000/04/24
埼玉県のレッドデータブックの記載より、分布に埼玉県と長野県を書籍情報として追記しました。県内の秩父や入間などの複数エリアで確認されているようです。
2009/01/17
自然環境保全基礎調査(環境庁)の「静岡県 動植物分布図」の記載より、分布に静岡県を書籍情報として追記しました。別途にヒナスミレも記載されています。
2009/01/22
「山梨県植物誌」に山梨県内の自生の記載があります。自生地は多くて二つのエリアだそうですが、実際の確認は困難でしょう。一応、書籍情報として追記しました。
2009/08/02
標高の高い自生地を訪ねたのですが、地元の方に話を聞くと、植物の生育が平年より10日間程度遅れているとのことです。タチツボスミレがポツポツと咲いている山を歩きかけて、戻りました。半径1Km程度歩いてみたのですが、すみれの影はほとんどなかったからです。早々に出発点に戻って、標高を下げることにしましたが、駐車は制限されていて、標高を一気に600m下げざるを得ませんでした。ふと、以前に訪ねた自生地を思い出して、おぼろげな記憶で訪ねてみると、フモトスミレに混じって、良く似ているけれども大きな葉が現れ、そこが自生地であることを確信したのです。
2010/05/06
栃木県日光市 2012年5月19日 alt.=1,280m
雨に降られて、二度、そばを通過せざるを得なかった標高の高い自生地に、超強引ながら日帰りで訪ねてみました。実は、これは二度目のことです。片道200Kmですから、なかなか辛いものがあります。結果的に、当初の予定日から1時間遅れて昼過ぎに到着しました。昼食を食べ損ねても、メゲずに歩きまわり、やっと開花したばかりの花たちを見つけ出しました。実は、終わりかけの花、雨に降られて地面にくっついてしまった花などばかりで、しばらくは半泣き顔で歩いていたのではないでしょうか。^^
もう少し低い位置にある自生地では完全に花が終わっていました。そこの個体群に比べると、葉の色合いは淡くて、斑も薄めなのでおとなしい印象です。アップにしてみますと、確かに側弁に少しだけ毛がある個体がありました。葉の数はとても多くて、個体数そのものは相当多いようですが、花の数は決して多くありません。花の痕跡がない株が多く、開花率は低いと理解しています。
2012/05/21