ヒナスミレ (雛菫) [学名上はフジスミレの変種] [別名:アラゲスミレ]
- シロバナヒナスミレ (白花雛菫
- フイリヒナスミレ (斑入雛菫)
- エゾヒナスミレ (蝦夷雛菫)
- ミドリヒナスミレ [俗] (緑雛菫) 参考提供資料 *すみれ仲間から写真と情報をお借りしました
- イヌガタケスミレ (犬ヶ岳菫) *当サイトでは別名の一つとして扱っているが、根で増殖する型とした方が妥当か
群馬県吾妻郡 2010年4月24日 alt.=700
比較的標高の高いカラマツ林のふっくらした林床に(自由な雰囲気で)咲いていた
山梨県笛吹市 2011年4月30日 alt.=1,100m
東京都八王子市 1999年4月4日 高尾山
東京都八王子市 1998年4月12日 高尾山
固まって咲く姿は珍しい方です。 東京都八王子市 2022年4月2日 高尾山
葉の裏が紫色を帯びるのが普通、この個体は緑色だ
群馬県高崎市(旧群馬郡) 1999年5月1日 伊香保
群馬県高崎市(旧群馬郡) 1999年5月2日 榛名山
群馬県高崎市(旧群馬郡) 2000年4月22日 倉渕
斑の入り方は多彩です。
それぞれ葉の色も微妙に違いますね。
それから、場所が近くても様子が違います。
東京都八王子市 2007年3月29日 高尾山
山梨県南都留郡 2008年4月30日 alt.=1,025m
北海道函館市 2010年5月10日 alt.=90-190m 植物体が大きく、エゾヒナスミレとは認識できなかった
分類 |
ミヤマスミレ類 |
学名 |
基本種 |
フジスミレ Viola tokubuchiana Makino Published in: Bot. Mag. (Tokyo) 16:129. (1902) |
変種 |
ヒナスミレ Viola tokubuchiana var. takedana (Makino) F.Maek. Published in: Enum. Spermat. Jap. 3:218. (1954)
フイリヒナスミレ Viola tokubuchiana var. takedana f. variegata (Nakai) F.Maek.
シロバナヒナスミレ Viola tokubuchiana var. takedana f. albiflora Hayashi
エゾヒナスミレ Viola tokubuchiana var. takedana f. austroyezoensis (Kawano) F.Maek. et T.Hashim.
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品種 |
ミドリフジスミレ Viola tokubuchiana f. concolor E.Hama(正式には記載されていない (出典:N003)
)
シロバナフジスミレ Viola tokubuchiana f. lactiflora E.Hama
イヌガタケスミレ Viola tokubuchiana f. yoshiokai F.Maek. et Hashimoto
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異名 |
Viola scabrida Nakai Published in: Bot. Mag. (Tokyo) 28:312. (1914)
Viola takedana Makino Published in: Bot. Mag. (Tokyo) 21: 57. (1907)
Viola funghuangensis P. Y. Fu & Y. C. Teng.
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由来 |
tokubuchiana : 人名に由来する 徳渕永治郎氏(採集家)
takedana : 人名に由来する 武田久吉氏(植物学者、登山家 1883/3/2 - 1972/6/7)
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外語一般名 |
【中】鳳凰堇菜、【韓】민둥뫼제비꽃 |
茎の形態 |
無茎種 |
生育環境 |
山地の湿り気がある日陰を好む。ただし、一定の日照がないと花を付けない場合がある。 |
分布 |
国内 |
北海道南部から九州中部。太平洋側山地に多い。 |
海外 |
中国東北部、朝鮮半島。* ただし、「再検討が必要 (出典:N003)
」との見解あり。 |
補足 |
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花の特徴 |
形状 |
中輪。側弁は一般には無毛とされるが、少し毛がある個体も少なくない。 |
色 |
淡いピンクと白に細かい紅条が入る。 |
距 |
太い円筒形。 |
花期 |
早咲き。 |
花柱 |
カマキリの頭形(虫頭形)。 |
芳香 |
芳香のある個体とない個体があるが、多くは芳香がない。 |
補足 |
花弁のへりが波打つものが多い。 |
葉の特徴 |
形状 |
三角状広卵形、葉先は細く尖り、基部は深い心形。縁が波を打つものも見られる。 |
色 |
表面は緑色(または暗緑色)、裏面は紫色を帯びるものが多い。 |
補足 |
多くの場合、葉は水平展開する。葉脈に白筋が入るフイリヒナスミレも個体数は多い。 |
種の特徴 |
形状 |
小粒から中粒。涙滴形(膨らんだ楕円形)。 |
色 |
茶褐色。 |
補足 |
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根の特徴 |
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絶滅危惧情報 |
秋田県:準絶滅危惧種、千葉県:絶滅危惧Ⅰ類、福井県:絶滅危惧Ⅱ類、滋賀県:準絶滅危惧種、京都府:絶滅危惧Ⅱ類 、大阪府:準絶滅危惧種 、山口県:絶滅危惧Ⅰ類、高知県:絶滅危惧Ⅰ類、熊本県:絶滅危惧Ⅱ類
京都府(注:報告数は多いが、シハイスミレ小型品の誤認であったと見られる)。
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基準標本 |
日本北部および中部 |
染色体数 |
2n=24 (Yoshioka, H., TANAKA., R., 1981, Chromosomes of Viola. Shin Kaki) |
参考情報 |
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その他 |
フジスミレは栃木県から群馬県に分布する(事実上)地方変種で、一見で見分けることは難しいことがある。
ただし、命名規則により、学名上はフジスミレが母種で、ヒナスミレが変種として扱われる。フジスミレの場合、葉の表面に白斑が入るタイプが命名上の基本種で、斑のないタイプを特にミドリフジスミレ(f. concolor)と呼ぶ。ミドリフジスミレは個体数も少ない。
シコクミヤマスミレと俗称で呼ばれるスミレと良く似るが、関連については不明。
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このサイトではイヌガタケスミレをヒナスミレの別名として扱っていますが、Viola Tokubuchiana f. yoshiokai という学名を持ち、地下に匍匐枝(茎)から芽を出す性質があるとされます。インターネット上に公開されている写真と説明を拝見する限り、花の様子も独特であるため、近縁のミヤマスミレに近い一型と表現する方が妥当かも知れません。
2009/04/21
高尾山で初めて出逢った時は、残念ながら葉だけでした。でも、葉に特徴がありますので、すぐ分かりましたよ。2年目、ようやく花に出逢ったのですが、写真で見ていた印象より、もっともっとかわいらしいフイリヒナスミレで、思わず「やぁ、こんなところに」と声を掛けたくなったものです。
フジスミレは日光近辺でも見られます。初めて参加した観察会で出逢ったのですが、観察会の集合場所を間違えて、断片定な情報を頼りに日光まで電車で追いかけたので、参加者の皆さんには、たいそう驚かれてしまいました。「フジスミレがあったよ!」と聞かされたのはホテルに到着した夕方。またまた断片情報だけで探し出すことになりました。雨が降り続ける中で、ようやく辿り着いた時は写真撮影には限界。
かなり無理をしてしまいましたが、訪ねた先で親切な宿のご主人から、牧野富太郎博士のことや、豊橋から訪ねて来た熱心な植物写真家(Asterさんでしょうね)の話を聞くことができました。夕食後、バスの運転手さんから「夕方、出かけるのを見たよ。あなたは本当にすみれが好きなんだね!」と声を掛けられました。う~ん、少し違うんじゃないかな。私のようなタイプは『おバカさん』と言うんです。
1999/06/20
2年前の記憶をたどって、すみれ仲間と再び日光を訪ねました。今回は昼から晴天となり、いわゆるピーカンで逆に写真が撮りにくい状況でしたが、かわいらしいすみれたちと出会うことができました。写真が増えたため、フジスミレのページを分離しました。
2000/04/24
分布地図に千葉県を「書籍情報」として書き込みました。千葉県生物学会の会員で、千葉市の自然公園に勤務されている(現在は退任された)福田洋氏の「守ろう千葉の自然」の記載によるものです。カラー写真を拝見しましたが、ヒナスミレの典型品でした。氏が「自生」と判断されたのであれば信用しようと思います。
2008/01/17
分布地図に北海道を「一般情報」として書き込思います。北海道南部を中心に、函館、室蘭、千歳などで自生が確認されているようです。
2009/04/23
本当に、とてもカワイイすみれなのです。 東京都八王子市 2004年3月13日 高尾山
鳥取県日野郡 2007年4月29日 alt.=580m
鳥取県で撮影した果実期の写真を追加しました。地元の方からメールをいただき、県内の資料などを教えていただいたのですが、ヒナスミレについて当該資料には記載がなく、地元の方の印象も薄いらしいことが分かりました。たまたま出逢ってしまいましたが、個体数は少ないのかも知れません。こうした情報が大事だと思っています。
2011/12/14
神奈川県相模原市 2019年4月1日
山梨県北杜市 2023年5月3日 alt.=1,500m