シマジリスミレ (島尻菫)
【注】近年の研究成果により、オキナワスミレと同一分類群である可能性が高いとされている。
シマジリスミレ
シマジリスミレ シマジリスミレ
沖縄県(本島南部) 2025年2月26日
シマジリスミレ
足元から4m位の位置まで顔を出している
シマジリスミレ
更に高く、明るい位置で花を咲かせている
シマジリスミレ
新株には全縁の葉(鋸歯がない)がある

シマジリスミレ シマジリスミレ
沖縄県(本島南部) 2007年2月24日
シマジリスミレ シマジリスミレ
シマジリスミレ
石灰岩質の岩場から新芽が出ています
珊瑚から生じた石灰岩はザラザラで穴だらけ!その穴から新しい世代が育っている訳です
ボールペンの先と比べると、その芽のサイズがよく分かりますね

シマジリスミレ シマジリスミレ
沖縄県(本島南部) 2007年2月24日
シマジリスミレ シマジリスミレ
シマジリスミレ シマジリスミレ
沖縄県(本島南部) 2005年12月6日 alt.=135m
分類 タチツボスミレ類 → ウラジロスミレ類 → (エゾノタチツボスミレ類)
学名 基本種 シマジリスミレ Viola okinawensis K.Nakaj., nom. nud. Published in: J. Geobot. 18: 13 (1970)
変種
品種
異名
Viola utchinensis Koidz. var. okinawensis (K. Nakajima) Hatushima, nom. nud. Published in:Hatus. & Amano, Fl. Ryukyus: 93 (1977)
由来 okinawensis : 沖縄の、沖縄に産する
外語一般名
茎の形態 有茎種(ただし、実際にはそう見えない)。
生育環境 内陸の半日陰になる湿った隆起珊瑚(石灰岩)の岩場。観察地では切り立つ壁状の岩の隙間などに生育していた。
半日陰とされるが、木陰では見られず、陽光がしっかり差す岩場の高い位置にも多く見られる。
分布 国内 沖縄本島。
海外 日本(沖縄)固有種。
補足 事実上、沖縄本島南部(2ヶ所)のみに自生するとされる(1ヶ所は立ち入りできないため、自生確認できていないとのこと)。
花の特徴 形状 小輪~中輪。側弁の基部に短毛が見られることがある。根生または腋生。
極く淡い紫から白色。花茎、萼は茶褐色を帯びる。
白色。短い(2-3mm)。桃割れ状に中央部が凹む。
花期 花期はとても長い(2~4月)。
花柱 円筒形で先端に毛(突起毛)がある。
芳香 実際に確認してみる限り、無香であった。
補足 萼は櫛状に切り込みが入る。
葉の特徴 形状 小型(2~4cm)の卵形心臓形。多くの葉が束生する。はっきりした鋸歯HELP!が目立つ。托葉は櫛の歯状。
表面は光沢のある濃緑色。葉脈HELP!に沿って更に色が濃くなる。常緑。
補足 両面とも無毛。基部は心脚で側辺部が重なっているものが多い。
種の特徴 形状 小粒。涙滴形。
濃淡茶褐色。
補足 丸くて小さい果実(球形蒴果)。2018年、中西弘樹氏の実験により、種子は飛散することはなく、純粋な蟻散布植物とされた。
根の特徴 根茎が太い。地上茎が倒れて匍匐して伸び、先端に新苗が生じるとのこと。
絶滅危惧情報 環境省【絶滅危惧IA類(CR)】 HELP!、沖縄県:絶滅危惧Ⅰ類
基準標本 沖縄本島。
染色体数 (未確認)
参考情報
琉球列島産のウラジロスミレ節3種の種子散布 中西弘樹氏(亜熱帯植物研究所)
タチツボスミレ類における「種」の存在様式の解析 代表研究者・植田邦彦(金沢大学)
その他 エゾノタチツボスミレ、アイヌタチツボスミレの近縁種とする意見がある。一方、形状が似る「オキナワスミレにまとめられた」とする意見も存在する。
タチツボスミレ類とされていた分類について、2018年現在、ウラジロスミレ類(エゾノタチツボスミレ類)であるとする知見にほぼ統一されたと見て良いと考えている。
正規に記載されておらず、裸銘のままであると説明される一方で、V. okinawensis Nakajima et Hama と表現する公資料がある。

 花の季節には早いことを承知で、下見として訪問してみました。場所に関する情報があって見つけることができたのであって、普通なら、とても見つけられないような場所でした。次の機会には、花を見せて欲しいなぁと思っています。
2005/12/12

 花の時期に訪問してみました。ありがたいことに幾つかの花が咲いていました。ただ、暗い場所で白い花を撮影するのは難しいことです。
2007/02/27

 二度目の訪問の際、目前の壁だけでなく周辺も観察してみようと考えました。しかしながら、事実上、観察できそうな場所は壁の上しかありません。岩を這う蔦(つた)を頼りに登ってみました。ただ、落下する恐怖より、手を伸ばした場所に危険生物が現れないかが気になってビクビクだったことを覚えています。登り切った壁の上には狭いけれど平坦な場所があり、そこにもシマジリスミレが生えていたのです。
 少し不思議なのですが、その生育環境は、当然ながら『半日陰になる湿った隆起珊瑚(石灰岩)の岩場』ではありません。岩場の上は陽光が十分に当たり、薄く土壌もある環境で、個体数は少なくなかったと記憶しています。ただし、決して大株が見られた訳ではありませんでした。
2014/12/12

 シーケンサーを利用したというか、近年の分子系統学的な解析によって、やっと、オキナワスミレとシマジリスミレのゴチャゴチャ状態に一石が投じられようとしています。
 従来の「目で見た違い」による分類では「柱頭の形状の違い」に力点が強く入ってしまって、このよく似た両種が別のグループとされていました。しかしながら、結果は「両者は同一分類群と言ってよいと結論され、~中略~、また、系統的位置は明らかにエゾノタチツボスミレ類に入った」と発表されました。
 このサイトでは「エゾノタチツボスミレ類」という分類名を使用していません(検討が必要かも)。それは今回横に置いておいて、オリヅルスミレの倍数体起源説は否定されたことになりましょう。ただ、同一種(その種内変異)と発表された訳ではありませんので、現状、未記載種であるシマジリスミレの正式学名に言及される状況ではありません。
2017/11/18

 沖縄県のある町議会の一般質問に関する記事が記載されていました。真面目に「シマジリスミレがどこに生えているか?」との質問が議会で行われた記録でした。
2022/01/26


シマジリスミレ シマジリスミレ
シマジリスミレ シマジリスミレ
千葉県 2011年6月21日 植栽
 勧められてオリヅルスミレとともに栽培にチャレンジしてみました。シマジリスミレはオリヅルスミレに比べれば、育てやすい方だと思いますが、勝手がわからないまま、夏に突入していますが、オリヅルスミレは既に諦めています。
 ご覧の通り、初夏までには果実もできて順調に見えますが、問題は夏だったのです。沖縄を訪ねて分かることですが、確かに冬も温かい南国ですが、夏だからといってめちゃめちゃ暑い訳でもなく、むしろ、寒暖の差が少なくて過ごしやすいと言えます。植物にとっても、本州の異常な暑さと湿気、更に風の通らない市街地は厳しい環境のようです。あらゆる方法を尽くしたつもりですが、オリヅルスミレは復活しそうにありません。さて、シマジリスミレは耐えてくれるでしょうか。
2011/9/18


シマジリスミレ
沖縄県(本島南部) 2007年2月24日
 沖縄在住で、いつもお世話になっている方が、シマジリスミレの距にある突起に注目しました。距の先端の上部に小さな突起があるというので、自分が過去の撮影した写真をいっぱいに拡大してみましたところ、確かに、みごとな突起があります。これは気が付きませんでした。
 それで、手当たり次第に画像を探して、距の様子が分かるものを見てみたのですが、それらしき陰があるもの、そうでないもの、半々より突起がある方が少し多いという感じです。実は、そこまで距をアップで映し込んでいる画像が余り見当たりませんので、わからないものも相当数あります。でも、突起があるものが多数派ということは特徴の一つと考えて良いかも知れませんね。元々、自生数が多くなくて、自生地も限られています。それほど多くの型があるとは思えません。
2011/9/18


(つぶやきの棚)徒然草

 (2005/12/12) Latest Update 2025/03/02 [1.40GB]

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