リュウキュウタチツボスミレ [俗] [タチツボスミレの海岸性変種と想定] (琉球立壺菫)
沖縄県(本島北部) 2025年2月26日
沖縄県(本島北部) 2025年2月26日
分類 |
タチツボスミレ類 タチツボスミレの海岸性変種 (参考:コタチツボスミレの海岸性変異、標準名または別名をツヤスミレとする説あり) |
学名 |
基本種 |
タチツボスミレ Viola grypoceras A. Gray Published in: M. C. Perry, Narr. exped. China Seas Japan 2:308. (1857) |
変種 |
コタチツボスミレ : Viola grypoceras var. exilis (Miq.) Nakai
シチトウスミレ : Viola grypoceras var. hichitoana (Nakai) F.Maek.
ヤクシマタチツボスミレ : Viola grypoceras var. yakushimensis Masam.
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品種 |
ツヤスミレ : Viola grypoceras f. lucida (Nakai) F.Maek.
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異名 |
― 省略 ― |
由来 |
grypoceras : 湾曲した角 |
外語一般名 |
【中】紫花堇菜 (zi hua jin cai)、【韓】낚시제비꽃 |
茎の形態 |
有茎種 |
生育環境 |
海岸付近の林縁、路傍。 |
分布 |
国内 |
沖縄本島北部。 |
海外 |
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補足 |
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花の特徴 |
形状 |
中輪。花弁は細め。 |
色 |
全体に淡い紫色で、花弁の先はかなり白く、中央部が濃いめ。 |
距 |
白色。 |
花期 |
遅め。沖縄の一般的な平地に咲く種に比べて、開花がやや遅いとされる(12月後半~4月)。 |
花柱 |
円筒形。 |
芳香 |
無香。 |
補足 |
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葉の特徴 |
形状 |
小さい三角状心形。基部は心形。先端は緩めに尖る。(観察した範囲で、平均的な大きさは、縦20~35mm、横15~25mm) |
色 |
表面は光沢のある緑色。 |
補足 |
茎も含めて無毛。托葉は切れ込みが深い櫛の歯状。 |
種の特徴 |
形状 |
*基本種に準ずる |
色 |
補足 |
根の特徴 |
絶滅危惧情報 |
基準標本 |
染色体数 |
参考情報 |
その他 |
海岸性変種される。 |
別名をツヤスミレとする事前情報が多かったのですが、確かに、海岸性の変種と見られ、葉には明確な柔らかい光沢がありました。ただ、葉の特徴に注目する限り、各地で観察できたツヤスミレよりも、コタチツボスミレ(シーボルト型)に極めて近いと感じられます。他にも、海岸性でクチクラ層が発達したものと見られるタチツボスミレを比較してみることにしました。
2025/03/02
節間の長さに特徴は無いようだが、葉の大きさや形状が似ており、葉の枚数が多くて集まっている。
コタチツボスミレ : 長崎県諫早市 2023年4月19日
ツヤスミレとの情報で立ち寄った海岸に極めて近い坂道。葉は大きめで、横に張り出し、先端は尖っている。
ツヤスミレ : 愛知県蒲郡市 2012年4月26日
全体に大柄な個体群が潮風を受けている。葉には柔らかい艶が見られ、茎は臙脂色、先端は丸めの個体が多い。
シチトウスミレ : 神奈川県(三浦半島) 2010年3月20日
ツヤスミレとして良いかも知れない。海岸に近い松林に単独で見られた。「艶」より「テカリ」と説明したい。
葉の艶が強いタチツボスミレ : 福井県坂井市 2008年4月3日
葉の大きさ、節間の長さに明確な特徴があります。12月末から咲き出すとの情報から、当日が開花初期ではないことになり、この様子は注目すべき特徴だと思われました。現地で強く感じた印象が、長崎県北部で観察してきたコタチツボスミレ(シーボルト型)にも似ているなぁというものです。このように表現する例は稀かも知れませんが、現地で見た印象は大事にしたいと思うのです。
その後に集めた情報に依りますと、初夏の様子として、①枝が伸びて節間が少し拡がり、②葉は枝先では幾分大きくなっているとありました。その写真を拝見する限り、「幾分大きい」としても、茎生葉も根生葉もほぼ小さいままで、先端が尖り出す様子も見られず、丸っこいままです。この情報ソースが、たまたま、知り合いのwebサイトでしたので、疑問を感じるようなら、確認できることでしょう。
なお、山と渓谷社が運営する図鑑サイトに依りますと、コタチツボスミレの別名として、ヤクシマタチツボスミレとリュウキュウタチツボスミレが併記で登場しています。あながち、妙な感じ方ではないかも知れません。
2025/03/02