トヨコロスミレ [シロスミレの品種、白花変種 (豊頃菫)]
シロスミレの白花変種という、少し不思議な属性を持っています。河口部に拡がる湖畔野生植物群落(天然記念物)にシロスミレとともに稀産。
北海道中川郡豊頃町 2022年6月7日 alt.=1-3m
北海道中川郡豊頃町 2022年6月6日
同町ですが、ほぼ同じ環境ながら、大きく二つの自生地を確認しています。その間の移動には相応の時間を要しました。
2022/06/10
分類 |
ミヤマスミレ類 |
学名 |
基本種 |
シロスミレ Viola patrinii DC. ex Ging. Published in: Prodr. 1:293 (1824) |
変種 |
(省略) |
品種 |
トヨコロスミレ Viola patrinii DC. ex Ging. f. toyokoroensis Koji Ito Published in: J. Jap. Bot.,71: 301 (1996) |
異名 |
(省略) |
由来 |
patrinii : 人名に由来する E. L. M. Patrin, 1742-1814 フランスの植物採集家、toyokoroensis : 地名に由来する 豊頃の |
外語一般名 |
白花変種。花期は5月から6月。それ以外は基本種に準じる。 |
茎の形態 |
生育環境 |
分布 |
国内 |
海外 |
補足 |
花の特徴 |
形状 |
色 |
距 |
花期 |
花柱 |
芳香 |
補足 |
葉の特徴 |
形状 |
色 |
補足 |
種の特徴 |
形状 |
色 |
補足 |
根の特徴 |
絶滅危惧情報 |
基準標本 |
Hokkaido-Tokachi, Toyokoro, Ohtsu-Genseikaen, Chobushi-Numa, wetland (K.Ito & A.Hinoma, 13 Jun. 1993)
北海道大学総合博物館陸上植物標本庫(SAPS) → 北海道大学植物園植物標本庫(SAPT)
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染色体数 |
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参考情報 |
その他 |
自生環境がなせる技(結果)として、花茎(柄)が極めて長く伸びる。 |
葉の形状は、母種に当たるシロスミレと同様の長楕円形で、薄い翼も見えています。観察地の個体群ではずんぐりとした幅広タイプも多いようでした。
2022/06/10
北海道中川郡豊頃町 2022年6月7日 曇天でしたが、時折、日差しが差してくれました
北海道の湿原で発見されたトヨコロスミレは、まだ新しく認識されたスミレと言って良いでしょう。新種として論文発表されたのは1996年のことだそうです。是非、いつか自生地を訪ねたいところです。やはり、開花時期は6月とのことでした。(注:2022年に訪問)
2016/09/18
自然写真家の佐藤照雄氏によると、近年、トヨコロスミレが既存の自生地から離れた場所でも見出されたそうです。説明を読むと、自生環境は似ているように思われます。これは九州のアソヒカゲスミレ的なうれしい展開ですね。
2020/01/03
地名由来の命名
2020年前後から、SNSも利用しています。トヨコロスミレという地名由来の命名について、幾つかのコメントがありました。少し触れてみましょう。
【シロバナシロスミレですね】
なるほどぉ、そうですよね!
まぁ、言葉は「使われ方」、「広がり方次第」かな!という側面もあります。既に、長年、Ylistにも掲載されていますので、個人的には、なんともならないと判断していますよ(発表は前世紀です)。(笑)
【別種であるかのような名前ですね】
そうですよね!(2回目^^)
コボトケスミレなどのパターンに近いのでしょう。つまり、地名由来ですから、イシガキスミレなど、前例は枚挙にいとまがありません。マキノスミレなどの人名由来については否定的な意見が多いようです。
因みに、アカネスミレ、オカスミレ、コボトケスミレ・・・の例などを見ると、命名は初心者向けになっていないようで困ったものです。(汗)
発表そのものは正規の手順で、植物研究雑誌という権威がある媒体ですが、査読段階で考慮されるべきだったのでしょうかね。
アポイタチツボスミレがOKなら、これはトヨコロシロスミレが良かったかも知れません。情報では、豊頃の教育委員会さんなどは、とても喜んでいらっしゃるようです。(微笑)