ウスバスミレ (薄葉菫)
長野県 (北八ヶ岳) 2010年6月20日 alt.=2,020m
- 花の前に何かの胞子らしき姿が見えます
- 苔に覆われた斜面などに生えている
長野県 (木島平) 2022年6月18日 alt.=1,600m
| 分類 |
ウスバスミレ類 |
| 学名 |
基本種 |
Viola blandaeformis * Nakai Published in: Bull. Soc. Bot. France 72: 192. (1925) |
| 変種 |
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| 品種 |
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| 異名 |
Viola blandiformis Nakai Published in: Bull. Soc. Bot. France 72: 192. (1925)
Viola blanda Willd. var. violascens Nakai Published in: Bot. Mag. Tokyo 36: (58) (1922)
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| 由来 |
blandaeformis : V. blanda と形状が似ている、"blandus(心地よい、穏やかな) + formis(~の形の)" |
| 外語一般名 |
【韓】엷은잎제비꽃、【英】Thin-leaf violet |
| 茎の形態 |
無茎種 |
| 生育環境 |
中部地方では亜高山の針葉樹林下で、コケの生えた湿度の高い場所で見られる。 |
| 分布 |
国内 |
北海道から中部地方まで分布する。 |
| 海外 |
日本固有種。 |
| 補足 |
(注:韓国に分布するとの記録がある) |
| 花の特徴 |
形状 |
小さめの中輪。上弁が反り返っている。側弁は無毛(稀に有毛)。 |
| 色 |
暗い薄紫色がにじみ出る白色の花弁で、唇弁に紫条が入る。 |
| 距 |
白色、丸くて短い。 |
| 花期 |
遅い(6月~7月)。 |
| 花柱 |
細い棒状または極めて小さな虫頭形。 |
| 芳香 |
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| 補足 |
萼片は狭卵形、付属体は全縁。 |
| 葉の特徴 |
形状 |
基部が深い腎円形または心円形。先は円い。低い鋸歯 がフレアスカート的に重なる。 |
| 色 |
両面とも明るい緑色。裏面に光沢が見られる。 |
| 補足 |
両面ともに無毛。和名が示す通り、薄く柔らかい。 |
| 種の特徴 |
形状 |
倒卵形。 |
| 色 |
乳白色から黄白色。 |
| 補足 |
小さめの朔果 にはマルバスミレに似た茶褐色の斑点が見られる。 |
| 根の特徴 |
地下茎は太く短く、やや肥厚する。 |
| 絶滅危惧情報 |
秋田県:絶滅危惧Ⅱ類、福島県:準絶滅危惧種、新潟県:地域個体群、埼玉県:絶滅危惧Ⅱ類、岐阜県:絶滅危惧Ⅰ類 |
| 基準標本 |
八甲田山、岩木山、岩手山、八ヶ岳、女峰山、他 |
| 染色体数 |
2n=24 |
| 参考情報 |
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| その他 |
コケと同居できるような場所を好んで住み着いているようです。 |
長野県 (北八ヶ岳) 2004年5月29日
少し巻いた感じのライトグリーンの葉
一面のコケの丘に咲いていて、差し込む陽光にコケが輝いている
長野県 (北八ヶ岳) 2010年6月20日 alt.=2,020m
思いがけず、ウスバスミレに出逢うことができました。標高2,000mという場所もスゴイのですが、スタジオジブリの「もののけ姫」の舞台になった森(実は屋久島と言われます)のような幻想的な世界に、ひっそりと咲いている姿が印象的でした。
2003/06/11
静岡県自然環境調査委員会植物部会が編纂した静岡県野生生物目録(植物)という資料に自生の記載がありました。ピンときませんが、一応、一般情報として追加しておきます。
2009/01/22
講談社の「日本の野生植物2」では、葉の表現について、とても分かりやすく説明しています。一部を引用してみますと「葉は薄く,腎円形で,幅1.5-3cm,きわめて低い鋸歯があり、先は円く,またはわずかに鈍角をなし,基部は深く湾入し,両耳は互いに相近づく。」だそうです。表現のすばらしさに感心しますね。
2009/03/04
『茨城県植物誌』、『埼玉県植物誌』の記載にしたがって、茨城県、埼玉県に「書籍情報」をマークします。
2010/01/11
雨の夕方に辿り着くケースが続き、少し寒い思いをしながら、ささっと撮影して車に逃げ込むことになります。6月後半に入りましたが、むしろ花の数が増えているように感じました。下界で梅雨の時期が花のピークかも知れません。
2010/06/25
北海道で見つけることができませんでしたので、長野県近辺で別の自生地を探そうと検索をしてみました。白馬周辺の情報が多いのですが、驚いたことにニョイスミレ(または品種)にそっくりなのです。実は半分以上はニョイスミレの写真でしたが、正真正銘のウスバスミレも混じっています。ただ、上弁が後方に反り返って、唇弁が長めで、全体は横に広い花がニョイスミレに似ていることも確かです。一度確認に出掛けたくなりました。
2010/07/01
学名の表記について、"(A)
Viola blandaeformis"と"(B)
Viola blandiformis"とを併記することにしました。
近年、情報交換することが増えた同年代の男性から、「図鑑などで主な表記は前者ですが、後者が正しいようですね」との連絡が入ったのです。ページ編集する際に、複数の情報ソースを調べるので、間違えることは少ないはずですが、稀に複数の表記が見つかることもありました。連絡をキッカケにして再確認をしたところ、改めて、複数の表記が見つかったという経緯です。
日本でよく利用される『植物和名ー学名インデックス YList』は後者でしたが、以前は前者で記載されていたと思われます。信用している海外のDBには両方併記されていたのですが、参考にリンクされていた標本画像を見ると、例外なく、前者が記載されていました。
不思議に思って、ラテン語自体の判断になってしまうことを想定して、AI(Coplot)に解析を求めてみました。案の定、ラテン語で記載される学名としては、"blandus(心地よい、穏やかな) + formis(~の形の)"を、連結母音"-i-"で接続する手順が一般的であるとしつつ、TYPE標本の記載も確認すべきとの見解だった訳です。なんとか、TYPE標本(Syntype)が見つかりましたが、内容を見て驚かされてしまいました。
(下方からリンク可)
①1904年の標本ラベルの記載は(A)と読める、②他の複数標本も全て(A)と記載されていた、③2001年に秋山氏が(B)とする訂正シールを貼ったということが判明しました。これは、後世に行われる「正字化(orthographic correction)」の典型的な例だとAIが補足しました。この見解については、東京大学総合研究博物館の情報も同様の認識に立っているように見えます。
植物命名規約(ICN)によると『語形成的に誤っている綴りは、後世の研究者が正しいラテン語形に訂正してよい』とされているそうです。 (B)はラテン語としてやや不自然であり、原記載が(A)であっても、語形成上の誤りと判断されれば、正字(correct spelling)として(B)が採用されることがあると言及されていました。
因みに、秋山氏はとは、国立科学博物館植物研究部の名誉研究員(2026年現在)である
秋山忍氏だと認識しています。
以下は、GBIF (Global Biodiversity Information Facility) からお借りしました。"Free and open access to biodiversity data"と記載されていますので、原則として、GBIFが直接作成した部分の利用について、一定の範囲で許されるものと思います。
こちらの表現によりますと、"(A)
Viola blandaeformis"が"accepted"で、"(B)
Viola blandiformis"は"synonym"とされています。ラテン語における -ae と -i は、主に名詞や形容詞の格変化(性・数・格)の違いを表す語尾であり、名詞の第1変化(女性)か第2変化(男性/中性)かによって使い分けられるものとされます。現在は使われていないラテン語を、正規に勉強したことがない一般人には、どちらが正しいか理解できません。
学名に関する状況としては、標本の原記載に従うのが基本であって、現状は混沌としているものと理解しました。

<補足説明>
東京大学総合研究博物館所蔵標本 [Type ID - 02161](UMUT:The University Museum, The University of Tokyo)
※詳細は
UMUT 標本データベース参照
UMUT の標本データベースは、一般公開されており、アクセス制限はないとの認識に沿って利用しています。
URLが変更される可能性があります(実施日:2026/02/08)。