ツクシスミレ (筑紫菫) [別名:ハイスミレ]
ツクシスミレ
鹿児島県 2008年3月21日 alt.=22m
ツクシスミレ ツクシスミレ
ツクシスミレ ツクシスミレ
ツクシスミレ ツクシスミレ
鹿児島県 2008年3月21日 alt.=82m

ツクシスミレ
東京都 2004年4月3日 植栽
ツクシスミレ ツクシスミレ
神奈川県 2006年3月24日 植栽
分類 ツクシスミレ類
学名 基本種 ツクシスミレ Viola diffusa Gingius ex de Candolle Published in: A. P. de Candolle 1: 298 (1824)
亜種 ヤマツクシスミレ Viola diffusa ssp. tenuis (Benth.) W. Becker Published in: Philipp. J. Sci. 19(6): 714-715. (1921)
変種 ツクシスミレ(狭義)Viola diffusa var. glabella H. Boissier Bull. Herb. Boiss., ser. 2, 1(11): 1077. (1901)
異名
Viola diffusa var. brevibarbata Ching J. Wang
Viola diffusa var. brevisepala W. Becker
Viola diffusa var. glaberrima W. Becker
Viola diffusoides C. J. Wang 他多数
由来 diffusa : 拡がった、拡散した、tenuis : 細い、薄い。
外語一般名 【中】七星莲、茶匙黃、光匍伏菫
茎の形態 有茎。匍匐枝(茎)HELP!を四方に伸ばす。
生育環境 低地、石垣、道端等で見られる。乾燥地には見られず、苔生す木陰に多い。
分布 国内 九州南部、沖縄本島の限定地域に分布する。
(補足:沖縄の自生地は法面工事などで消滅したものと思われていたが、2010年代に再確認された)
海外 ヒマラヤ(ネパールからブータン)、台湾、中国、マレーシア、フィリピンまで分布する。
補足 各地で栽培品の逸出株が見られ、公園などに定着していることもある。
花の特徴 形状 小輪。側弁は無毛(長崎産に有毛の個体変異情報がある)。唇弁は短い。
中央部が白く抜けて核が淡黄、周囲がピンクに近い淡紫色。
白色で丸くて短い。中央に貼り合わせたような筋が見られる。
花期 早咲き。花期は長く、結果として花数が非常に多い。
花柱 カマキリの頭形。
芳香 (未確認)
補足 最も小さい花の一つ。花(萼)、葉、茎に白くて長い毛が見られる。
葉の特徴 形状 根生葉、茎生葉HELP!ともに、さじ形の特徴的な形態(基部が湾入しない)。
両面とも緑色。
補足 表面には白い毛が目立つ。四方に向かってロゼットHELP!状に拡がる。
種の特徴 形状 極く小粒。涙滴形(膨らんだ楕円形)。
茶色から黒褐色。
補足 小さいニョイスミレの種よりも小さく、マツバボタンの種子を連想する。
根の特徴
絶滅危惧情報 長崎県:絶滅危惧Ⅰ類、熊本県:絶滅危惧Ⅰ類
基準標本
染色体数 2n=26
参考情報
その他 ランナー状の茎を出して新しい株を作る性質があり、ハイスミレという別名がある。環境が整えば強い増殖力を示す。
1902年に新種("Viola kiusiana Makino")として発表されたことがある。
日本では本種のみ分布。和名の命名は「筑紫(九州の地域名)」に由来する。
生薬の地白草(ジハクソウ)として、火傷などの患部に貼る、眼瞼炎には煎じて服用するなどの用途に供される。

ツクシスミレ
神奈川県 2009年3月20日 植栽
ツクシスミレ ツクシスミレ
ツクシスミレ
神奈川県 2010年3月19日 植栽

ツクシスミレ
千葉県 2012年3月23日 植栽

ツクシスミレ ツクシスミレ
愛知県 2008年4月5日 植栽 中国産(紅色の花)

 沖縄には是非訪問してみたいと思っていますが、今のところ、展示会で見ることができるすみれという位置づけです。栽培は(比較的)容易とのことですから、タネから育ててみたい種です。
2004/04/06

 古い書籍には沖縄に自生すると記載されていますが、最近は確認できない状態とのこと。ただ、分布図には残して新情報を待ちたいと思います。
2007/02/27

 帰化植物であると記述されることがあります。問題は「いつ日本に到達したのか」ということかも知れませんね。例えば、明治期以降に到達していれば「帰化植物」で、それ以前であれば「在来種」とみなすというような論理なら妙な話です。分布の核が日本でないことは事実ですので、拡散の一端が沖縄や南九州であると考えた方が妥当なのではないでしょうか。
2008/01/24

 鹿児島に出掛けて、なんとかツクシスミレの花を観察することができました。鉢では見ていたのですが、自生地で、改めて「小さいなぁ」と感じました。町中や山道の路傍で見られますが、木陰で苔が生えているような湿気のある場所に自生しています。早咲きなのですが、今年は春が遅くて、出掛ける直前で急に気温が上がり始め、それに合わせるように開花したようです。初日には花は一輪だけでしたが、5日目に再訪した時にはそれなりの数になっていました。色合いも、形状もかわいらしいすみれです。
2008/03/22


ツクシスミレ ツクシスミレ
ツクシスミレ
東京都 2008年4月23日 小石川植物園

 咲き始めたばかりだった鹿児島のツクシスミレを観察した時に、もう少し繁茂するのだろうというイメージがありました。旅行先でしか観察できないようなすみれの場合、最も残念に思うのは、時の流れのワンポイントしか観察できないことです。でも、ツクシスミレについては問題ないと思っていました。なぜなら、しっかり咲いている様子であれば、いつでも観察できると思っていたからです(笑)。
 ここは東京大学大学院の付属施設である「小石川植物園」です。すみれの観察ポイントを具体的に記載しないのが、このサイトでは一般ルールですが、ここは有料の管理された植物園ですから許容している次第。大きめの写真全体に白い小さな点々がありますが、これがツクシスミレの花です。こんな風に一面に拡がるのですね。
2008/04/24

 「スミレの観察と栽培(井波一雄氏WHO!)」に、「常緑性であるから冬でもロゼットを作る」と記載されています。他の書籍では見られない特徴です。現物確認をする機会があったら良いですね。
2015/12/17


ツクシスミレ ツクシスミレ
神奈川県 2008年3月23日 植栽

 中国や台湾のwebサイトを眺めていますと、ツクシスミレにそっくりなすみれたちが見られます。「台北すみれ("Viola nagasawai Makino & Hayata")および("V. nagasawai var pricei (W. Becker) Wang & Huang")」もその仲間です。あれ、牧野富太郎博士WHO!の名前も出てくるんですね。
2008/07/20

 中国では熱冷ましや咳止め等に有効な漢方薬として利用されています。この場合には「九州菫菜」と呼ばれるようですが、日本の九州のことかどうかまでは分かりません(おそらく違いますね)。
2008/09/02


ツクシスミレ ツクシスミレ
ツクシスミレ
<ツクシスミレの葉> 翼HELP! に近いものが見える(黒っぽいのはゴミ)

(つぶやきの棚)徒然草

 (2004/04/06) Latest Update 2024/12/26 [1,030KB]

ページのトップへ戻る