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ベニバナナンザンスミレ [流通名]
エイザンスミレ x ベニバナナンザンスミレ・紅鶴  [人工交配種]

 基本種ナンザンスミレのページに仮住まいをさせていましたが、2007年、改めて園芸種として独立させました。
 誤解が多いすみれですが、基本的にナンザンスミレの紅花品種ではなく、近縁ながら別種(園芸種)と認識されています。ですから、ナンザンスミレ(紅花)などと表現するのは明らかな勘違いに当たります。実際、ナンザンスミレには赤い系統がありますので、意識して区別しましょう。敢えて言えば、命名自体が混乱を生み出す根源ですので、別の名前を与えて欲しかったところですね。
 とても綺麗な、ナンザンスミレに似た、稔性のある園芸種と認識するのが妥当ではないでしょうか。現在はベニバナナンザンスミレを交配親とする人工交配種群、良く似た花を咲かせる近縁種の人工交配種系統が多く流通しています。ナンザンスミレとベニバナナンザンスミレの区別は容易でしたが、これらの似た系統については区別が難しいようです。

ベニバナナンザンスミレ
神奈川県 2012年3月21日 植栽
ベニバナナンザンスミレ
千葉県 2003年4月12日 植栽
ベニバナナンザンスミレ ベニバナナンザンスミレ
千葉県 2002年3月23日 植栽
ベニバナナンザンスミレ ← 「ベニバナナンザンスミレ(俗)」

ナンザンスミレに形状が似ているが、

園芸品種と理解すべきもの
千葉県 1999年5月15日 植栽
ベニバナナンザンスミレ ベニバナナンザンスミレ
千葉県 2003年4月12日 植栽
ベニバナナンザンスミレ ベニバナナンザンスミレ
神奈川県 2010年3月19日 植栽

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学名 Viola sp.
花の特徴 形状 中輪~大輪。
淡い紅紫から濃い紅色。唇弁が白っぽい株が多い。
丸い。
花期 早め。
エイザンスミレのように花弁が波打つことはない。
葉の特徴 形状 ヒゴスミレのように見かけ上は五裂する。各々の裂片が広い。
明るい緑色。表裏で差が少ない。
夏葉については、エイザンスミレのように特別に大きくなることはない。
種の特徴 形状 中粒~大粒。涙滴形(膨らんだ楕円形)。
茶褐色。
補足 発芽率は良好。
その他 正体が定まらないと説明されることが多い。
以下の経緯より、エイザンスミレの倍数体とされる意見が有力である。
ベニバナナンザンスミレを交配親とする系統、その他、良く似たすみれが多くなった。
園芸品種(栽培品種)名の表現
園芸品種とは園芸的に優れた形質を持つ系統の保護を目的に作られ、種の分類項目の一つとみなされますが、独立した概念です。
表記としては"cultivar(cultivated variety)"を付す方法が用いられていました(一般に"cv."と略す)。
尚、複数形である"cvs."が使用される例は稀有であり、一語で複数の園芸品種を指し示す必要がある場合に限られます。
従前は右のように表記されていました。 Viola odorata cv. 'Sulphurea'
1995年の国際栽培植物命名規約(ICNCP)では、学名欄の通り"cv."を記載しないことになり、旧表記法は廃止されました。
(国際栽培植物命名規約の最新版は2004年版です)
園芸品種(栽培品種)を単に「品種」と呼ぶ例が散見されますが、分類項目の品種("f.")とは異質な概念なので区別すべきでしょう。
以下、ベニバナナンザンスミレに関わる情報(説)について、情報を得た時系列で列記したものです。
 特に写真の紅花の個体は非常に美しいが、スミレの集いの方に教えていただいたところによると、九州でサギリスミレと呼ばれていたものを、故鈴木進氏が『紅花ナンザンスミレ』と名づけ、その後、園芸種として増えていったとのことでした。
 鈴木氏の『原色すみれ*(出典) 』には「~形態的にナンザンスミレに近いものと思われるので、仮称ベニバナナンザンスミレとして掲載することにした」と記載されています。更に「このすみれに関しては種々の説がある」として、エイザンスミレの倍数体(説)、阿蘇山麓で見いだされたエイザンスミレとヒゴスミレの交雑種(説)等があるとしています。倍数体であるかどうかは、顕微鏡レベルで比較的容易に判明するのではないかと思われますが、まだ情報はありません。この書籍は昭和55年に第1版が発行されたもので、その後に情報があるのかも知れないと思っています。「芳香を持つ」と記載されているので確認してみたいですね。
2006/01/11
 その後、多少の情報がありましたので、追加記載します。「サギリスミレ」と記載しましたが、実際にはエゾスミレ「さぎり」という名称が正しかったようです。アカバナスミレ説も登場していたようですが、結論は想像に反して「倍数体説」らしいですよ。30年程度前の書簡から「コルヒチン処理を施した」という記載が確認されましたので「確認」として良いと思われます。園芸種として記載していたのは正しかったことになりますね。
2006/03/16
 最近になって、改めて「スミレ事典(出典) (三木順一氏WHO!)」を読み直して、あれっと驚きました。この書籍には、ベニバナナンザンスミレが「元来、朝鮮半島、中国東部、シベリアに分布し、~日本では浜栄助氏WHO!が対馬で自生を発見した」と記載されています。これは疑念なく、ナンザンスミレのことですね。誤植というか、校正漏れだろうと思います。つまり、ナンザンスミレとすべきページ見出しを、誤ってベニバナナンザンスミレとしてしまったのではないでしょうか。その根拠になるか分かりませんが、「特に色の濃いものをベニバナナンザンスミレと称して、市販されている」と補足があります。
 現状、「スミレ事典(出典) 」に正誤表があったか否かは不明です。でも、影響力がある書籍ですから、若干失礼な印象は否めませんが、ここで解説させていただきました。有名税のようなものだと考えていただければありがたいと存じます。
2010/03/01
 最近のことですが、ベニバナナンザンスミレをベニバナヒラツカスミレと総称する表現を見かけました。ヒラツカスミレは、当然ですが、ヒゴスミレとエイザンスミレの交雑種ですから、組み合わせに係わらず、総称する呼び方は誤解を招きかねないところでしょう。
 すみれの場合、片親がマキノスミレかシハイスミレかによって交雑種の名前が変わってしまいます。その良し悪しを、ここで語ろうとは思いませんが、こうした和名は、誰かが声高に語れば勝ちというものでないことは明らかではないでしょうか。
2015/01/25

徒然草 2002/03/30 2003/04/18 2007/02/05 2011/04/02 2012/03/16
2002/03/30 2003/04/18 2007/02/05 2011/04/02 2012/03/16

[ お知らせ ]
 インターネットは便利なインフラですが、誤った情報も簡単に発信できるという側面があることを十分に認識して利用しなければなりません。勿論、本サイトも例外ではなく、注意深く検討して記載しているつもりですが間違いを含むことがあり、また、時間とともに別の知見が正しいと評価されることによって、結果的に間違いになることもあるでしょう。
 前述の内容を踏まえた上でお読みいただきたいのですが、あるポータルサイトが運営するコーナーで、本ページが引用されていることが分かりました。そのコーナーは、ある登録者の設問に不特定の方が回答を投稿するというQ&Aコーナーですが、質問者が納得すると「解決」として、その設問項目は閉じられてしまうことによってコメントの修正も追加もできなくなります。項目が集まれば百科事典的な存在となるのでしょうが、登録者が不特定の一般個人であり、情報の信憑性、妥当性は誰からも何ら保証されていないという点には注意を要するでしょう。
 その引用を知ったのは、その項目が閉じられた後のことでした。内容のほとんどは妥当と思われましたが、多少の誤解が含まれているとも感じており、更に、その誤解を解く術は既にないということも判明しました。現状、そのコーナーを経由して本ページに辿り着いた方にだけ、誤解の存在をお知らせすることにしようと思います。決して批判をする意思ではないということをご理解下さい。
[ 注意が必要な事項の説明 ]
 回答後半の一部を要約して引用します。

 【対馬列島産のナンザンスミレ・ベニバナ(Viola chaerophylloides)が~紅花ナンザンスミレと書かれると、本来のベニバナナンザンスミレと勘違いしてしまう】

 間違いの指摘ではなく、混同しやすいという趣旨の意見でしたが、理解する上では以下の点についても注意が必要だと考えます。

1) 「ナンザンスミレ・ベニバナ」という表記(表現)は文献などではほとんど見掛けず、過去にも現在でも一般的とは言えない。
2) 学名であることを全カナ表記で表現しようとする行為は推奨できるが、一方、他の表現も決して間違いではない。
3) 学名はラテン語で表記することになっていて、それ以外は各国語と理解される。「サクラスミレ」も「桜菫」も日本語としては正しい。
4) 園芸品種については、育種者が命名していれば、なんであれ、それが正しい表現である(例:サントリーフラワーズ「春待草」)。
5) 表現としての分かりやすさ、学名、園芸品種の呼称を区別なく語ろうとするのは困難であり、逆に混乱を招きかねない。

 XXスミレ(XX型、青紫色)というような表現が推奨されるケースがありますが、園芸目的としては分かりやすくて妥当かと思います。ただ、これは意見の一つに過ぎません。園芸店の店頭では、驚くほどにいい加減な名前を見掛けますので、普及したら良いなと思いますが、あくまで園芸の世界の話であり、学名と関連付ける性質のものではありません。
 さて、ここで、もう一つの引用があることを付け加えておきましょう。妥当な表現例として引用したものと考えられる「ナンザンスミレ・ベニバナ(南山菫'紅花')」に登場する綺麗なすみれですが、写真を見る限り、園芸種のベニバナナンザンスミレだと思います。現在は、もう少し濃い紅色のグループが人気ですが、かなり以前から流通しているもので、対馬南側に自生する赤系のナンザンスミレではありません。
2009/03/08
(2007/07/08) Latest Update 2017/07/24 [600KB]
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