イチキスミレ (市来菫)
アツバイチキスミレ
東京都 2006年4月4日 植栽 (俗称「アツバイチキスミレ」)
交雑親
リュウキュウシロスミレ
リュウキュウシロスミレ ( 2n=72 )
Viola betonicifolia Sm. var. oblongosagittata
(Nakai) F.Maek. et T.Hashim.
スミレ
スミレ ( 2n=48 )
Viola mandshurica W. Becker
学名
Viola x sp.
Viola betonicifolia var. oblongosagittata x V. mandshurica
茎の形態 無茎種間の交雑種
生育環境 平地の明るい畑、田の畔など。両親が似た環境に自生することから、観察機会が比較的多いとされる。
分布 国内
海外
補足
花の特徴 形状 中輪から大輪。
リュウキュウシロスミレに似た乳白色に紅色が染み出ている色合いのものが多く知られているようだ。ただし、「写真集 日本のすみれ(出典:S002) 」に掲載されているものは濃紫色で、白い部分がない。
花期
花柱
芳香
補足
葉の特徴 形状 葉先が尖る長三角状披針形HELP!。基部は浅い心臓形。
両面とも濃緑色。
補足
根の特徴
絶滅危惧情報
基準標本
参考情報
その他 不完全稔性があると報告がある。
漢字「市来」は未確認。市来町(現「鹿児島県いちき串木野市」)由来と想定。「改訂鹿児島県植物目録(1986)」にも記載がある。
鹿児島大学総合研究博物館研究報告『鹿児島県の維管束植物分布図集』の分布図プロットは「市来」付近を指している。
 アツバイチキスミレは、名称から、リュウキュウシロスミレとスミレの変種であるアツバスミレの組み合わせということでしょう。展示会で撮影させていただいた写真の個体は人工交配である可能性もありますが、イチキスミレはアツバスミレも自生する鹿児島や熊本で見られる自然交雑種ですから、変種が片親となる組み合わせが野山でも見られる可能性があります。因みに、鹿児島でアツバスミレを観察したのは、合併して間もない「いちき串木野市」でした。近隣でリュウキュウシロスミレの自生も知られています。
2010/09/01

 浜栄助氏の「写真集 日本のすみれ(出典:S002) 」によりますと、鹿児島で駒田暢男氏が見出したものは、現地のリュウキュウシロスミレが淡い紅紫色をしており、紫色のスミレとの組み合わせによって「きれいな紫色をしている」と記載されています。その写真を拝見しますと、確かにきりっとした濃い紫色でした。2006年に展示会で撮影させていただいたものとは印象が違うものです。花弁が細くて、しっかり開かない旨が記載されていますが、個体差ではないかと思います。興味深い情報として、「ある程度、結実性がある」とされています。不完全稔性を示すということでしょう。同じページの熊本県で撮影された写真にはたくさんの株が花を咲かせている様子が写っています。
2010/12/18

 リュウキュウシロスミレが兄弟分のアリアケスミレに置き換わるとハリマスミレと呼ばれることになります。こうした雑種の名前というものは組み合わせ名ということになるのでしょう。
2010/12/21

 因みに『すみれを楽しむ(田淵誠也)』によると、「1975年に鈴木進氏WHO!が交配して育成した当初はアツバハリマスミレと呼ばれた」とあります。こういうこともあるのでしょうね。
 当該書籍は二次資料に類する性質ですが、「その後鹿児島県市来町で見いだされこの名になった」とする記述があるので補足します。
2017/02/17

アツバイチキスミレ
東京都 2016年3月31日 植栽 (俗称「アツバイチキスミレ」)

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 (2010/09/01) Latest Update 2023/08/06 [425KB]

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