エゾノタチツボスミレ (蝦夷立坪菫) [別名:イヌスミレ、モリタチツボスミレ]
エゾノタチツボスミレ
エゾノタチツボスミレ エゾノタチツボスミレ
エゾノタチツボスミレ エゾノタチツボスミレ
長野県松本市 2007年6月2日 alt.=1,350m
エゾノタチツボスミレ
山梨県南都留郡 2008年4月30日 alt.=1,000m

エゾノタチツボスミレ エゾノタチツボスミレ
北海道斜里郡 2010年6月1日 alt.=5m
エゾノタチツボスミレ
北海道十勝郡 2022年6月7日 alt.=25m 柱頭は少し膨らんで、白くて短い突起毛が見られる 
分類 タチツボスミレ類
学名 基本種 エゾノタチツボスミレ Viola acuminata Ledebour Published in: Fl. Ross. 1: 252. (1842)
変種 Viola acuminata var. pilifera C. J. Wang
品種
シロバナエゾノタチツボスミレ Viola acuminata f. alba Moriya
ケナシエゾノタチツボスミレ Viola acuminata f. glaberrima (H.Hara) Kitam. Published in: Acta Phytotax. Geobot. 20: 196. (1962)
異名
Viola micrantha Turcz.
Viola laciniosa A. Gray
Viola acuminata var. glaberrima H.Hara Published in: J. Jap. Bot.,12: 220. (1936)

その他多数の記録がある
由来 acuminata : 先細りの、鋭尖の
外語一般名 【中】鸡腿堇菜
茎の形態 有茎、草丈が高い(20~40cm)←書籍『岩手のスミレ』には60cmに達すると記載。
生育環境 寒冷な地方に多い。明るい高原の林、草原などに叢生する。
分布 国内 北海道はほぼ全域、本州内陸では高地。伊豆半島、伊吹山に隔離的に分布する。
海外 シベリア、中国、朝鮮半島、樺太、千島。
補足 岡山県に自生記録がある。
花の特徴 形状 中輪。側弁の基部に白い剛毛が見られる。
白から淡紫色。側弁と唇弁は細長く、紫条が入る。
白いことが多く、丸くて短い。中央に桃割れ風な筋が入っている。
花期 遅め(自生地では5~6月)。
花柱 棒状で先が少し膨らんでいる。
一般に肉質の突起毛が見られる。アイヌタチツボスミレなどと共通した特徴とのこと。
芳香
補足 全体の大きさに比較して花は小さいイメージ。萼片は細長い。
葉の特徴 形状 ハート形。茎葉は2~5cmで基部は浅い心形。
両面とも柔らかい緑色。表裏で差が少ない。
補足 根生葉は丸く、茎生葉上方の葉は大きくて先が尖っている。托葉は長楕円形で大きく、櫛の歯状に裂けていて目立つ。
種の特徴 形状 小粒、卵形。果実は長楕円形。
補足
根の特徴 淡い褐色で密生する。
絶滅危惧情報 秋田県:絶滅危惧Ⅰ類、山形県:絶滅危惧Ⅰ類、宮城県:準絶滅危惧種、新潟県:地域個体群、岡山県:準絶滅危惧種
基準標本 アルタイ、バイカル、ダウリア
染色体数 2n=20
(Probatova, N. S. & A. P. Sokolovskaya. 1983. Chromosome Numbers in Adoxaceae, Chloranthaceae, Cupressaceae, Juncaceae, Poaceae.)
参考情報
その他 花茎、葉茎、葉、萼片に至るまで、比較的長い毛が見られる。別名:イヌスミレ。
花後に草丈がすっと伸びるとのこと。草丈は高低バラツキが大きい。
シロバナエゾノタチツボスミレは普通に見られるとのこと。
(前述の『岩手のスミレ』には「岩手県内では白花の方が多い」と記載されている。)
ツボは『坪』と書き、古い表現で「庭(普通の場所)」を意味する。『壷』と誤認が多い。
単なる参考ながら、北米東部に自生するViola striata Aiton が、花、茎の様子など多くの点でエゾノタチツボスミレに良く似ているように見える。

エゾノタチツボスミレ エゾノタチツボスミレ
長野県諏訪市 2001年6月2日 霧ヶ峰
エゾノタチツボスミレ ↑ エゾノタチツボスミレ

薄い紫色、側弁の毛が目立つ



← シロバナエゾノタチツボスミレ

紫条が薄く見える白花
長野県松本市 2001年6月3日 美ヶ原
紫条がとても少ない個体です

こんな環境に咲きますので

草丈が大きくなるしかないのでしょうね
エゾノタチツボスミレ
長野県松本市 2003年6月7日
エゾノタチツボスミレ 根生葉と茎生葉HELP!を比べて下さい

ずいぶん形が違いますね
山梨県南都留郡 2006年5月16日

 1999年、暗く湿った林の下で見つけました。大きなすみれだなぁ、というのが第一印象。とにかく調べてみました。資料に掲載されている分布図からは大きくはずれている場所でしたが、特徴が明確なので同定に慎重になる必要はないかな、と思っています。既に花が終わろうとするギリギリのところで出逢ったようで、整った花は見られなかったけれども、運が良かったと考えるべきでしょうね。
1999/08/26

 2001年の写真の方が典型的な個体のようです。特に側弁の毛が目立ちます。一般に草丈がかなり高いすみれで、少しまとまって咲いていました。あごがしゃくれたような受け咲きの花で、咲き方はサクラスミレに似ています。相当に標高の高い場所とはいえ、6月ですので、周囲にある他の植物の草丈も高くなっています。エゾノタチツボスミレは、これに負けないようにがんばっているんだろうなと感じました。
2001/06/07

 友人に誘われて千葉県に移り住んで長くなりました。ただ、すみれに関する限り、個体数・種類ともに豊かとは言えない環境です。昨日、近くの図書館で調べものをしていて、「千葉県 植物ハンドブック(千葉県植物学会編)」と「房総の植物(藤平量郎)」をパラパラと眺めておりましたら、エゾノタチツボスミレが出てきました。どうやら、希少ながら5月辺りに花を咲かせているようです。ちょっと嬉しくなりました。
2008/01/17


シロバナエゾノタチツボスミレ シロバナエゾノタチツボスミレ
山梨県南都留郡 2007年5月7日

 花も個性的です。先ず、萼片が長いですね。花茎の白い毛も目立ちます。それから、短めの距HELP!を後ろから見ると、二つの筒を粘土のように張り合わせたような筋が見えます。視点を変えれば、桃割れしているようにも見えますね。
2008/06/08


エゾノタチツボスミレ
北海道 2010年6月3日
エゾノタチツボスミレ エゾノタチツボスミレ
長野県 2012年6月2日

 葉の形状については、地域差だけでなく、第一に根生葉と茎生葉のイメージが違っており、更に茎生葉でも先端と下の方では、また様子が違います。その下の方の茎生葉は、形状や葉脈の雰囲気がナバガノタチツボスミレに似ていることがあるようですね。
2012/06/06


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 (1999/08/26) Latest Update 2023/10/16 [700KB]

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