シロバナオオタチツボスミレ [オオタチツボスミレの品種] (白花大立坪菫)
シロバナオオタチツボスミレ
岩手県奥州市(前沢区) 1997年4月29日 月山
シロバナオオタチツボスミレ シロバナオオタチツボスミレ
シロバナオオタチツボスミレ
北海道函館市 2010年5月10日 alt.=60-180m
分類 タチツボスミレ類
学名 基本種 オオタチツボスミレ Viola kusanoana Makino Published in: Bot. Mag. (Tokyo) 26:173 (1912)
品種
シロバナオオタチツボスミレ Viola kusanoana f. alba Masamune
モモイロオオタチツボスミレ Viola kusanoana f. rosea Nagasawa
サクライロオオタチツボスミレ Viola kusanoana f. subrosea H. Igarashi (2000)
ヒダカタチツボスミレ Viola kusanoana f. brevicalcarata (H.Hara) F.Maek.

(種内分類群)Viola kusanoana f. subrosea H.Igarashi
異名
Viola dageletiana Nakai
Viola insularis Nakai
Viola kusanoana var. glabra Nakai
Viola silvestriformis W.Becker Published in: Beih. Bot. Centralbl., Abt. 2, 34:242. (1916)
Viola mutsuensis W. Becker Published in: Beih. Bot. Centralbl., Abt. 2, 34:241. (1916)
由来 kusanoana : 人名の由来する 草野俊助氏(菌類学者)、alba:白色の
外語一般名 白い花色以外は母種を参照下さい。


シロバナオオタチツボスミレ
閉鎖花由来の蒴果
茎の形態
生育環境
分布 国内
海外
補足
花の特徴 形状
花期
花柱
芳香
補足
葉の特徴 形状
補足
種の特徴 形状
補足
根の特徴
絶滅危惧情報
基準標本
染色体数
参考情報
その他

シロバナオオタチツボスミレ シロバナオオタチツボスミレ
2001年4月、サクラの開花宣言の後に

ボタ雪に見舞われました

25年ぶりの珍事だそうです

花芽が膨らんだ後では寒かったでしょうね

 シロバナオオタチツボスミレは、資料ではオオタチツボスミレが分布する地域なら比較的良く見つかると記載されています。
 撮影地である月山は出羽三山の月山ではなく、平泉に近く源義経伝説に登場する束稲山に隣接している自然の多い山です。山の中腹にアトリエを持つ音羽先生(ペンネーム)と偶然知り合って、近隣を案内をしていただきました。ピンク色のスミレも咲くとのことで、二人で探したところ、シロバナオオタチツボスミレに出逢ってしまいました。ナガハシスミレが当たり前のような顔で咲いているのがスゴイ。
 近くにザゼンソウの繁殖地があり、アトリエの庭にはサンショウウオまで生息しています。先生は、心ない盗掘や開発で自然が荒らされるのを嘆き、できれば一種のサンクチュアリを造りたいと話していました。自然や植物を本当に愛するなら、その美しさは、写真や絵に残すようにしたいものです。松尾芭蕉のように心に残すのが、最も正しい姿なのかも知れません。
1999/04/03

 かなり植物に詳しい方でも、アルビノ体という言葉を白花変種(または白変種)の意味で使うことがあるようです。下記の説明を軽く参照いただきたいのですが、少なくても植物の場合は、一般に本葉を展開する前に枯死してしまうものとのことですから、注意して使わないといけない言葉となりますね。
2010/10/08

白花変種(白変種)
 この白花型品種は白花変種(はくかへんしゅ)または白変種(はくへんしゅ)と呼ばれます。多少、定義に混乱が見られ、その最も根源的な違いは、遺伝的に正常であるか異常であるかという説明の違いだろうと思います。生物学全体で白変種と言えば、遺伝的には正常であって、その形質が次の世代に引き継がれる個体を指し示しますので、この定義に沿うのが常識的だと考えます。
 動植物共通で、遺伝子情報の中に正常な要素として「白くなる遺伝子」を隠し持っていると考えられています。広く理解しやすい一例として、ホッキョクグマの体毛が挙げられることがあります。ホッキョクグマは瞳が黒く、当然ながらアルビノ体ではありません。また遺伝子異常による色素形成不全でもなく、極北の白い世界に適応した優勢種です。氷河期には広範な世界を闊歩したのではないかと想像できますが、一般の環境では、その毛色は目立ちすぎる訳です。この大きな環境の変化に対応するため、スィッチを切った状態で遺伝子が温存されているという考え方があり、説得力があると思います。
 白花型品種を安易にアルビノ体と表現する場合が散見されますが、植物のアルビノ体はクロロフィルが合成できない訳ですから、光合成ができないことになり、結果的に、親からもらった種子内の養分を使い切ると、それ以上は生育できずに枯死してしまいます。従って、農家や種苗業者でもない限り、滅多に観察することはできません。
 尚、特に人間に対して使用する場合、相応の配慮と注意を要する言葉です。
 一方、"albus"というラテン語は単純に「白い」という意味です。学名おける"albiflora"、"alba"、"albida"、"albescens"等は"albus"の派生であって、"albino"の派生ではありません(誤解の根元になると思われます)。
 このページで紹介している個体群は「白花変種」で、唇弁の紫条も「紫」ではなく、発色していませんので「白」です。ただ、シロバナオオタチツボスミレには白っぽい花もあって、紫条がその名の通りの「紫」である個体群もあります。「白花変種」は多くの植物で一般的に見られますから、所謂、「純白品」に限定するのではなく、シロバナタチツボスミレと同様、「白花品」として幅を持って認識した方が良さそうです。
 「白花変種」に限定される例は、シロスミレにおけるトヨコロスミレに限られるのではないかと思われます。調べた限りですが、ナルカミスミレも「白花変種」に限定されているという記載ではないようです。
2021/05/16


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 (2010/07/06) Latest Update 2023/03/13 [280KB]

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