オオタチツボスミレ (大立坪菫) [別名:クサノスミレ]
オオタチツボスミレ
オオタチツボスミレ オオタチツボスミレ
福井県坂井市 2008年4月3日 alt.=40m

オオタチツボスミレ
岩手県奥州市(前沢区) 2011年5月15日

オオタチツボスミレ オオタチツボスミレ
新潟県村上市(旧朝日村) 2001年4月29日 福井県坂井市 2008年4月3日
分類 タチツボスミレ類
学名 基本種 オオタチツボスミレ Viola kusanoana Makino Published in: Bot. Mag. (Tokyo) 26:173 (1912)
品種
シロバナオオタチツボスミレ Viola kusanoana f. alba Masamune
モモイロオオタチツボスミレ Viola kusanoana f. rosea Nagasawa
サクライロオオタチツボスミレ Viola kusanoana f. subrosea H. Igarashi Published in: J. Jap. Bot.,75(3): 186 (2000)
ヒダカタチツボスミレ Viola kusanoana f. brevicalcarata (H.Hara) F.Maek.

(種内分類群)Viola kusanoana f. subrosea H.Igarashi
異名
Viola dageletiana Nakai
Viola insularis Nakai
Viola kusanoana var. glabra Nakai
Viola silvestriformis W.Becker Published in: Beih. Bot. Centralbl., Abt. 2, 34:242. (1916)
Viola mutsuensis W. Becker Published in: Beih. Bot. Centralbl., Abt. 2, 34:241. (1916)
由来 kusanoana : 人名の由来する 草野俊助氏(菌類学者)
外語一般名 【韓】큰졸방제비꽃
茎の形態 有茎種
生育環境 山地の明るい林下を好む。
分布 国内 北日本から山陰の多雪地帯。最大積雪50cm以上の地域とほぼ一致するとのこと。
海外 東アジア、サハリン(Kurile Islands)、朝鮮半島(Kyongsang puk)、中国東北部。
補足 稀に「日本固有種」と記載する資料が見られる。確かに海外の資料は極めて少ない。このページの記載は『原色日本のスミレ(浜栄助氏WHO!著)*(出典:G001) 』の記載や海外データベースに従った。
花の特徴 形状 大輪。側弁は無毛。
典型品は淡紫色(個体数が多いので変化は多い)。
白色が一般的。大きくて扁平のものが多い。
花期 花期はとても長い。地域によるが、3月から6月ぐらいまで見られる。
花柱 棒状。
芳香 個体差がある。
補足 唇弁の紫条が網の目風に入る。
葉の特徴 形状 典型品は卵型。葉脈HELP!は凹む。鈍頭。鋸歯が目立つ。通常、基部側辺は重ならない。
両面とも濃緑色で無毛(裏面に極めて微細な毛が見られることがある)。
補足 托葉は櫛の歯状。タチツボスミレ程は切れ込まない。
種の特徴 形状 中粒から大粒。
象毛色から茶褐色。
補足
根の特徴 ひげ根。根の脇から匍匐茎が出ることがある。
絶滅危惧情報 愛知県:絶滅危惧Ⅰ類、徳島県:絶滅危惧Ⅰ類
基準標本 オオタチツボスミレ:札幌、青森、山形(キンブ山、猪苗代、吾妻山)、島根県(大場村)
ヒダカタチツボスミレ:襟裳岬
染色体数 2n=20
参考情報
その他 花期の初期には、葉が両端から丸まっていることが多い。
花茎が茎の途中の葉の付け根から出る(根元からは出ない)。

オオタチツボスミレ
兵庫県神戸市 2022年4月20日

オオタチツボスミレ オオタチツボスミレ
新潟西蒲原郡 2010年4月26日 alt.=50m

オオタチツボスミレ オオタチツボスミレ
北海道函館市 2010年5月10日 alt.=60-180m

オオタチツボスミレ と タチツボスミレ
タチツボスミレとの一般的な違い
葉の形 丸型
葉の表面 葉脈に沿ってデコボコしている
葉のへり 波打っている
托葉 タチツボスミレより広い
白い
根生の花茎はほとんど見らない
 オオタチツボスミレとタチツボスミレの区別は難しい時がある。植物体全体について、一般にオオタチツボスミレがタチツボスミレより大きいのは事実。草丈も大きく茎も太い。但し、小型の個体もあり、見かけの大きさだけで区別するのは、ちょっと危険!変異や自然交雑が多いことから万能ではないが、左の表が目安になる。目で見ても分からない部分ながら、調べてみるまでは誤解していたが、染色体数が異なるわけではない。

 オオタチツボスミレは東北では、それほど珍しいスミレではありませんが、関東では存外見つからないですね。植物体全体が明らかに大きく、明るい田の畦道などに、密集して咲いていることが多いと書籍には記載されています。でも、小高い丘の上にもたくさん見られます。
 シロバナオオタチツボスミレは、資料ではオオタチツボスミレが分布する地域なら比較的良く見つかると記載されています。
 撮影地である月山は出羽三山の月山ではなく、平泉に近く源義経伝説に登場する束稲山に隣接している自然の多い山です。山の中腹にアトリエを持つ音羽先生(ペンネーム)と偶然知り合って、近隣を案内をしていただきました。ピンク色のスミレも咲くとのことで、二人で探したところ、シロバナオオタチツボスミレに出逢ってしまいました。ナガハシスミレが当たり前のような顔で咲いているのがスゴイ。
 近くにザゼンソウの繁殖地があり、アトリエの庭にはサンショウウオまで生息しています。先生は、心ない盗掘や開発で自然が荒らされるのを嘆いて、できれば一種のサンクチュアリを造りたいと話していました。自然や植物を本当に愛するなら、その美しさは、写真や絵に残すようにしたいものです。松尾芭蕉のように心に残すのが、最も正しい姿なのかも知れません。
 翌年も訪ねて、ピンク色のスミレがアカネスミレであることが分かりました。この時期には、ゆかしい姿のイカリソウ(白花)や清楚なカタクリにも出逢うことができます。
1999/04/03


オオタチツボスミレ オオタチツボスミレ
青森県三沢市 2008年5月8日 青森県十和田市 2008年5月11日
  櫛の歯状と呼ばれる托葉HELP!を写してみました。タチツボスミレに比べると、歯は疎らであることが分かります。それから、奥入瀬渓流を下りていく途中で、赤味の強い花を見掛けましたので、渓流を背景に撮影してみました。
2008/05/14


オオタチツボスミレ
新潟西蒲原郡 2010年4月26日
『栃木県植物目録』と『とちぎの植物I』、『埼玉県植物誌』の記載にしたがって、栃木県、埼玉県に「書籍情報」をマークします。実際に確認してみたいものです。
2010/01/10


(つぶやきの棚)徒然草

 (1999/04/03) Latest Update 2023/10/16 [785KB]

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