ミドリタチツボスミレ [タチツボスミレの品種] *異論あり (緑立坪菫)
ミドリタチツボスミレ
静岡県富士宮市 2000年5月3日 田貫湖畔の別荘地 (ポジフィルムからデジタイズした画像)

ミドリタチツボスミレ ミドリタチツボスミレ ミドリタチツボスミレ
ミドリタチツボスミレ ミドリタチツボスミレ
静岡県富士宮市 2000年5月3日 (当時のデジカメ VGA 画像)
HELP!はかなり小さい方でしょう
紫条と花弁に淡いピンク色が入り、葉の裏面は普通の緑でした

ミドリタチツボスミレ ミドリタチツボスミレ
ミドリタチツボスミレ ミドリタチツボスミレ
群馬県 2004年5月3日
分類 タチツボスミレ類
学名 基本種 タチツボスミレ Viola grypoceras A. Gray Published in: M. C. Perry, Narr. exped. China Seas Japan 2:308. (1857)
変種
品種 ミドリタチツボスミレ Viola grypoceras f. viridans Hiyama
異名
由来
外語一般名 品種として発表されているが、何らかのストレスによる個体変異としての「先祖返り」、単に病気とする意見があった。
近年の研究により、このメカニズムはほぼ解明されている(このページの後段を参照されたい)。
その上でも、「病気」と捉えるのか、「変化」を生み出す要素と捉えるのかは見方次第であるものと理解している。
花が正常に形成されていない点などを除き、タチツボスミレと変わらない。
茎の形態
生育環境
分布 国内
海外
補足
花の特徴 形状
花期
花柱
芳香
補足
葉の特徴 形状
補足
種の特徴 形状
補足
根の特徴
絶滅危惧情報
基準標本
染色体数
参考情報
その他
 このすみれは花が「葉化」したものと説明されており、一種の「先祖がえり」なのだそうです。すみれ仲間情報を集約すると、比較的多く見つかるもので、どこか特定地域で見られるものではないようです。種子はできるのですが、その性質は固定されてはいないと説明を受けたことがあります。淡いピンクを帯びるという特徴は普遍的です。違う植物でも、時折、見られるようです。
 2001年3月、新進の美人野草愛好家(^^)より「お仲間情報」があり、オオタチツボスミレの葉化したものを見たことがあるとのことです。ただ、翌年には普通のオオタチツボスミレに戻っていたとのことで、「ただの突然変異だったのかしら~?」とのことでした。
 タチツボスミレ以外では稀ですが、ニオイタチツボスミレ(ちょっと記憶が曖昧?)の「葉化」をスライドで拝見したありました。
2000/05/04

 すみれを探す時、やはり、無意識に花の色を目印にして探していることを自覚しました。緑色のすみれを見つけたのが偶然だからです(他のすみれを撮影している足元に咲いていた)。近隣を30分以上探して、数株しか見つけることができませんでした。言い換えれば、個体レベルの変化ではないことが分かります。1株は20m以上離れた場所で見つけましたので、種子で増えているものと推測せざるを得ません。
2007/05/01


ミドリタチツボスミレ
山梨県甲府市 2021年3月29日 (展示会)
 この「葉化」という現象について、「先祖返り」であると同時に「ウィルスによる病気」とする見解は少なくないようです。見方はそれぞれですが、単に病気というよりもホルモン異常による花弁の形成不全と見るべきではないかと思っています。確かに、トウモロコシのような農作物に発生すれば、病気と呼んでも当然でしょう。でも、萼や蕊が花弁と似た姿になる「弁化」が発生すれば、二重咲きや八重咲きと呼ばれて、園芸品種として重宝される訳ですね。
 八重咲きのパターンだけでなく、ポインセチアの上の方の葉が朱色や象牙色になっている現象も弁化の一つです。固定して通性(常に発生する)と、そうでない場合があり、後者で人間の目で見て貧弱な現象であると「奇形」と呼ばれてしまいます。
 植物形態学の系統発生(進化)では、葉、花弁、萼片、雄蕊、雌蕊、心皮等の各器官は同じ起源である、即ち、相同であると考えられています。葉化について、昔から直感的に「それほど特別なことではない」と感じていたのですが、その理由は、私の世代にしか分からないかも知れませんが、アニメーションにもなった「ふしぎなメルモ(手塚治虫氏原作)」にあるのです(笑)。
2009/11/11

 葉化または緑花(花器緑化)の原因として、難培養性細菌であるファイトプラズマによる一種の病気と表現されることが多くなってきました。東京大学の土居博士の研究以降、多くの研究があるようです。
 病気というと余り歓迎されません。ただ、ポインセチアの栽培・流通・販売に際して、商品価値を高めるために人為的に感染させて草丈が低くさせることがあって、ある論文に依りますと「*市販されているほぼすべて」で行われているとの記載を見つけました。有用という意味でしょう。感染するそうですが、微妙な話ですね。*(出典論文)
2021/12/10

 東京大学の土居博士の研究は引き継がれ、植物病原細菌ファイトプラズマが起因して、花を葉に変える原因遺伝子ファイロジェン(PHYLLOGEN)が花形成タンパク質を分解することによって、花の形成が阻害され、葉に変えてしまうこと明らかになったと報告されています。
 その報告で、緑花アジサイが市場で珍重されて、高い付加価値を認められている例が示されていますが、前述のポインセチア同様に「病気」と捉えるのか、「変化」を生み出す要素と捉えるのか、やはり、そんな微妙な話であったようです。*(出典論文)
2022/10/14


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 (2000/05/04) Latest Update 2024/02/12 [600KB]

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