ヴィオラ・バンクシイ - Viola banksii - (旧称←誤適用) ヴィオラ・ヘデラケア
ヴィオラ・バンクシイ(旧称:ヘデラケア)
千葉県 2010年5月28日 植栽
ヴィオラ・バンクシイ(旧称:ヘデラケア) ヴィオラ・バンクシイ(旧称:ヘデラケア)
千葉県 2009年5月17日 植栽

ヴィオラ・バンクシイ(旧称:ヘデラケア) ヴィオラ・バンクシイ(旧称:ヘデラケア)
ヴィオラ・バンクシイ(旧称:ヘデラケア)
千葉県 2010年11月27日 植栽
分類 Erpetionグループ
学名 基本種 ヴィオラ・バンクシイ Viola banksii K.R.Thiele & Prober Published in: Muelleria 18:15. (2003)
変種
品種
異名 ヴィオラ・ヘデラケア Viola hederacea Labill.(旧称←誤適用Published in: Nov. Holl. pl. 1:66, t. 91. (1805)
園芸種
Viola banksii 'Baby Blue' (淡青色)
Viola banksii 'White Glory' (純白微香種と説明されている)
[注] Viola hederaceaの可能性もあるが、Viola banksii の園芸種(栽培品種)とする海外資料の記載に従う。
由来 banksii: バンクスの、Sir Joseph BanksWHO! (1743-1820) 探検家、植物採集家。
外語一般名 【中】常春藤叶堇菜 (chang chun teng ye jin cai)、【台】腎葉菫、熊猫菫、
【英】Ivy Leaved Violet, Tasmanian Violet, Australian violet, Trailing violet
茎の形態 有茎種
生育環境 山地から海岸の荒れ地。栽培では余り環境を選ばないが、多くの花を咲かせるなら、明るく湿り気がある方が良いとのこと。
分布 国内
海外 オーストラリア東北部、マレー半島中部。
補足 オーストラリアの自生環境では通年開花するとのこと。ヴィオラ・バンクシイとヴィオラ・ヘデラケアの自生地は異なる。
花の特徴 形状 小輪。
白い花びらの中央部が青紫色。中央に小さなオレンジの花柱がある。
ほとんど見えない。
花期 (国内の栽培環境で)真冬と真夏以外は花が見られる。
花柱 細長い棒状。
芳香 ない。ただし、海外ナーセリーの資料では芳香性とされ、'White Glory'は微香と表現される。
補足 長い花茎がスーッと伸びて反り返り気味の花が咲く。花茎が茎元から出る場合と、地上茎の分岐部から出る場合がある。
葉の特徴 形状 全体は少し角張った丸型。基部は心型。
濃緑色。
補足
種の特徴 形状
補足 日本で流通している個体群には稔性がない。
根の特徴
絶滅危惧情報
基準標本 ボタニー湾(オーストラリア、ニューサウスウェールズ州) : by Joseph Banks and Daniel Solander in 1770.
染色体数 2n=54
参考情報
Plant Name Changes from the Australian Native Plants Society (Australia):再分類が必要である
その他 タイプ標本と一致せず、命名自体が間違っていたため、2004年、Kevin Thiele.によってViola banksiiに再評価された。

ヴィオラ・バンクシイ(旧称:ヘデラケア)
千葉県 2011年5月28日 植栽

 匍匐枝(茎)HELP!でイチゴのように増殖します。普通に市販されてますが、「パンダスミレ」、「ツルスミレ」、「ツタノハスミレ」といった名前が付いています。1999年秋には、「タスマニアビオラ(N社)」、「パープルピコティ(J社)」、2000年には「ウィンズビオラ」、「クリーピングすみれ」などという名前で市販されていました。"ヘデラケア"という名称が小さく記載されているものもありますが、記載がないものが多いようでした。表面的にはバンクシイヘデラケアとの違いは見当たりません。
 バンクシイヘデラケアはViola属ですが、ViolaグループではなくErpetionグループに属します。四季咲きと表現されます。確かに4月から11月まで次々に花を咲かせますが、冬と夏場はお休みします。冬に室内で育てたところ、12月ぐらいまでは咲いてくれました。夏場も涼しくしていれば咲くかも知れません。寒がりなので、冬場は暖かい場所に移しましょう。
 通常、一般流通している株は不稔性で栄養体生殖で増殖させますが、時折、稔性のある個体が見られます。原産地では当たり前に見られるものではないか思いますが、ビジネスベースで考えれば、タネができない株の方が好ましいかも知れませんね。ところが、ホームセンターで安い価格で入手したポット苗の株に朔果HELP!ができたのです。固いのでタネを得ることができるかも知れません。
2006/08/20

 "ヴィオラ・ヘデラケア"という名前が 'Old or Invalid Name' や 'Previous Name' という扱いになっています。変更は2004年、'New Name' は Viola banksii です。主旨は「タイプ標本と一致しない(Invalid)」ということでした。過去の情報については注釈を、新規の情報については変更したいと思います。ただし、まだ全く浸透していないので、"ヘデラケア"という言葉を残すことがありますので了解して下さい。タイプ標本が示す(本当の)"ヘデラケア"は、もう少し大人しいすみれらしいということです。
2007/04/18

Viola hederacea は Joseph Banks と Daniel Solander によって1770年に採集されましたが、タイプ標本は Jacques Labillardiere がタスマニアで採集するまで、消失または確認できなくなっていたされていました。ところが、結果的に、両者は同じものではなかったことが混乱の根源で、その後、一般流通していた方の Viola hederacea は、前述の通り、2004年に Kevin Thiele.氏によって V. banksii に修正されることになりました。
2010/08/10


 2004年のKevin Thiele.氏による論文を再度読み直しています。Viola banksiiViola hederaceaの外見的な違いを知りたかったのですが、近縁種らしい4種について花の形状比較が可能な写真を見つけました。著作権上、ここに写真をアップできませんが、再確認できたことは、日本で一般流通している個体群はV. banksii であってV. hederaceaとは別物だということです。また、近縁種と思われるV. eminens の方が外見的には似ていることも分かりました。
 論文の一部を抜粋してみます。
Viola banksii is commonly sold in the nursery trade (as V. hederacea), and is frequently grown in gardens well outside its natural range.
 V. banksiiV. hederaceaとして流通しており、自生環境を越えて広く栽培されているとありますね。V. banksiiV. hederaceaに混じって流通しているいう理解は間違いであり、少なくても、V. hederacea を国内で観察することは容易ではなさそうです。
 補足ながら、当該資料には「成熟した種子の色」という項目があり、V. banksiiには、本来、光沢のある紫褐色の種子ができるそうです。日本で流通している個体群のほとんどが3倍体だとすれば、更に、変異の一部だけが流通しているという不思議な状況が見えてくる訳です。
2022/01/12


ヴィオラ・バンクシイ(旧称:ヘデラケア) ヴィオラ・バンクシイ(旧称:ヘデラケア)
千葉県 1998年7月15日 植栽 千葉県 1999年10月31日 植栽

ヴィオラ・バンクシイ(旧称:ヘデラケア) ヴィオラ・バンクシイ(旧称:ヘデラケア)
千葉県 2001年9月15日 植栽
花期の短いスミレの仲間の中で1年の半分は咲いている珍種(?)です
匍匐枝(茎)HELP!が長く伸びるのでハンギング造りにも良いのでは・・・

ヴィオラ・バンクシイ(旧称:ヘデラケア)
千葉県 2021年10月4日 植栽

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 (1999/10/16) Latest Update 2024/02/11 [375KB]

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