ナンザンスミレ (南山菫) [別名:トウカンスミレ]
ナンザンスミレ ナンザンスミレ
ナンザンスミレ ナンザンスミレ
長崎県対馬市 2007年3月10日

ナンザンスミレ
白が強いナンザンスミレ
東京都 2000年4月8日 植栽

ナンザンスミレ ナンザンスミレ
葉はエイザンスミレに酷似している
長崎県対馬市 2007年3月11日
ナンザンスミレ
根が露出している株が多く見られ、根は縦に伸びないで横に展開する
長崎県対馬市 2007年3月11日
分類 ミヤマスミレ類
学名 基本種 ナンザンスミレ Viola chaerophylloides (Regel) W. Becker Bull. Herb. Boiss. ser. 2, 2: 856 (1902)
変種 ヒゴスミレ Viola chaerophylloides var. sieboldiana (Maxim.) Makino B. M. T. 19: 87 (1905)
品種
異名
Viola albida Palib. var. chaerophylloides (Regel) F.Maek. f. sieboldiana (Maxim.) F.Maek.
Viola dissecta Ledeb. var. sieboldiana (Maxim.) Nakai
由来 chaerophylloides : セリ科の chaerophylla 種に似ている、chaero(=cheiro)は掌状の葉
外語一般名 【中】南山堇菜、胡堇草、胡堇菜、【韓】남산제비꽃
茎の形態 無茎種
生育環境 山地のやや暗く湿り気味の林縁から、陽当たりの良い場所まで、生育環境に幅がある。
分布 国内 日本では対馬だけに分布。
海外 中国、朝鮮半島、シベリアなどで見られる。
補足
花の特徴 形状 中輪~大輪。側弁の基部に毛がある。
白色から淡い紅紫。
丸い。
花期 早め。
花柱 カマキリの頭形(虫頭形)。
芳香 あり。
補足 エイザンスミレのように花弁が波打つことはない。
葉の特徴 形状 ヒゴスミレのように見かけ上は五裂する複葉。各々の裂片が広い。
少し暗めの緑色。表裏で差が少ない。
補足 拡げると正五角形に見える。
種の特徴 形状 倒卵形。へその方へ尖る。中粒。種枕が目立つ。
種子:茶褐色、種枕(エライオソーム):淡褐白色。光沢がある。
補足
根の特徴
絶滅危惧情報
基準標本 南山 (남산), Namsan in Korea
染色体数 2n=24
(LEE, Y. N., 1967, Chromosome Numbers of flowering plants in Korea. J. Korean Res. Inst. Ewha Women's Univ.)
参考情報
その他 多くの点でヒゴスミレとエイザンスミレの中間的な特徴を持つ。京城(朝鮮)の南山にちなんだ名と言われる。
ナンザンスミレ ヒゴスミレ エイザンスミレ
花弁の縁 普通(波打たない) 普通(波打たない) 多くの場合、波打っている
葉の形状 拡げると五角形に見える 拡げると五角形に見える 五角形に見えない
葉の裂片 広い 狭い 広い
学名 Viola chaerophylloides Viola chaerophylloides f. sieboldiana Viola eizanensis

ナンザンスミレ
千葉県 2006年6月10日 植栽
 前述の通り、日本では対馬にしか分布していないので、残念ながら、市販の園芸種と栽培されている個体しか見たことがありません。ただ、信頼できるサイトに「本州」に分布しているとの記載があるのが気になります。
 文献によると、対馬の個体はヒゴスミレとエイザンスミレの間の移行種であるかのように思われるとのこと。独立した種と見なすのは、どのポイントからなのか、勉強が不十分です。エイザンスミレの夏葉は大きくなるのですが、ナンザンスミレはどうなのでしょうか。
1999/06/20
 決して多くはない情報をベースにして、対馬に出掛けてきました。2月下旬から咲き出すという情報があったのですが、現地での感想としては、ちょっとアヤシイ感じがします。やはり今年は動き出すのが早いそうですが、そんな環境でも3月前半でも花を付けている個体数は多い方ではないと感じました。
 対馬の皆さんは、どなたも人なつっこくて、とても親切です。今回、事前情報が不十分でしたが、現地ヒューマンネットワークのすごさを感じました。そのネットワークで自生地情報を得て、なんとか花の咲く一角に辿り着いたという訳です。どうやら、「どこにでも生えている」ということではないようですね。お世話になった皆さんに心から感謝します。
2007/03/15
 対馬から見える位置にある韓国では、未確認ながら、コマスミレ("Viola albida Palib.")という和名を持つすみれが、ナンザンスミレやヒゴスミレの母種として扱われているそうです。
2007/07/09
 いがりまさし氏WHO!は、2018年に韓国を訪ねた翌日、あるblogで『対馬のものをナンザンスミレとする説はあらためなければなりません。おそらく、ナンザンスミレとエイザンスミレの雑種群落でしょう。』、『ヒゴスミレとナンザンスミレはあえて分けるほどまとまりのある変異ではないと思います。』というコメントを残しています。エイザンスミレとナンザンスミレ(含むヒゴスミレ)、アカバナスミレ、ヒラツカスミレ(移行型)について、もう少しダイナミックに見直した方が良いのかも知れません。
2023/03/14

しばらく、このページに混在する形で掲載していた「ベニバナナンザンスミレ」と呼ばれる園芸品種については、交雑種のカテゴリーに再分類しましたので、そちらを参照して下さい。
2007/07/08

(つぶやきの棚)徒然草

 (1999/06/20) Latest Update 2023/10/08 [100KB]

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