ムラサキコマノツメ [ニョイスミレの品種] (紫駒の爪)
ムラサキコマノツメ
ムラサキコマノツメ ムラサキコマノツメ
福島県南会津郡 2007年6月23日 alt.=1,700m
ムラサキコマノツメ
千葉県 2007年4月30日 植栽
分類 ニョイスミレ類
学名 基本種 ニョイスミレ Viola verecunda A. Gray Published In: Mem. Amer. Acad. Arts, n.s. 6(2): 382 (1858) 【注:論文掲載誌】
変種
アギスミレ Viola verecunda var. semilunaris Maxim.
ヒメアギスミレ Viola verecunda var. subaequiloba (Fr. et Sav.) F.Maek.
ミヤマツボスミレ Viola verecunda var. fibrillosa (W.Becker) Ohwi
コケスミレ Viola verecunda var. yakusimana (Nakai) Ohwi
品種
シラユキスミレ Viola verecunda f. candidissima Mizushima
ムラサキコマノツメ Viola verecunda f. violascens Hiyama ex F.Maek.
ハイツボスミレ Viola verecunda f. radicans Makino
異名
Viola alata Burgersdijk
Viola amurica W. Becker
Viola arcuata Blume f. radicans (Makino) Nakai
Viola carlesii Nakai
Viola hamiltoniana D. Don
Viola arcuata var. verecunda (A. Gray) Nakai, Bot. Mag. (Tokyo) 1922、他多数
由来 Viola verecunda : 内気な、(適度の)、violacens : 淡紫紅色の
外語一般名 【中】如意草(rúyìcǎo)、【韓】콩제비꽃
茎の形態 有茎種
生育環境 6~8月、高層湿原に多く見られ、草丈が比較的に高くなる傾向がある。
分布 国内 花弁の色が淡い紫色を帯びる。その他は基本的に母種と変わらない。
海外
補足
花の特徴 形状
花期
花柱
芳香
補足
葉の特徴 形状
補足
種の特徴 形状
補足
根の特徴
絶滅危惧情報
基準標本
染色体数
参考情報
その他 葉は比較的丸く、表面に微毛があるとされるが、一定した表現(定義)ではない。

ニョイスミレの学名について

 東南アジア広域に分布するニョイスミレは、個体数や種内変異が極めて多いという特徴を持っています。シノニム(異名)も多いことから、学名について数多の変遷があったであろうことが容易に想像できます。

 ニョイスミレの学名について、当サイトが参考にさせていただいているソースの一つ「YList:BG Plants 和名-学名インデックス(米倉浩司・梶田忠)」では、Viola verecunda A. Gray と記載されていますが、注釈(ノート)として『Y.S.Chen et al., Fl. China 13: 78 (2007)はタイワンツボスミレの異名とする』とあります。欧米や東南アジアの資料を当たると、Viola arcuata Blume を正名( accepted name, collect name )と記載して、Viola verecunda をシノニムとするケースの方が主流です。

 当サイトでは、当面、Viola verecunda を正名として扱いますが、変更する可能性があると認識しています。



 原則として、ニョイスミレの花弁の色が違う「色違いの品種」なのですが、更に情報を集約すると、変種のミヤマツボスミレに近い表現が多く見られるようです。おそらく、ミヤマツボスミレの自生環境と近接して自生するため、誤解や同定違いがあるのではないかと思われます。分かる範囲で定義を調べる限り、あくまでも色違いに過ぎず、例えば、葉が丸くなければいけない等の形状に関わる特徴は不明確(きちんと説明されていない)です。
 実は、ミヤマツボスミレにもアギスミレにも同様の色違いがあります。でも、これらを変種の品種?だとして別に命名するとすれば…、それは愚行でしょうね。
2007/07/03

 『群馬県植物誌』の記載にしたがって、群馬県に「書籍情報」をマークします。
2010/01/10

 多くの資料を引っ張り出しても、ニョイスミレの品種とされるムラサキコマノツメと、変種とされるミヤマツボスミレの具体的な違いをきちんと定義することが困難です。現状は、ムラサキコマノツメと記されて入手した種子の子孫たちが綺麗な紫色の花を咲かせるので、これはムラサキコマノツメだろうと区分しています。また、その個体にそっくりな姿を高層湿原で見かけたら、ムラサキコマノツメと判断しています。一方で、高層湿原でニョイスミレとムラサキコマノツメとの中間的な形状や色合いの個体で、特に草丈の高い個体群はミヤマツボスミレだろうと区分しています。しかしながら、直接的に比較して違いを見い出そうとすると、花の色の濃淡程度しか浮かび上がって来ません。
 品種と変種の違いが不明確だというのはどうした訳でしょうか。知らないだけで実は明確であるのならば、ぜひ、そのポイントを知りたいところです。本当に不明確なら、あえて区分する必要がないと考えた方がすっきりします。結果として、どこまで突き詰めても「花の色が違う」というだけであれば、「変種」と呼ぶに値しないことになりはしませんか。その場合の話になりますが、色違い品種に相応しい名前を持つムラサキコマノツメに集約したら、分かりやすさが増すことになるというものでしょう。
2010/10/10

ムラサキコマノツメ ムラサキコマノツメ
千葉県 2010年2月21日 植栽
 こぼれた種から夏に芽を出して、そのまま野外では冬越しが困難かも知れないので、冬に枯らさずに室内で育ててみました。ご覧の通り、枯れた葉ばかりですが、花が咲いてしまいました。なかなかに逞しくて、次々に咲きそうです。
2010/02/23


ムラサキコマノツメ ムラサキコマノツメ
千葉県 2010年5月3日 植栽
ムラサキコマノツメ
ムラサキコマノツメ ムラサキコマノツメ
上の個体と下の個体を比べてみますと、花も葉も随分イメージが違うものですね
神奈川県 2013年3月20日 植栽
ムラサキコマノツメ ムラサキコマノツメ
千葉県 2017年4月19日 植栽
ムラサキコマノツメ ムラサキコマノツメ
小さくて細長い緑色の果実ですが、これに黒い極小の種子が大量に詰まっています
2017年5月15日 千葉県 2017年5月18日 植栽

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 (2007/06/30) Latest Update 2022/04/17 [500KB]

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