アカネスミレ (茜菫)
- ウスアカネスミレ (薄茜菫)
- ウスゲオカスミレ (薄毛丘菫)
- オカスミレ (丘菫)
- コボトケスミレ [白花変種] (小仏菫)
- シロバナウスゲオカスミレ (白花薄毛丘菫)
- ナガワスミレ [重花弁] (奈川菫)
- ヤエアカネスミレ [重花弁] (八重茜菫)
千葉県 2009年4月8日
2006年5月16日 山梨県南津留郡 河口湖
2006年5月1日 群馬県渋川市 伊香保 2002年4月20日
2013年4月27日 群馬県高崎市
ウスアカネスミレ 2003年5月4日 群馬県前橋市 赤城山
2004年4月30日 山梨県南津留郡 河口湖
2023年5月3日 山梨県北杜市
分類 |
ミヤマスミレ類 |
学名 |
基本種 |
アカネスミレ Viola phalacrocarpa Maxim. Published in: Melanges Bot. 9: 726. (1876) |
変種 |
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品種 |
ウスアカネスミレ Viola phalacrocarpa f. pallescens (Nakai) Nagasawa et F.Maek.
ウスゲオカスミレ Viola phalacrocarpa f. subpubescens (Hiyama) F.Maek.
オカスミレ Viola phalacrocarpa f. glaberrima (W. Becker) F.Maek.
コボトケスミレ Viola phalacrocarpa f. chionantha Hiyama Published in: J. Jap. Bot.,32: 288 (1957)
シロバナウスゲオカスミレ Viola phalacrocarpa f. leucantha Hiyama
ナガワスミレ Viola phalacrocarpa f. plena Okuhara ex T.Shimizu Published in: Fl. Nagano Pref. 1506. (1997)
ヤエアカネスミレ Viola phalacrocarpa f. akiyamana C. Abe , f. nov.
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異名 |
Viola conilii Franch. & Sav. Published in: Enum. Pl. Jap. 285. (1879)
Viola ishidoyana Nakai Published in: Bot. Mag. (Tokyo) 27: 129. (1913)
Viola reichii W.Becker Published in: Beih. Bot. Centralbl. 34(2): 422 (1917)
Viola phalacrocarpa var. ishidoyana (Nakai) Nakai Published in: Bot. Mag. (Tokyo) 36: 85. (1922)
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由来 |
phalacrocarpa : 果実に毛がない cf.: ただし、実際には微毛が密に生えている |
外語一般名 |
【中】茜菫菜、【韓】털제비꽃 |
茎の形態 |
無茎種 |
生育環境 |
低山の明るく乾燥気味の林下、林縁に見られる。 |
分布 |
国内 |
北海道から屋久島まで分布する。個体数は中部以北の低山に多いとされる。 |
海外 |
ロシア(極東部)、韓国、中国東北部。 |
補足 |
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花の特徴 |
形状 |
中輪(1.2~2cm)。全体に扁平で寝ているが、縦にも細長い。 |
色 |
名前の通りの茜色が基本だが、青紫から紅紫まで変化が多い。 |
距 |
有毛で細長い筒状。 |
花期 |
普通。秋も返り咲きが見られる。 |
花柱 |
カマキリの頭形。子房に毛がある(他種では見られず、オカスミレでも見られない)。 |
芳香 |
微香あり。 |
補足 |
通常、側弁は有毛。 |
葉の特徴 |
形状 |
さじ型、長三角状披針形、長卵状披針形など。先端は丸く、基部は浅い心形。
橋本保氏は著書の「日本のスミレ*(出典:N002)
」で、「先端が円形のもの、とがるものがあり、前者は西日本に多いようです」と語っている。
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色 |
表面は緑色、裏面は淡緑色が多いが、淡紫色から濃紫色を帯びる場合もある。 |
補足 |
通常、両面に短毛が密生する。葉柄に狭い翼
があるが、全くない個体も多い。 |
種の特徴 |
形状 |
倒卵形。へその方へ尖る。中粒。種枕が目立つ。 |
色 |
種子:濃褐色、種枕(エライオソーム):淡褐白色。光沢はない。 |
補足 |
有毛。 |
根の特徴 |
白い。 |
絶滅危惧情報 |
新潟県:絶滅危惧Ⅱ類、富山県:情報不足、石川県:絶滅危惧Ⅱ類、京都府:絶滅危惧Ⅱ類、奈良県:絶滅危惧Ⅱ類、大阪府:絶滅危惧Ⅰ類、鳥取県:準絶滅危惧種 |
基準標本 |
アカネスミレ : ウスリー、函館、横浜、中国東北部
コボトケスミレ : 東京都八王子市 小仏峠ー城山 1957.4.28 by T. Yano (京大収蔵)
シロバナウスゲオカスミレ : 群馬県館林 1957.4.29 by T. Matsuzawa (京大収蔵)
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染色体数 |
2n=24 |
参考情報 |
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その他 |
葉や花茎のみならず、果実を含む植物体全体に微毛が密生していることが多い。
一方、側弁の基部以外には毛がない品種を特にオカスミレと呼ぶ。ルーペで見ると、微毛も全くない個体と、葉の縁や葉脈の一部に微毛が見える個体がある。
白花変種をコボトケスミレ、重花弁の品種をナガワスミレという。
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千葉県船橋市 2001年3月20日
早春、やっと芽が出始めた(明るい丘などに咲くすみれは、むしろ珍しい)
東京都八王子市 2000年4月9日 高尾山
オカスミレは葉のイメージが違う
千葉県船橋市 2001年4月14日
東京都 2001年4月9日 植栽
東京都 2005年4月2日 植栽
ウスアカネスミレ:神奈川県 2010年3月19日 植栽
淡い花色により品種に区分されているが、色合いは連続的
コボトケスミレ:神奈川県 2007年3月29日 植栽
特徴的な赤紫色の色素が欠落して、少し不思議な雰囲気を持つ
北海道釧路市 2010年6月3日 alt.=18m
比較的、濃いめの花色なので、全体には小ぶりなのに、明るい林の中で目立っています。家の近所でたくさん見られるので、とても愛着があるんです。ところが、この林全体が宅地になってしまう…。2000年5月、考古学調査が行われていたのですが、遺跡の様子を見ると、昔、かなり大きなお屋敷が建っていたように見受けられました。ブルドーザーが林を踏みつぶしていくのを見るのは忍びないですよね。林も遺跡も破壊して、これからは減る一方の人口も無視して、何十年も前の価値観で宅地開発を続ける住宅公団(最近、名称変更したらしい)とはなんなのだろう…(なんちゃって、でも本当です)。
2000/06/01
純白種コボトケスミレは、高尾山の神奈川県側に当たる小仏峠(小仏城山)で見つかったことに由来するそうです。タカオスミレとコボトケスミレ、土地の名前が付けられたすみれが狭い地域に集中するのは珍しいことです。淡紫色の個体をウスアカネスミレと呼ぶことがあるそうです。
2000/06/01
高尾山ですが、なんと、2000年には4月2日、9日、16日、つまり、毎週出掛けていました。同じ関東と言っても、ドアtoドアで片道約100Km程度あります。高尾山で撮影した赤みの強い写真(9日)がありますが、決して画質調整をした訳ではありません(当たり前か!)。自宅近隣のアカネスミレの色彩感覚とはかなり違うものでした。
2001/04/11
すみれは変種や品種を細かく分け過ぎる傾向があります。アカネスミレにも幾つか見られますが、白花変種や、これだけ毛が多い種の無毛品であるオカスミレについては定義も明確なので理解できます。問題はウスアカネスミレです。淡紫色または淡いピンク色の花と言われますが、色の段階的な変化については定義が不明確だと言われても仕方がないところでしょう。正規の学名があるのですが、個人的には(現在のところ)ウスアカネスミレという品種を無視しているのが実態です。
2008/12/15
北海道釧路市 2010年6月3日 alt.=18m
東京都八王子市 2010年5月1日 alt.=770m
翼は「あると言えばある」程度、先端は鈍頭、基部は浅い心形で、低い鈍鋸歯が並ぶ