アリアケスミレ (有明菫) [別名:ノハラスミレ、シロバナスミレ(稀)]
茨城県つくば市 2006年4月15日
東京都武蔵村山市 2013年4月14日
分類 |
ミヤマスミレ類 |
学名 |
基本種 |
【外国種】Viola betonicifolia Smith Published in: volume 37 of Rees's Cyclopadia (1817) |
変種 |
アリアケスミレ Viola betonicifolia var. albescens (Nakai) F.Maek. et T.Hashim. Published in: Index Violets Jap.: 11 (1967)
リュウキュウシロスミレ Viola betonicifolia var. oblongo-sagittata (Nakai) F.Maek. et T.Hashim.Published in: Index Violets Jap.: 11 (1967)
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品種 |
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異名 |
Viola longiscapa (DC.) G.Don
Viola phyteumifolia G.Don.
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由来 |
betonicifolia : ベトニー(ハーブ)に似た葉を持つ、 albescens : 白っぽい |
外語一般名 |
【英】 Australian native violet、 Betony-leaved violet(基本種)、【中】戟叶堇菜 |
茎の形態 |
無茎種 |
生育環境 |
海岸沿いの平地、低地、水田、河畔、温暖な人家のそばなどで見られる。 |
分布 |
国内 |
北海道を除く、ほほ全国に広くに分布する。 |
海外 |
中国、東南アジア、(オーストラリア)。 |
補足 |
沖縄に兄弟分に当たるリュウキュウシロスミレが分布する(ともに変種として扱われる)。 |
花の特徴 |
形状 |
中輪。5枚の花弁がほぼ同じ大きさ。側弁は有毛。上弁内側にわずかに毛がある。 |
色 |
白地に紫や紅紫の紫条が入る。 |
距 |
太くて短め。 |
花期 |
普通か、やや遅め。 |
花柱 |
カマキリの頭型。 |
芳香 |
無香。 |
補足 |
有明の空(変化に富む)の意味。萼は三角状卵形、その付属体は半円形で全縁。 |
葉の特徴 |
形状 |
鈍頭。無毛。花期の葉は長楕円形。葉柄に翼
があり、くびれはない。鋸歯 は低い。 |
色 |
明るい緑色。稀に裏面が紫色を帯びることがある。 |
補足 |
花後には基部が横に張り出して三角状披針形 に変化し、先端も少し尖る。 |
種の特徴 |
形状 |
狭倒卵形(へそに種枕が残る)。中粒。 |
色 |
種子:明黄褐色、種枕(エライオソーム):淡褐白色。光沢は弱い。 |
補足 |
果実は細長い。 閉鎖花由来の果実では特に種子が多く稔る傾向がある。 |
根の特徴 |
白い。ただし、古株は褐色を呈する。太くて数少ない主根が明確で深く伸びる。 |
絶滅危惧情報 |
青森県:絶滅危惧Ⅱ類 |
基準標本 |
アリアケスミレ : West Nepal (Chaudhabise Khola) 1952 |
染色体数 |
2n=72 |
参考情報 |
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その他 |
分布が広範囲であるのに、見掛けることは多くない。
シロスミレと混同されていた歴史を持つ。前川文夫 、橋本保 両氏により区分された。また、橋本保氏はノジスミレとヒメスミレの雑種起源(複2倍体)と見ていたとのこと。
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長崎県 2023年4月19日
長崎県 2023年4月20日
美しい白さ(洗剤のCMのようだが)がアリアケスミレの印象、葉の緑色やタンポポの花の黄色と豊かなコントラストを見せる
千葉県 2000年4月24日 植栽
茨城県 2006年4月15日 植栽
千葉県 2006年5月28日 植栽
千葉県 2011年5月9日 植栽
神奈川県 2008年3月23日 植栽
神奈川県 2009年3月20日 植栽(俗称)ベニバナアリアケスミレ
神奈川県 2013年3月20日 植栽(俗称)ベニバナアリアケスミレ
展示会等では見ていたのですが、「一度じっくり見てみたいなぁ」などと思っていました。ところが、なんと自宅の庭にたくさん咲いていたのです。とても増えるので「参ったな」と思いながら、きれいなので放っておいたのですが、特徴をじっくり観察したら、アリアケスミレに違いありませんでした。こんなこともあるのですね。いつ手に入れたのでしょうか?繁殖力は抜群です。
2001/02/22
赤紫色のアナマスミレの群落を撮影していたら、その中に白いすみれが!アリアケスミレでした。すがすがしいイメージの美しいすみれです。
2001/05/01
学名にある betonicifolia は幾つかの植物で使われていて、「ベトニーに似た葉を持つ」というラテン語だと翻訳できたのですが、そのベトニーが分かりませんでした。いろいろ探して、欧州原産のシソ科イヌゴマ属の多年草で Stachys officinalis という学名を持つハーブだろうと推測しています。「郭公草石蚕(かっこうちょろぎ)」という不思議な和名が付いていますが、英名に "Wood betony" というキィワードがあります。
さて、問題の葉の形状ですが、確かに遠目に見ると葉全体の形状や拡がり方がアリアケスミレに似ていると思います。でも、粗い鋸歯があって目立ち、葉質も薄いイメージなので、わざわざ学名にする必然性があるのかなぁと悩ましい部分があって、推測は推測の域を出ていません。
2008/08/05
Viola betonicifolia はオーストラリアに自生する4種という数少ないすみれの一つだそうです。ちょっと、興味が出て調べてみました。Viola banksii (cf.: hedracea) は日本でも多数栽培されています。少し驚いたのはViola odorata が自生しているらしいことです。
さて、4種目ですが、Viola sieberi や Viola fuscoviolacea という名前が出てくるのですが、ともにViola banksii の亜種
という扱いでした。これらを数えるのかどうか、良くわからないままです。
(オーストラリア:紫の強いViola betonicifolia の分布エリア)2010/12/14追加
2008/08/07
オーストラリアに自生するスミレについて、11種であると記載する資料に出逢いました。いったい、どうしてこんなに増えてしまったのでしょうか(苦笑)。
2020/04/27
分布図上で栃木県が「(未確認)」となっていました。アリアケスミレの性質や他の自生地の様子と比較する限り、どうしても不思議に感じましたので、主にネット上で調べてみましたところ、撮影の記録は少なくないようです。ネット上の情報は不確かな要素を持ちますが、「一般情報」として扱うことにしました。今後、信頼できる資料を探すか、自分で探してみたいと思います。
2008/09/22
『栃木県植物目録』と『とちぎの植物I』、『群馬県植物誌』の記載に従って、栃木県と群馬県に「書籍情報」をマークします。
2010/01/09
未確認情報ですが、ゲノム解析が行われており、シロスミレを片親とする雑種起源であるとのことです。もう一方は未だに不明とのこと。一次情報が見つかると良いところです。
2021/04/04