スミレサイシン (菫辛細)
スミレサイシン
スミレサイシン スミレサイシン
長野県北安曇野群 2013年5月9日

スミレサイシン スミレサイシン
岩手県花巻市 2005年5月21日

スミレサイシン スミレサイシン
岩手県和賀郡 2023年5月10日
分類 スミレサイシン類
学名 基本種 スミレサイシン Viola vaginata Maxim. Published in: Bull. Acad. Imp. Sci. Saint-Petersbourg 23: 324 (1877)
変種 サンインスミレサイシン Viola vaginata var. satomii F.Maek. et T.Hashim., nom. nud. Published in: Violets Jap.: 7 (1963)
品種
シロバナスミレサイシン Viola vaginata f. albiflora Honda Published in: Nom. Pl. Jap. ed. emend.: 389 (1957)
ウスジロスミレサイシン Viola vaginata f. albescens Sugim. Published in: Keys Herb. Pl. Jap. 1: 355 & 736 (1965)
オトメスミレサイシン Viola vaginata f. purpureocalcarata H.Igarashi Published in: J. Jap. Bot.,75(3): 186 (2000)
異名 サンインスミレサイシン Viola vaginata f. satomii (F.Maek. et Hashimoto) E.Hama, nom. nud.
由来 vaginata : 鞘状の、鞘になった
外語一般名
茎の形態 無茎種
生育環境 山地のやや暗く湿り気味の林下、林縁に見られる。
分布 国内 北海道南西部から山口まで基本的に日本海側に分布するが、四国でも報告がある。
海外 日本固有種。
補足 岩手県などの北東北では太平洋側でも見られる(積雪量との関連と言われる)。
花の特徴 形状 ソフトな大輪。側弁の基部は無毛。
独特の淡い紫色の花で、唇弁に紫条が入る。中央部が白く抜けるものが多い。
太くて短い。
花期 比較的早く、短い。
花柱 カマキリの頭形。
芳香 弱い芳香を放つ個体と、無香の個体が報告されている。
補足 萼の付属体は大きめ。
葉の特徴 形状 先の尖った大きな心形。花後、大型化する。鋸歯は粗い。
表面は明るい緑色、裏面は淡紫色を帯びるものも見られる。
補足 花期には両端から巻き、開花とともに展開して厚くなる。夏、葉は枯れやすい。
* 托葉は葉柄から離れて根元につく「日本の野草(山と渓谷社)」
種の特徴 形状 大粒。涙滴形(膨らんだ楕円形)。
黄土色。
補足 種子は少ない。一般に発芽率は低いとされる。果実は大型で褐色、斑点が入る。
根の特徴 主根は白くて太い。ヒゲ根は比較的少ない。* 地下茎も太くて横に這い、節が多い「日本の野草(山と渓谷社)」
絶滅危惧情報 愛知県:絶滅危惧Ⅰ類、徳島県:絶滅危惧Ⅰ類、山口県:絶滅危惧Ⅱ類
基準標本
スミレサイシン : Hakodate in 1861
シロバナスミレサイシン : Fukui (Echizen), in monte Takekurabe (T.Wakasugi 5, in 1946, TI*(東京大学植物標本室)).
ウスジロスミレサイシン : Yamagata, Prov. Uzen (K.Kato, Hb. Sugim.)
染色体数 2n=24 (Nishikawa, T., 1989, Journal of Hokkaido University of Education : Section IIB)
参考情報
その他 スミレサイシン類は、スミレサイシンが日本海側、アケボノスミレが内陸部、ナガバノスミレサイシンが太平洋側に住み分ける。

スミレサイシン スミレサイシン
岩手県和賀郡 2002年5月4日 沢内村
スミレサイシン スミレサイシン
新潟県村上市(旧朝日村) 2001年4月29日 葡萄山

スミレサイシン
ウスバサイシン ウスバサイシン
<参考> ウスバサイシン(薄葉辛細): 大きな葉と目立たない花です
スミレサイシンの隣にいました(葉の様子が似ているでしょうか)
群馬県利根郡 2008年6月13日 alt.=1,550m

スミレサイシン
ウスバサイシン ウスバサイシン
スミレサイシン
新潟県西蒲原郡 2010年4月26日 alt.=55-400m

スミレサイシン スミレサイシン
スミレサイシン
北海道函館市 2010年5月10日 alt.=90m

 比較的早い次期に咲くすみれであるため、花期が終わり、大きな葉ばかりになっていました。新潟行の旅程の最後になって、やっと花にめぐり合うことができ、ほっとしたものです。
2001/05/16

 岩手と秋田の県境は、すみれ等の植物層から見ると新潟県に近いようで、ほぼ同じような種が見られました。
2002/06/13

 すみれは西洋でも東洋でもハーブや薬草として珍重されています。花と葉にはルチンなどが含まれていて、民間療法ですが、煎じて飲むと血圧低下や解毒作用があると言われています。スミレViola mandshurica は「シカジチョウ(紫花地丁)」という生薬名を持っているそうです。
 一方、食用、すなわち野菜という側面もあります。そう言えば、中国でスミレ属のことを「菫菜」と表現しますね。このスミレサイシンは俗にトロロスミレと呼ばれ、太い地下茎から細かい髭根を除き、擦り下ろして味噌和えにするそうです。不思議な味だとか。また、葉や花をおひたしや天麩羅にもするそうです。あるところには大量にある植物ですが、トロロにして食べようというのは贅沢な感じがしますね。
 蛇足ですが、紙すき用の糊にしたようでノリスミレと呼ぶという話がネット上にありました。真偽の程は判りかねます。
2009/02/23


ウスバサイシン
2010年4月28日
スミレサイシン ウスバサイシン
2008年1月6日
スミレサイシン スミレサイシン
スミレサイシン スミレサイシン
千葉県 2014年6月27日 植栽

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 (2001/05/16) Latest Update 2024/03/03 [1.30MB]

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