富山のすみれ
発行社(印刷)以外は個人名だけが登場する植物誌は珍しいと思います。個人でこれだけの内容を調査・編集するのは困難な作業だっただろうと推測します。承知の上で、小さな問題を取り上げるのですが、「オオタチツボスミレ」の項で、県内に自生がない「オオバタチツボスミレ」について言及しています。何の関連もありませんね。
※ 交雑種としてミツモリスミレが1種だけ記載されています。
(2008/08/21)
「富山県中央植物園研究報告第12号(2007年3月)」によると、ナエバキスミレについて「物誌部会員の石揮岩央が2006年8月19日に生育を確認し、証拠写真を撮影した(Fig. 9) 。この場所は中部山岳国立公園の特別保護地区内に当たるため、証拠標本は採集していない。」と記載されていましたので、これを追加しました。
(2021/05/14)
書籍上、表現が不確かな種に関しては除外し、変種や品種については主要なもののみを選びました 〇=自生確認
記号 |
参考資料 |
著者、編者 |
発行/出版 |
発行 |
A) |
富山県植物誌 |
大田弘、小路登一、長井真隆 |
広瀬留雄、廣文堂 |
1983年12月31日 |
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【参考:気象統計情報】 富山市の例 (総務省統計局資料を利用) |
各地のすみれ 掲載種について
「各地のすみれ」に掲載しております自生種などの情報は、ご覧いただければ一目瞭然ですが、収集した植物誌など、参考資料の記載内容を紹介しているものです。こうした参考資料は、一般に、県や市などの地方自治体や教育機関、地方の博物館や植物学会、研究団体(個人を含む)などが情報収集の上、編集したケースが多いと認識されます。
それらの参考資料が編集された時期、目的や経緯、情報収集や編集をされた方々の属性はいろいろですので、一貫性は期待できません。また、ご承知の通り、植物分類学の世界でも学術的知見が変わり続けていますので、編纂時期によって種の名称や表現が変わっているのは、むしろ、当然と言えます。
編集者の属性も千差万別であり、正直なところ「ちょっと怪しい」情報も、まぁまぁ存在しています。スミレ科に関する限り、このサイトに訪問されている方々の方が、よりディープな知識をお持ちである場合も多いことでしょう。
「ちょっと怪しい」を超えて、「明らかに外来種である」とか、「これは歴史的に変更された事実がある」、もしくは「単純ミス」などというケースに対しては、それなりの注釈を付けています。
こうした状況を踏まえて、ご意見や情報をいただくこともありますが、全く踏まえていただけず(笑)、『間違いが多いから直せ』といったアドバイスをいただくこともありました。しかしながら、これらの情報は、日本に植物分類学が定着を始めた頃から現在に至る、歴史的側面を含む「記載事実」ですから、皆様からの投稿で作り変えるといった性質もしくは対象ではありませんね。それは、明らかに編者各位にも歴史に対しても失礼な態度ではないでしょうか。
現在、私たちが持っている知識は、こうした試行錯誤も含む歴史の積み重ねの上に成り立っているものです。その知識でさえ、来年には変わってしまうかも知れません。悪しからず、ご了承いただくべき性質だと考えて、簡単な補足を施させていただくものです。ぜひ、ご理解下さい。
(つぶやきの棚)徒然草