広島のすみれ
 参考にさせていただいた「広島県植物誌」は良くまとまった資料ですが、実際に歩いて観察した幾つかのすみれが記載されていないので追加しました。分類に関する認識の違いですので、まぁ大きな問題ではありません。具体的にはフイリシハイスミレ(斑の有無)、サンインスミレサイシン(大きな違いではない)、タカオスミレ(葉の色合い)、ケイリュウタチツボスミレ(近年、認識された)というものです。
 ところで資料名を確認しなければなりませんが、フモトスミレとミヤマスミレが自生していると認識しています。補足として、雑種としてジャクチスミレだけが記載されていますが、これはこれで妙な話ですね。
(2009/09/04)

 幾つの資料(「広島野草」等)に記載されているナガバノスミレサイシンはサンインスミレサイシンの誤認と見られるそうです。
(2013/12/13)

 一般情報ながら、ナガハシスミレの自生が複数報告されています。
(2021/01/21)

 やっと、再訪問が敵って、ゆっくり観察できました。その際、「広島のすみれ(小田多美恵氏編集、2022年個人出版)」を入手して、その知り合いの方とお話ができていまして、その情報も取り入れたいと思います。
 ただ、例として、記載されているテリハタチツボスミレについて、補足に「タチツボスミレの品種」と説明されているのですが、実際には別種ですし、また、その掲載写真を拝見する限り、葉の照りが強めのタチツボスミレであるように見えます。やはり、掲載されているアカバナスミレの取扱いも難しそうです。ありがたい情報源なので、大事に資料として利用していくために、時間を掛けて、個別に画像と照らし合わせつつ、検討していくしかなさそうだと思っています。
(2025/04/19)


ケイリュウタチツボスミレ イブキスミレ タカオスミレ ダイセンキスミレ サンインスミレサイシン アソヒカゲスミレ
種(無茎) 変種または品種 参考資料 補足
アオイスミレ C)
アカネスミレ A) C)
アケボノスミレ A) C)
アリアケスミレ A) C)
エイザンスミレ A) C)
シロバナエゾスミレ C)
ゲンジスミレ B) C)
コスミレ A) C)
コミヤマスミレ A) C)
サクラスミレ A) B) C) 広島県RDBカテゴリ: 絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)
チシオスミレ C)
シコクスミレ A) C)
シハイスミレ A) C)
コンピラスミレ C)
ハグロシハイスミレ C)
フイリシハイスミレ C)
シロスミレホソバシロスミレ B) C)
スミレ A) C)
ホコバスミレ C)
ミョウジンホコバスミレ C)
スミレサイシン A) C)
サンインスミレサイシン C)
ナガバノスミレサイシン C) A) では誤認とされて除外したが、C) では写真確認後に再登録した
ナンザンスミレヒゴスミレ A)
ノジスミレ A) C)
ヒカゲスミレ A)
アソヒカゲスミレ A) B) C) 広島県RDBカテゴリ: 準絶滅危惧(NT)
タカオスミレ C)
ヒメスミレ A) C)
フジスミレヒナスミレ A) C)
ハグロヒナスミレ C)
フモトスミレ C)
マルバスミレ A) C)
ミヤマスミレ
種(有茎) 変種または品種 参考資料 補足
アオイスミレ A)
イブキスミレ A) C)
エゾアオイスミレ B) C) エゾノアオイスミレと記載
オオタチツボスミレ A) C)
オオバキスミレダイセンキスミレ A) B) C) 広島県RDBカテゴリ: 準絶滅危惧(NT)
キスミレ A) B)
タチツボスミレ A) C)
アカフタチツボスミレ C)
オトメスミレ C)
コタチツボスミレ A) C)
ケイリュウタチツボスミレ C)
シロバナタチツボスミレ C)
ミドリタチツボスミレ
タチツボスミレ(仮・山陰型) C)
ツルタチツボスミレ C)
ナガバノタチツボスミレ A) C) (ナガバタチツボスミレと記載)
ニオイタチツボスミレ A) C)
ニョイスミレ A) C) (ツボスミレと記載)
アギスミレ A) C)
ヒメアギスミレ A) C)
種(自然交雑) 参考資料 補足
ウスゲスミレ C) ニオイタチツボスミレ x ナガバノタチツボスミレ
オクタマスミレ C) エイザンスミレ x ヒナスミレ
カツラギスミレ C) ヒゴスミレ x シハイスミレ
ジャクチスミレ C) シコクスミレ x スミレサイシン or(サンインスミレサイシン)
スズキスミレ C) スミレ x ヒゴスミレ
ハリマスミレ C) アリアケスミレ x スミレ
ホウフスミレ C) スミレ x シハイスミレ
ムラカミタチツボスミレ C) タチツボスミレ x オオタチツボスミレ
種(自然交雑 無名) 参考資料 補足
(名称不詳) C) オオタチツボスミレ x ナガバノタチツボスミレ

書籍上、表現が不確かな種に関しては除外し、変種や品種については主要なもののみを選びました 〇=自生確認

記号 参考資料 著者、編者 発行/出版 発行
A) 広島県植物誌 広島大学理学部附属宮島自然植物実験所、比婆科学振興会 中国新聞社 1997年11月25日
B) 新しい広島県植物目録 未公開 (吉野由紀夫) 2020年
C) 広島県のすみれ 個人出版とみられる (小田多美恵) 2022年8月

気温グラフ 降水量グラフ
【参考:気象統計情報】 広島市の例 (総務省統計局資料を利用)

各地のすみれ 掲載種について

 「各地のすみれ」に掲載しております自生種などの情報は、ご覧いただければ一目瞭然ですが、収集した植物誌など、参考資料の記載内容を紹介しているものです。こうした参考資料は、一般に、県や市などの地方自治体や教育機関、地方の博物館や植物学会、研究団体(個人を含む)などが情報収集の上、編集したケースが多いと認識されます。

 それらの参考資料が編集された時期、目的や経緯、情報収集や編集をされた方々の属性はいろいろですので、一貫性は期待できません。また、ご承知の通り、植物分類学の世界でも学術的知見が変わり続けていますので、編纂時期によって種の名称や表現が変わっているのは、むしろ、当然と言えます。
 編集者の属性も千差万別であり、正直なところ「ちょっと怪しい」情報も、まぁまぁ存在しています。スミレ科に関する限り、このサイトに訪問されている方々の方が、よりディープな知識をお持ちである場合も多いことでしょう。

 「ちょっと怪しい」を超えて、「明らかに外来種である」とか、「これは歴史的に変更された事実がある」、もしくは「単純ミス」などというケースに対しては、それなりの注釈を付けています。
 こうした状況を踏まえて、ご意見や情報をいただくこともありますが、全く踏まえていただけず(笑)、『間違いが多いから直せ』といったアドバイスをいただくこともありました。しかしながら、これらの情報は、日本に植物分類学が定着を始めた頃から現在に至る、歴史的側面を含む「記載事実」ですから、皆様からの投稿で作り変えるといった性質もしくは対象ではありませんね。それは、明らかに編者各位にも歴史に対しても失礼な態度ではないでしょうか。
 現在、私たちが持っている知識は、こうした試行錯誤も含む歴史の積み重ねの上に成り立っているものです。その知識でさえ、来年には変わってしまうかも知れません。悪しからず、ご了承いただくべき性質だと考えて、簡単な補足を施させていただくものです。ぜひ、ご理解下さい。


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 (2009/09/04) Latest Update 2025/06/03 [120KB]

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